標準化の意味とは?業務を標準化させるメリットや流れについて解説
業務標準化とは、誰が担当しても同等な品質の成果物に仕上げられるように、業務手順を最適化することを指します。
重要性は理解しているものの、「具体的な取り組み方が分からない」「自社に取り入れるメリットはあるのかな」と悩む人もいるのではないでしょうか。
この記事では、業務標準化の意味や重要性、メリット・デメリット、具体的な流れ、標準化を進める際のポイントについて解説します。
目次
標準化とは
「標準化」とは、製品や資材などの種類や規格を統一し、製造方法や評価方法などの認識を共通させることを指します。
ここでは、標準化の意味と重要性、業務標準化について解説するので、基本的な知識を深めましょう。
標準化の意味や重要性
一般的に標準化は「物事を単純化、秩序化、統一化を図り、互換性や品質、性能の一定化を図ること」になります。
ビジネスにおける標準化は、業務の手順を最適化し、誰が担当しても同じ品質に仕上げられる状態・体制を構築することです。
ここ数年、ビジネスでの標準化が重要視されている理由として、下記の2つが挙げられます。
- 急な人員変動に対応できる
- 品質のバラつきを一定にできる
急な人員変動が起きても業務を滞りなく遂行できるように、標準化しておく必要があります。その際、成果物の品質が一定になるように、企業全体の体制を整えることが求められています。
業務標準化とは
業務標準化とは、特定の業務に対して、使用する資料やデータ、手順、成果物の品質水準などを統一することです。
誰が業務を遂行しても同じレベルの成果物に仕上がり、品質にバラつきが出ないようにすることが標準化の目的だと言えるでしょう。
標準化させるメリット
業務を標準化させることで、企業や従業員、顧客などのステークホルダーにさまざまなメリットがあります。
ここでは、5つのメリットを挙げながら、業務を標準化させる利点について解説していきます。
属人化を防げる
属人化とは、特定の人しか業務を遂行できない状態のことで、標準化とは正反対の意味を持ちます。
カウンセラーなどの高度な専門技術が必要な職種の場合は、属人化することで個人のスキルアップに繋がることもありますが、専門技術が必要な職種であっても、たとえば製造業の職人技などは、企業を存続させるうえでは引き継ぐ必要があります。
また業務が属人化してしまうと、トラブル発生時の対応の遅れや顧客応対の質で差が出て満足度が低下するなど、大きな損失が発生しやすくなります。
業務を標準化していくと、業務のノウハウや手順、進捗状況を共有できるため属人化が起こりにくくなります。
属人化のデメリットや具体的な解消方法については、以下の記事で解説しています。
品質を一定に保てる
業務標準化の体制を整えると、品質の均一化を図ることができます。標準化が進んでいない現場では、従業員ごとに能力や得意分野、知識が異なってしまい、同じ業務に取り組んでも成果物の品質にバラつきが生じてしまいます。
企業としては、顧客に安定した品質で提供する必要があるため、「誰が業務に取り組んでも同じ品質レベル」でなければなりません。
業務の標準化を図ることで、業務のやり方や使用するデータや資料が統一されるため、担当者が変わっても同等のクオリティーで仕上げられるようになります。
業務の効率化に繋がる
業務標準化を実現するためには、通常業務の内容や手順を見える化する必要があります。
取り組み方や手順などを見直すことで、これまで気づかなかった非効率な業務が明らかになるため、時間やコストの削減にも繋がります。
見える化を進める際は情報共有ツールやタスク管理ツールなど、ITツールを用いて整理すると現場で共有しやすくなり、業務の細かい部分まで見えやすくなります。
技術力の向上・スキルアップが図れる
業務の標準化を進めると、特定の従業員にしかこなせなかった業務が全員で取り組めるようになるため、企業全体の技術力が向上します。
また標準化により業務を理解できる従業員が増えれば、より効率を上げるにはどうすべきか、質を高めるには何が必要かなど、見直す機会も生まれるでしょう。
気づいた部分を改善し、活かすことでスキルアップだけでなく、業務の効率化に繋がる可能性があります。
部署間での連携がスムーズになる
標準化を図ることで、業務の規則や手順が明確になり「いつ・誰が・どの業務を・どのように」行っているのかが簡単に把握できます。
進行状況が分かりやすい形になっていれば、部署間で連携が必要な時であっても状況を掴みやすく、複雑な業務も引き継ぎやすくなります。
部署間の連携がスムーズになればコミュニケーションも活発化し、従業員エンゲージメントの向上にも繋がるでしょう。
エンゲージメント向上については、以下の記事で詳しく解説しています。
標準化のデメリット
企業にとって業務標準化は必要性が高く、多くのメリットがあります。
その一方で、標準化することで生じるデメリットもあるので、あらかじめ把握し、適切に対策を講じなければなりません。具体的には下記の3点に対して、対策を打つ必要があります。
- 標準化が向いていない業務もある
- マニュアル通りにしか動かない従業員も存在する
- 従業員のモチベーション低下につながる可能性がある
個人のセンスや感性、技術力が求められる業務は、標準化が難しいということを把握しておきましょう。
具体的には、職人が作る工芸品や、音楽家による作詞作曲といったオリジナリティが高いものは標準化が向いていません。社内で標準化が向いている業務を見極めることが大切です。
また業務標準化によって、柔軟な考えや臨機応変な対応ができなくなる従業員も一定数います。マニュアルを厳守したうえで、プラスアルファな行動や言動をするように意識付けすると良いでしょう。
業務標準化によって新入社員が早期的に成果をあげやすくなりますが、社歴の長いベテラン社員はやる気を損なったり、現場での優位性を見出せなくなったりするケースもあります。
標準化させるための流れ
業務標準化を図るにはどのようなステップを踏めば良いのでしょうか。ここでは、5つの手順に沿って業務標準化の効率的な進め方を解説します。
- 現状を把握し分析する
- 標準化させる業務を決める
- 業務の流れや内容を整理する
- 業務マニュアルを作成する
- PDCAを回す
現状を把握し分析する
初めに、現状を把握するために業務の内容を洗い出します。すべての業務を見える化し、一覧にまとめたら下記のような項目を設けて業務ごとに数値化してみましょう。
- 工数
- 発生頻度
- 難易度
こうすることで、全体に共有されていない業務や属人化されていたノウハウを見つけられます。
標準化させる業務を決める
見える化した業務を標準化する必要があるかを選別します。
標準化する優先順位の高いものから標準化させていき、そもそも標準化が不要なものはそのままにすることが大切です。
たとえば、担当者がいなければできない業務(属人化されている業務)や、作業を行う人によって時間や品質にバラつきがある業務は、標準化は優先すべきだと言えるでしょう。
業務の流れや内容を整理する
標準化が必要な業務を洗い出し、優先順位を決めたら、それぞれの業務の流れや内容を整理します。フローチャートなどを用いて視覚的に整理すると効率的です。
業務内容を整理したら、全体的にもっとも効率的かつ最適な手順を見極めましょう。
業務マニュアルを作成する
最適化された手順を基に、業務マニュアルを作成します。
業務マニュアルの作成方法は、目次や見出しを決めて、個々に分解してから肉付けするようなイメージです。
最初から完成度の高いマニュアルを作成するのは難しいので、簡単な業務フローを作り、ブラッシュアップしていくと良いでしょう。
マニュアル作成のポイントについては、以下の記事で解説しています。
PDCAを回す
業務の標準化を行ったあとは、より効率良く分かりやすくするためにPDCAサイクルを回しましょう。
実際に業務マニュアルに沿って仕事を進めてみたものの、新たな課題や問題点が出てくるケースも多くあるでしょう。
PDCAサイクルを回し、標準化や業務マニュアルをより効率的かつ最適にしていくことが大切です。
PDCAについては、以下の記事で解説しています。
標準化を進めるポイント
業務の標準化を進めるうえで、意識しておきたいポイントが3つあります。
- 標準化に向いていない業務もある
- 目的を明確化する
- 社員・部署間でのコミュニケーションが大事
闇雲に業務標準化に取り組むのではなく、ポイントを押さえて効率よく導入することが大切です。
標準化に向いていない業務もある
業務の標準化はさまざまなメリットがあり、万能な手法のように感じますが、すべての業務に適しているわけではありません。
標準化をすることで生産性や顧客満足度の低下に繋がる可能性もあるので、向き不向きを理解したうえで業務ごとに標準化の導入を検討しましょう。
目的を明確化する
よくある失敗事例として、上層部のみが標準化を進めてしまうケースが挙げられます。
急に業務の進め方が変わると現場の混乱を招き、かえって業務の効率が悪くなってしまいます。
実際に業務を遂行する従業員が標準化を必要とし、進めなければ失敗しやすくなるので、明確な目的を共有することが大切です。
社員・部署間でのコミュニケーションが大事
業務標準化に適していない業務の洗い出しや、現場と連携して標準化を進めるなど、標準化を進めるためには社内でのコミュニケーションを取る必要があります。
情報共有ツールを用いると、場所を選ばずにコミュニケーションが取れるだけでなく、さまざまなノウハウの蓄積もしやすくなります。
ノウハウが溜まってくればより良い標準化、マニュアルの作成などができるようになります。
標準化を進めるためにぜひQastの活用を
業務標準化は、いかに従業員・部署間で円滑なコミュニケーションを図ることができるかが成功の鍵となります。
スムーズなコミュニケーションを実現させるのにもっともおすすめなのは、ナレッジ経営クラウド「Qast」です。Qastは、使いやすさを追求したシンプルなデザインで誰でも簡単に活用できます。
「Slack」や「Chatwork」「Teams」などのビジネスチャットツールとも連携し、日々のやりとりのなかで生まれた重要な情報の蓄積にも適しています。業務標準化を効率的に実現するために、ぜひ「Qast」を活用してみてください。
まとめ
業務標準化の概要やメリット・デメリット、具体的な流れやポイントをご紹介しました。社内で業務標準化を実現できれば、誰が担当しても同等な品質に仕上げられる点が最大の魅力です。
さらに従業員同士で作業内容を共有しやすくなるため、コミュニケーションが円滑になる点も嬉しいポイントだと言えます。
業務標準化を運営していくなかでブラッシュアップされた業務マニュアルは、自社の知識やノウハウが蓄積された価値の高い資産になるでしょう。