【保存版】ナレッジマネジメントとは?メリットや基礎理論の解説
優秀な人材が不足している…これは少子高齢化が加速する日本の悩ましい課題です。
2021年に発表された帝国データバンクの「人手不足に対する企業の動向調査」では、正社員について「不足」していると回答した企業は37.2%で、前年同月と比較すると増加しており、人手不足を感じている企業ほど賃金のベースアップや賞与の改善を見込んでいるという結果が出ています。
しかし企業はまず利益を出すことを考える必要があるため、優秀な人材の確保・育成にコストをかけながらも、不要な部分は削減しなければなりません。そこで力を発揮するのが、ナレッジマネジメントです。
今回はナレッジマネジメントの基礎理論やメリットをご紹介します。
目次
ナレッジマネジメントとは?
「ナレッジマネジメント(Knowledge Management)」とは、知識(knowledge)を活用して経営を管理(management)する手法です。組織に属する方がノウハウを組織内全体に共有することで知識の属人化を防ぎ、生産性を高めます。英語では「KM」と略されることもあります。
企業や従業員が保有している「知識」には、これまで企業が蓄積してきた情報や、社員の経験、技術、ノウハウなどが含まれます。 ナレッジマネジメントを行うことで、企業運営に関わるすべての人々が有するそれらの知識を、誰でも自由に利用できることが可能となります。
ナレッジマネジメントが必要な背景・理由とは?
ナレッジマネジメント自体は近年誕生した新しい概念ではありません。経営において「知識」に着目する考え方は、日本企業でも古くから意識されていました。たとえば、朝礼において口頭で情報共有をする、紙に書いてファイリングするということも、ナレッジマネジメントの一つの手段です。
そこから時代は巡り、現在はテクノロジーの進歩により、ナレッジマネジメントは再び脚光を浴びています。その要因は主に3点が挙げられます。
雇用システムの変化で伝統的な技術・知識の継承が困難に
高度経済成長期に日本で構築された「終身雇用制度」が変わりつつあります。「転職によってキャリアアップする」という考え方が一般的になることで、企業にとっては次々に新入社員とベテラン社員が入り交じる構図となります。 転職者が増えることによって知識やノウハウは個人に蓄積されていく一方、企業内に蓄積しづらい時代となりました。
また、働き方を考えるうえでワークライフバランスを重視する人や企業が増えてきています。ワークライフバランスを実現するためには「マネジメントの理解」を深めることが大切です。スケジュール管理や不要な業務を減らしていけば、ワークライフバランスを実現できるでしょう。
以下の記事では働き方改革やDXを実現させるための事例、おすすめのITツールをご紹介しています。
テレワークによるナレッジの属人化が課題に
昨今、一億総活躍社会の実現に向け多様な働き方が推奨されたことに加え、新型コロナウイルスの影響もあり、働き方の多様化が進んでいます。
働き方が柔軟になると人材が確保しやすくなる反面、これまでオフィスで自然にできていた情報共有が難しくなります。そこで課題となるのがナレッジの属人化です。これまでは不明点や質問はすぐに近くの人に聞けたかもしれません。しかし、テレワークになるとそうはいきません。 放っておくとナレッジはすぐに属人化します。
ナレッジが属人化すると、組織の中で情報格差が発生し、パフォーマンス(生産性)にも差が出やすくなってしまいます。生産性の個人差をなくすためにも、ナレッジマネジメントは必要不可欠です。
ナレッジマネジメントがうまくいくと、テレワークの状況でもナレッジをいつでも検索し、自己解決できるようになります。近年、日本でもITツールを活用した効率的な情報共有の方法が増えた背景もあり、今後はITツールを駆使したナレッジマネジメントが主流となっていくでしょう。
属人化については以下の記事で詳しくご紹介しています。
IT化・グローバル化
日本企業内で外国人労働者が増えていくのはもちろん、海外市場に進出し、取引を行っていくことは今後益々増えていくことでしょう。そんな中、知識や情報の考え方として、海外では「形式知化」していることが一般的であり、いわずとも察する「暗黙知」の文化は日本独特であることに気づきます。
海外企業と取引する際には、情報を整理し、文書として伝えることは必須となるでしょう。これらの変化に伴って、情報共有の在り方にも変化が必要になっていきました。 そこで、ITツールを活用した効率的な情報共有を行おうとするナレッジマネジメントが再び注目を集めています。
ナレッジマネジメントを行う目的やメリットとは?
次に、ナレッジマネジメントを行う目的やメリットを解説します。
効率の良い人材育成
ナレッジマネジメントが行われている環境では、スキルや知識を持った人材が育ちやすくなります。
入社したばかりの新人はみな、業務に対して同じような疑問を持ちやすいものです。そのため複数の新人から同じ質問を受けることが多く、回答者にとっては大きな負担になります。
しかし、ナレッジマネジメントの活用によって何度もゼロから同じ事を教える必要がなくなるため、効率のいい人材育成が可能になります。
業務の効率化
ナレッジが共有されていないと、作業の分担が難しく、特定の従業員に業務が集中したり、それによって作業に遅延が生じたりする可能性があります。
しかし、ナレッジマネジメントにより知識がくまなく従業員に浸透していれば、繁忙期でも従業員が協力してスムーズに作業できるようになるなどの変化が生まれ、業務の効率化が実現できます。
コスト削減
業務の分担は作業時間の短縮化につながり、これまで長時間の残業が余儀なくされていたような業務を通常の営業時間内に終わらせることが可能となります。それにより、残業代などの人件費の削減につなげることができます。
新しいナレッジの獲得・蓄積
全従業員がいつでもアクセスできるということは、他部署の情報にもアクセスできるようになるということです。これまで得ることができなかった情報に触れることで、新しいアイデアの創出やスキルアップが実現します。
事業の継続の容易化
熟練したスキルを持つ人や豊富な経験を持つ人が離職してしまうと、これまでに蓄積されてきた企業の知識、スキル、ノウハウが流出してしまうため、企業としての価値が低下しかねません。
熟練者のノウハウや知識の引き継ぎは口頭のみで行われるケースも見受けられますが、人の記憶は時間と共に薄れていくため適切な方法とはいえません。しっかりと文字化して暗黙知を形式知に変化させるナレッジマネジメントを行うことで、ノウハウや知識は正しく受け継がれていきます。
売上の向上
ナレッジマネジメントを行う上で、見落としがちな事が「売上の向上」です。
本来の目的は暗黙知から形式知へ変える、ナレッジを共有することではなく、ナレッジマネジメントにより企業の売り上げを向上させることにあります。
たとえば、効率のいい人材育成で戦力を増加し売り上げを伸ばす、蓄積されたナレッジにより営業チームの勝ちパターンを再現し粗利を確保する、といった具合です。
逆に、ナレッジマネジメントが実施されていないと上記の例のような未来の利益を得られない、いわゆる「見えない損失」が発生してしまいます。
社員エンゲージメントの向上
ナレッジマネジメントの実施は、社員エンゲージメントの向上にも寄与します。
例えば、複数拠点を構えている企業では拠点毎にナレッジが溜まりますが、他拠点とシェアすることは多くありません。しかし、ナレッジマネジメントの実施によりナレッジ・情報の共有文化が生まれると、業務が効率化されるだけでなく、社員同士の横の繋がりも生まれます。それにより、従業員が会社に愛着を持ち、離職率の低下が見込めます。
エンゲージメントについて詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
ナレッジマネジメントの基礎理論
ここでは、ナレッジマネジメントの6つの基礎理論について解説します。
暗黙知と形式知
ナレッジマネジメントを語る上で欠かせないのが「暗黙知」と「形式知」という2つの概念です。 「暗黙知」は属人的な経験によって、蓄積される技術や知見であり、言語化されていない知識です。 個人の営業手法や経験則からなる、顧客の対応方法などが暗黙知にあたります。
たとえば、過去の取引や市場調査のようなデータはもちろん、顧客対応の方法、備品が故障した際の対処法、営業スタンスなども個人が培った大事な情報=「暗黙知」です。
一方、「形式知」は業務フローや社内報、マニュアル等言語化されていて、数字や図で表せる知識です。
ナレッジマネジメントとは、この「暗黙知」を「形式知」に変えていこうとする手法です。
暗黙知については下記記事でも詳しく解説しています。
また形式知については下記記事にて解説しております。
SECIモデル
「SECI(セキ)モデル」とは、「暗黙知」を組織で管理し「形式知」に変換し、共有するための基本の枠組みをいいます。以下のプロセスの頭文字を取ってこう呼ばれています。
- Socialization:共同化
- Externalization:表出化
- Combination:連結化
- Internalization:内面化
ナレッジマネジメントでは、暗黙知から形式知へ、形式知から暗黙知へと何度もプロセスを繰り返していくことでナレッジが洗練されます。
SECIモデルについては下記記事でも詳しく解説しています。
ベストプラクティス共有型
ベストプラクティス共有型は、トップクラスの優秀な社員が持っている知識やノウハウといった暗黙知を形式化・共有することによって、組織に所属する個人全員の能力水準を底上げする手法です。
たとえば、どのような状況でも案件を受注できる営業マンがいたとします。その営業マンが持っている顧客との付き合い方や契約の取り方をマニュアル化し、誰でも再現できるようにするのがベストプラクティス共有型です。
このベストプラクティス共有型ナレッジマネジメントの懸念点として挙げられるのは、対象となった社員がナレッジを共有したがらない場合です。特に業務上の成果によって評価や給与が変わるインセンティブ制の企業だと、いくら同じ組織の一員とはいえ競い合う相手に自分自身の知見を共有したくないと考える傾向にあります。
しかし、ベストプラクティス共有型のナレッジマネジメントには対象となる個人のナレッジ共有が必要不可欠です。そのような場合は、ナレッジ共有に対する評価制度や特別手当てなどを設け、双方が納得できる方法を提案するようにしましょう。
顧客知識共有型
顧客知識共有型は、顧客からの問い合わせやクレームなどの内容・対応履歴をデータベース化し共有することによって、最適な対応策を導き出す手法です。
ナレッジを顧客知識として共有しておくことで、過去に発生した顧客からのクレームやトラブルを参照できます。それにより、自身が経験したことのないパターンに遭遇しても適切な対応することが可能です。 顧客知識が多ければ多いほど参照できる前例が増え、データベースとしての価値が上がっていきます。
また、顧客知識をマニュアル化して組織全体で共有することで、部署によって対応に差が出ることがなくなり、顧客満足度の向上が期待できます。
経営資本・戦略策定型
経営資本・戦略策定型は、組織内で各々が所有しているナレッジの分析を行い、経営戦略策定に活かしていく手法です。
これまでの業務で発生した膨大な量のデータを整理・分析し、過去のデータに基づいた戦略的かつ現実的な経営を行えるようになります。過去の知識資産をナレッジマネジメントすることによって、未来の意思決定にも役立ちます。
経営資本・戦略策定型では管理するデータの量が多いため、DWH(データウェアハウス)をはじめとしたツールを活用する場合が多くなっています。
専門知識型
専門知識型は、組織の中にある専門知識をデータベース化し、すぐに検索・閲覧できるようにするナレッジマネジメントです。
情報システムなどの問い合わせが頻繁に発生する部署では、専門知識を持った社員が対応に追われてしまい、本来の業務ができなくなることが多々あります。しかし、専門知識を持つ社員の代わりがいなくても、組織全体で専門知識を共有してしまえば問題ありません。
専門知識型のナレッジマネジメントは、いわゆるFAQページのようなものです。質問される内容へのアンサーをあらかじめ用意しておくことによって、担当者の負担を減らすと同時に別の業務に充てる時間を確保できます。
ナレッジマネジメントを円滑に進めるポイント
株式会社Leaner Technologiesの調査では、自社のコスト削減に関心を持つ経営者は9割を超えているものの、実際に取り組む意欲を持っていると回答したのはそのうちの半数にも満たない、という結果が出ています。
この結果から分かるのは、多くの経営者がコスト削減に関心はあるものの方法が分からない、もしくは実施のハードルが高いと感じており、導入が進んでいないということです。変化には準備のための労力が必要ですが、一度始めてしまえば継続的なコスト削減・業務効率化が可能です。
とはいえ、いくら経営者がナレッジマネジメントの重要性を説いても、経験をもとに作り上げてきた自分のノウハウを公開することに抵抗を感じる社員も多いものです。
導入にはまず今ある課題と、何の目的のためにどんな情報を共有したいかを明確にすることが大切です。下記では、スムーズに導入するための3つのポイントをご紹介します。
課題・目的をはっきりさせる
今どんな状況にあって、どう改善していきたいのかを明確にすることで全社員にナレッジマネジメントを行う重要性が周知でき、積極的に参加してもらえる体制が整いやすくなります。
企業や社員の成長の先にメリットが感じられれば、自分の大切なナレッジをぜひ役立ててほしいと考える社員も少なくないでしょう。
必要なナレッジを明確にしぼる
大きな目的のためにあれもこれもとナレッジを詰め込むと、情報が多すぎて管理しにくい・欲しい情報が探しにくい状況になり、継続的な活用が難しくなります。
ナレッジマネジメントといっても目的や種類はさまざまで、顧客の利便性を高める社外型や社内の業務効率化のための社内型、専門性の高い情報の蓄積型やよくある質問をまとめたもの(FAQ)などがあります。
企業が抱えている課題と達成すべき目標をきちんと決め、必要なナレッジを明確に分けるようにしましょう。
目的に合った使いやすいITツールを導入する
ナレッジマネジメントは紙のファイルや独自で作った表などでも対応できますが、その場合は情報検索の速さや共有範囲に限界が生まれます。
近年多く公開されているナレッジマネジメントのためのツールを使えば、目的に合わせた使いやすいフォーマットやシステムを使うことができ、効率アップが見込めます。ランニングコストはかかりますが、使うツールや利用人数に合わせて調整できるのでムダな費用は発生しません。
多くのツールに無料お試し期間がついているので実際に使ってから選べるので、まず使ってみて、合うかどうか考えることもできます。
ナレッジマネジメントシステムの重要性やメリット
ナレッジマネジメントは、属人化したコツやノウハウといったナレッジを組織全体で共有・活用するための手法です。ナレッジマネジメントシステムとは、そのナレッジマネジメントを導入・運用するために必要なシステムを指します。
ナレッジマネジメントには、共同化(Socialization)・表出化(Externalization)・結合化(Combination)・内面化(Internalization)の4つから形成される「SECIモデル」というプロセスが組み込んであり、これらはナレッジマネジメントシステムの一部として成り立っています。また、ナレッジマネジメントにおける情報をまとめて管理するツールやAI(人工知能)なども総括してナレッジマネジメントシステムと呼ばれます。
ナレッジマネジメントにおいては、ナレッジマネジメントシステムの構築が成功・失敗を左右するといっても過言ではありません。ナレッジマネジメントシステムを導入すると、各所に散らばっていた情報を一括で管理できるようになります。顧客データや受発注システムなどの形式の異なる情報をツールを使って統一することにより、検索時間を短縮するといったイメージです。無駄な業務を効率化して減らすことで、生産性の向上が期待できます。
また、既存のナレッジ同士を組み合わせることで新たなイノベーションが起きる可能性もあります。競争の激しい現代社会を勝ち抜くためには働き方を工夫しアップデートし続ける必要があり、そのためにもナレッジマネジメントの取り組みが重要となります。
ナレッジマネジメントをシステム化させるための具体策
ナレッジマネジメントを実現するツールは増えていますが、ツールを導入するだけではナレッジマネジメントはうまくいきません。ここでは、ナレッジマネジメントのツールを導入し、社内で定着させるための具体策を4つお伝えします。
ナレッジ共有ツールの選定
ナレッジマネジメントにおけるツール選定のポイントは、シンプルで誰もが使いやすいツールかどうかです。シンプルで使いやすさに特化したツールを導入することで、初めてツールを使う方でも簡単に使うことができ、定着のハードルが低くなります。
ナレッジマネジメントシステムは、ナレッジの共有と活用を繰り返すSECIモデルが基礎にあります。このSECIモデルを上手くサイクルさせるためには、ナレッジマネジメントツールの利用が欠かせません。
ナレッジマネジメントツールにはさまざまな種類が存在します。チャット型やストック型などの機能面はもちろん、ツールのデザインもそれぞれ異なるため、自社に合ったツールを見つけられるかがナレッジマネジメントシステムの成功への大きなポイントとなります。
パソコンやITなどの機械系に疎い社員でも使いやすいと思えるかどうかや、自社の抱えている課題解決に適しているかどうかなども、ツールを選ぶ上で重要な考え方です。ナレッジマネジメントツールには無料で使えるものや試用期間を設けているものなどもあるため、社内でツールを比較検討してみるとよいでしょう。
以下の記事ではナレッジ共有ツールのメリットとおすすめツールをご紹介しています。
担当者(責任者)の決定
ツールの導入直後はナレッジを投稿する文化が根付いていないので、まず「ナレッジはツールに投稿するもの」という文化を形成する必要があります。そのためには、ツール専任の担当者を決め、ツールを使う文化を組織内に醸成することが必要です。
ナレッジマネジメントは一朝一夕で成功する手法ではありません。時間をかけてチーム全員で協力してナレッジを蓄積しましょう。
どんな用途で投稿するか決める
ナレッジマネジメントシステムを導入する前に、まずは「ナレッジマネジメントシステムを導入するのはなぜか?」という目的を明確化させましょう。いわばナレッジマネジメントにおけるゴールの設定です。
情報共有による顧客情報の一括管理や、マニュアル化による教育リソースの削減など、企業が抱える課題によってさまざまな目的があります。その目的が明確化しないままナレッジマネジメントシステムを導入しても、組織に所属する社員たちは何を目指してナレッジマネジメントへ取り組めばいいかが分からないでしょう。
実際利用する社員に目的が伝わらないと、ナレッジマネジメントシステムは活用されず形だけになってしまう可能性があります。この形骸化こそがナレッジマネジメントの導入に失敗する大きな原因となります。
用途が定まっていないと、利用者側も何をどういった目的でツールに投稿するのかがわかりません。例えば「新人の研修期間短縮のために業務フローを溜めていく」「社内ルールを集約して何度も同じ質問を減らす」など、あらかじめ用途を明確にしましょう。
明確化された用途を社員と共有し、ゴールへ導いてあげることができれば、おのずと成果を上げることができるようになるでしょう。
投稿を溜める
まっさらな状態で「ナレッジを蓄積しましょう」と促しても、投稿に対する心理的ハードルが高く、どんな内容をどのレベルで投稿していいか見当がつきません。そこで、まずはツールの担当者が率先して投稿を蓄積することをおすすめします。
ナレッジマネジメントツールを活用する際に意識すべきことは「ナレッジを書くのではなく、書いた内容がナレッジになる」ことです。「ナレッジを書こう」と意識しすぎると投稿内容が思いつかず、投稿頻度が下がる恐れがあります。まずは日常的に議事録、日報、提案資料や数値レポート、社内書類などをツールに溜め込んでいくことを習慣化しましょう。その情報の中に後々必要となるナレッジが含まれているという考え方をすれば定着に繋がりやすく、ナレッジマネジメントがうまくいくきっかけとなります。
導入後の注意点を把握しておく
ナレッジマネジメントシステムを導入したあとは、形骸化しないように注意する必要があります。
属人化したナレッジを持つ社員ほど日々の業務に追われており、ツールを使う暇がない場合があります。適正な業務量にするのはもちろんですが、情報共有も評価基準に入れるなどの工夫も凝らしてみるといいでしょう。
また、ナレッジマネジメントシステムの運用が上手くいっている時にも注意すべき点があります。それは社員の自発的な思考力の低下です。
ナレッジマネジメントで得た情報は個人や組織にとって有益な情報です。しかしその情報に頼ってばかりでは、働くうえで重要な自発的に思考する力が失われる可能性があります。定期的に意見交換をする日や時間を設けてイノベーションを促進しましょう。
ナレッジマネジメント導入の成功事例
ナレッジマネジメントのシステムを導入しても、使い続けられなかったり、蓄積したナレッジをうまく活用できなかったりすると意味がありません。しかし、ナレッジマネジメントの成功事例をあらかじめ見ておくことで、自社の導入に活かすことができます。
今回はナレッジ経営クラウド「Qast(キャスト)」を導入し、実際に良い変化があったという事例をご紹介します。
【事例1】事業部をまたいだナレッジシェアが生まれた
100名以上でナレッジマネジメントツールを利用するデジタルマーケティング企業は、以前から情報の蓄積・共有ができていないことが課題であり、改善のためにナレッジ経営クラウド「Qast」を導入しました。
以前の情報共有方法はGmailや独自で制作したナレッジサイトによるものでしたが、使っていくなかで全社での情報共有の難しさや、共有ルールの陳腐化を感じていました。Qast導入後は他部署の作業内容も確認できるようになり、ナレッジレベルが向上したと感じています。
“Qast導入により事業部を跨いだ『ナレッジシェア』が生まれました”
【事例2】蓄積したナレッジの活用が習慣化した
ツール開発やWebサイトのコンサルティングを行う企業では、もともとナレッジ共有を課題とし、スプレッドシートへの情報蓄積を行っていました。 しかし蓄積はされるもののあまり活用はされておらず、一度蓄積された情報のアップデートもうまく進まないという現状があり、ナレッジマネジメントツールの導入に踏み切りました。
シンプルなインターフェースで気軽に使いやすいQastを導入したことで、情報の蓄積・運用・活用に手間がかからなくなり、ツールの利用が習慣化しました。分からないことがあればQastを見れば解決することが多く、新入社員の成長が早くなったと実感しています。
“「運用、習慣化できるもの」という軸でQastを選びました”
【事例3】全国の営業と横のつながりができた
医療機関や医療従業員を支えるソリューションをグローバルに提供する企業では、新入社員が知りたい情報があるのに関わらず、先輩社員が時間をほぼ取れていないという状況にありました。中には顧客への回答に時間を要していまい、それがストレスとなり退職した社員がいたため、ナレッジを一つに集約する必要があると考え、ナレッジ経営ツールの「Qast」を導入しました。
結果として、質問の回答に要する時間がこれまでの半分以下となりました。QastのQ&A機能の利用が特に多く、質問したい社員が投稿し拠点を越えて回答を得る、また似てる質問あるいは同じ質問の検索などで効率化しています。さらには社員の横のつながりが生まれ、社内エンゲージメントが高まっていると実感しています。
“全国の営業と横のつながりができる心強いツールだと感じています。”
おすすめのナレッジマネジメントツール・Qast
QastとはQ&Aとメモで社内の属人化を防ぐ「ナレッジ経営クラウド」です。いつでも、どこでも、誰でも使いやすい“社内の知恵袋”。導入企業数はすでに3,500社を超えている、日本発のナレッジマネジメントツールです。
「ヤフー知恵袋の社内版」と「Wikipediaの社内版」があわさったイメージで、誰でも簡単に質問や回答の投稿ができフォルダとタグで分類できるため、知りたい情報をすぐに探し出せます。
検索性も高く、テキストの検索だけでなく、投稿した内容にファイルが含まれていた場合、ファイル内の文字列も検索対象にできるため、探したいナレッジはすぐに見つかります。
また、セキュリティ対策やナレッジコンサルタントによる定着支援も充実している点も特徴です。
とにかくシンプルで使いやすく、はじめてツールを導入する方でも簡単に操作できるでしょう。
【こんな人におすすめ】
- ツールに慣れていない社員が多く、シンプルなツールを探している方
- すでにPDFやWordで文書化している情報を一ヵ所に集約したい方
- 投稿が活性化される仕組みが必要だと感じる方
- セキュリティを重視している方
【主な機能や特徴】
- ファイル内の文字列を検索
- スコアで情報共有での貢献を可視化
- テンプレートを保存し、投稿作成の時間短縮ができる
- 既読人数、誰が既読かを確認できる
- 大手向けのセキュリティプラン(IP制限、アクセスログ抽出、シングルサインオン、社員IDログイン)あり
- ダッシュボード機能で、どの投稿が多く見られているか等分析できる
シンプルな操作性の他、Q&A形式で情報を溜められることも特徴です。社内でよくある質問やお客様からよく聞かれる質問をQ&Aとして蓄積しておくことで、何度も同じ質問に回答する時間を削減できます。
ナレッジマネジメントツールの選定において検索機能は重要な要素の一つですが、Qastは検索スピードが格段に速いためストレスがなく、高度な検索精度も実現しています。複数キーワードや投稿者名での検索、ひらがな検索時にカタカナも検索対象になる等、他のツールにはない機能を備えています。また、投稿内にファイル添付しておくと、添付されたファイル内の文字列も検索対象となります。この検索機能は他のツールにはないものです。すでにWordやPowerPoint、PDF化された文書が多い場合に非常に有効です。
さらに、チャットツール(Slack/Chatwork/Teams)との連携が可能なため、Qastで投稿した際にリアルタイムでチャットに通知でき、最新の投稿の見逃しを防ぎます。SlackやTeamsであれば、チャットツール上で投稿した内容をボタン一つでQastに蓄積していくことも可能です。
その他にも階層式のフォルダ/タグ付けで分類、テンプレート保存、ピン留め、閲覧権限の設定、既読者の可視化といった機能も備えています。スマホでの使いやすさ、セキュリティ対応の充実等、シンプルながらも使い手への配慮を最大限に盛り込んだ、最もおすすめのナレッジ経営クラウドです。
Qastについて詳しくはこちらまとめ
本記事では、ナレッジマネジメントとは何か、その基礎理論やナレッジマネジメントのメリットなどついてお伝えしました。
テレワークで業務を行う従業員が増えていくとナレッジが属人化する可能性が大いに高まります。ツールを定着させるのは簡単ではないかもしれませんが、今から始めておけば、きっと数年後には企業の中に膨大な量のナレッジが蓄積されているはずです。それは紛れもなく財産であり、きっと企業の成長に大きく貢献するものとなるでしょう。
Qastラボ編集部では、これからの働き方において必要な"未来のナレッジマネジメント"について研究しています。 ナレッジ共有、業務効率化、経営戦略、コミュニケーションツールなどテーマ別に役立つ記事をご紹介します。