タイムマネジメントとは?ツールを利用して仕事の生産性を高めるコツを紹介

人材不足、人件費の高騰、社員が抱えるストレスなど、社内のさまざまな問題の解決策となり得るのが「タイムマネジメント」です。

この記事では、タイムマネジメントの意味や目的、メリットや方法、失敗しないコツと役立つ管理ツールをご紹介します。

タイムマネジメントとは

タイムマネジメントとは、自社の生産性を高めるための時間の管理術、ひいては仕事をコントロールする技術のことです。以下のような取り組みが含まれます。

  • スケジュールの明確化
  • タスクの優先順位付け・取捨選択
  • 社員へのタスクの適切な割り振り
  • 作業時間短縮に繋がる道具・ツールの導入 など

業務に関する作業時間の短縮を目指すのはもちろん、そもそも取り組むべきタスクの優先順位付けや取捨選択もタイムマネジメントの一環です。

タイムマネジメントの目的や重要性

タイムマネジメントの目的は、時間という限られた資産を最大限に有効活用することにあります。

「同じ時間内にどれだけの成果を生み出せるのか」は、大多数の企業にとって無視できない課題です。企業は社員に給料を支払っており、一つの作業に時間がかかるほど、人件費が増加して利益は減少します。

たとえば商品開発であれば、最終的な製品の質が同等でも、開発期間が1年と3年とではコストは雲泥の差です。開発期間が短い分、次の企画に取り組めることも考えると、自社の利益がどれほど変わるか分かりません。

タイムマネジメントに取り組むか否かは、自社の将来を左右するといっても過言ではないでしょう。

タイムマネジメントのメリット

自社がタイムマネジメントに取り組むことで得られるメリットをご紹介します。

目標達成のサポート

企業のタイムマネジメントでは、目標達成までの道筋を作業前に明確にする習慣を社内に浸透させます。目標のために必要なタスクを書き出し、優先順位を付け、場合によっては周囲の人員にも割り振るよう徹底します。

結果、社員が地に足の付いた計画・行動を選択しやすくなり、目標の達成可能性も向上します。

業務を効率的に進められるようになる

タイムマネジメントに成功すれば、タスクの取捨選択や各種作業時間の短縮により、自社の業務を効率良く進められるようになります。

時間の浪費を防ぎ、社内の生産性を大きく向上させることが可能です。

業務の幅を広げられる

業務の幅を広げられる可能性があるのもタイムマネジメントのメリットの一つです。

たとえば、従来は丸一日(7時間)必要だった業務を5時間でこなせるようになれば、残りの2時間は新たな取り組みに挑戦できます。週にすれば2×5=10時間、月にすれば2×22=44時間となり、決して無視できない時間差です。

ストレスの軽減に繋がる

タイムマネジメントの副次的なメリットとして、社員のストレス軽減も挙げられます。実行しやすい計画の立案により、社員が「自分は何をすればよいのか」と迷う機会が減り、目標を達成する喜びも得やすくなるためです。

もちろん、長時間の残業を減らし、ワークライフバランスを整えやすくなることもストレス軽減に繋がるでしょう。

タイムマネジメントのやり方

タイムマネジメントで取り組むべき内容は多岐にわたりますが、ここでは「営業チームにおける業務の効率化」を例に、そのやり方と流れをご紹介します。

現状の業務を洗い出す

まず行うべきは、現状の業務の洗い出しです。チームが処理している業務を以下のように書き出して一覧としましょう。

  • 朝礼
  • 日報作成
  • ルート営業
  • 既存顧客からの問い合わせ対応
  • 顧客候補からの問い合わせ対応
  • 新規顧客開拓(飛び込み営業)
  • 新規顧客開拓(リードの訪問)
  • 定例チーム内ミーティング(週1) など

タスクを細分化する

次に行う作業は、書き出した業務をタスクに細分化することです。たとえば、前述の「新規顧客開拓(リードの訪問)」であれば、以下のタスクが考えられるでしょう。

  • 訪問予定先となる企業の情報収集
  • ここまでのやり取りの分析
  • 過去の類似した営業事例の検索
  • アポイントメントの取得
  • 訪問の目的の設定(例:今回の成約、今後に繋がる関係性構築)
  • 訪問時に持参するプレゼン資料の作成
  • 訪問時に持参する手土産の購入
  • 実際の訪問
  • 訪問後のフォローアップ策の検討
  • 訪問結果のレポートの作成
  • 上司への訪問結果の報告 など

優先順位を付ける

優先順位を付ける

業務をタスクに細分化できたら、それぞれの優先順位を付けていきます。タスクの順位付けの方法は複数ありますが、初めてのタイムマネジメントであれば「重要度」と「緊急度」の高低を基準とし、以下の通り4つのカテゴリに分類するのが手軽かつ有効です。

  • 重要かつ緊急
  • 重要だが緊急ではない
  • 重要ではないが緊急
  • 重要でも緊急でもない

どのタスクを緊急・重要とするかは自社の方針によっても変わりますが、たとえば「持参するプレゼン資料の作成」などは重要かつ緊急といえるでしょう。一方で、「訪問結果のレポート作成」などは重要ですが緊急ではないと判断できるはずです。

期限を設定する

優先順位を付け終わった後は、その優先度と重要度をもとに各タスクに期限を設定します。

プレゼン資料の準備であれば「訪問の前々日の15時」、訪問結果のレポート作成なら「訪問日から10日以内」など、明確な期限を設けましょう。期限の設定後はタスクを担当者に割り振り、チームとして行動を始めます。

定期的に見直し改善を行う

実際に行動を開始した後は、3ヶ月や半年に一度など、定期的に1~4までの手順を見直し、必要に応じて改善を行います。

「新たな業務は増えていないか、タスクの分類は今のままでよいか、優先順位や期限は…」と一つひとつ振り返ることで、取り組みを実態に即した形で維持できます。

タイムマネジメントで失敗しないためのコツ

では、タイムマネジメントの失敗を避けるためのコツを見ていきましょう。

無理な目標設定はしない

タイムマネジメントは無理な目標設定を行うと失敗しやすくなります。

たとえば、時短を実現したいからと、従来は10時間かかっていた資料作成を5時間で行うように計画を立てても、達成は困難です。まずは9時間45分に、次は9時間30分にと、少しずつ限界を探っていく必要があるでしょう。

時間がかかった業務を把握する

タイムマネジメントの取り組みでは、どの業務に時間が割かれているのか明確にすることも大切です。

もし、緊急でも重要でもない作業に時間を割いていると明らかにできれば、そのタスクの優先度を落とすことで業務効率を改善できます。

全てを一人でやろうとしない

業務を部下に適切に割り振ることは「デリゲーション」と呼ばれ、自社の生産性を高めるうえで重要です。

企業のタイムマネジメントは「(自社全体で)同じ時間内にできるだけ多くの業務をこなすこと」を目的としており、そのためにはタスクを一人で抱え込まず、周囲に分散する姿勢が求められます。

QCDRSを意識する

QCDRSとは元は製造業の用語で、製品や製造過程を「Quality(品質)」「Cost(コスト)」「Delivery(納期)」「Risk(リスク)」「Service(サービス)・Safety(サービス)」の5つの視点で評価する考え方です。

QCDRSは、製造業以外の分野でも、作業の完成系をイメージしたり、重要度を測ったりする際に役立ちます。「どの程度の品質を求めるのか、費やしてもよい労力は、期限は」と探っていくことで、タスクの重要度の判断や割いてよい時間の検討ができます。

以下の記事では、QCDRSの一部であるQCDSに関して解説しています。

QCDSとは?それぞれの意味や改善方法について詳しく解説
製造業におけるQCDは重要な要素であり、多くの企業がQCDの改善に取り組んでいます。一方、近年はQCDからQCDSの改善を目標とする企業も増えてきました。 しかしQCDSについて、その言葉自体は知っていたとしても、なぜ重要なのか、またQCDSの具体的な活用方法についてはよく知らないという方も多いのではないでしょうか。 この記事では、QCDSの意味や重要性、それぞれの改善ポイントを解説します。

情報は定期的に共有する

企業やチームのタイムマネジメントは、リーダーが単独で取り組みを推進しても円滑には進みません。

各メンバーが取り組むべき具体的な作業はもちろん、タイムマネジメントにより現状どの程度の成果が上がっているのかも定期的に共有することで、全体のモチベーションアップが期待できます。

管理ツールを活用する

タイムマネジメントの具体的な作業を進める際には、タスクやスケジュールを管理できるITツールを導入するのがおすすめです。

どの業務にどの程度の時間が費やされているのか簡単に分析できるだけでなく、メンバーがお互いのスケジュールを共有し合うことで、重複して作業を行うなどの時間の無駄も削減できます。

タイムマネジメントのための管理ツール・アプリを紹介

最後に、社内のタイムマネジメントの実現に向けて導入したい管理ツール・アプリをご紹介します。

Hours TimeLord

Hours TimeLord

https://hourstimelord.com/

Hours TimeLordは、タイマーのようにタスクの作業時間を記録できる、チームメンバーの時間管理に向いたツールです。各タスクに対して100種類以上のカラーから好きな色を割り当てられるのが特長。

1日や1週間の間にどのタスクにどの程度の時間を費やしているのかをカラフルなレポートとして確認できます。記録結果はPDFやCSVファイルで出力が可能で、さらなるデータ活用も容易です。

Time Designer

Time Designer

https://timedesigner.com/

Time Designerはタスクごとの作業時間の把握に重宝する管理ツールです。

ワンクリックで作業時間の記録を付けることができるほか、タスクの進捗率を登録すると作業完了までの見込み時間も簡単に予測できます。メンバー別の今後の作業予定やこれまでの作業実績も共有可能で、誰がどの程度活躍しているのかを視覚化できます。

Backlog

Backlog

https://backlog.com/ja/

Backlogは有料契約数1万4,000件以上、サービス継続率98.8%(2023年12月末時点)と、大きな実績をもつタスク管理ツールです。

各タスクの詳細を、担当者や優先度などと共に簡潔な形でまとめられるのが特長。タイムマネジメントの基本となるタスクの割り振りや順位付けに重宝するのはもちろん、担当者の作業が曖昧なことによる作業漏れも防ぎます。

Time Crowd

Time Crowd

https://timecrowd.net/

Time Crowdは、社員の稼働状態を把握し人件費の削減を手助けしてくれる管理ツールです。

シンプルな画面で誰が・いつ・何をしているのかを記録でき、時系列に沿ってメンバーの動きを視覚化できます。タイムマネジメントで重要となる無駄な時間の削減に寄与するほか、チームやメンバー別の時間単価を登録しておくと、プロジェクトの収支状況まで簡易的に計算できます。

Qast

Qast

https://qast.jp/

さまざまな業務にまつわる作業時間の短縮を実現できるのが、ナレッジプラットフォーム「Qast」です。

Qastは社内の知識の共有やコミュニケーションの円滑化に役立つ管理ツール。自社専用の知恵袋やWikipediaに似た機能が搭載されており、疑問を気軽に質問し合ったり、ナレッジを誰でも確認しやすい形で蓄積したりできます。

たとえば、毎年同じように新人が質問する内容やある業務で繰り返し必要な知識・データをQast上に登録しておくと、次回以降は社員が必要な情報をQastで自ら検索できるようになり、業務の時短を実現できます。

Qastの詳細やタイムマネジメントに向けた活用策のご相談の際は、ぜひ以下のリンクからお問い合わせください。

Qastのお問い合わせはこちら

まとめ

タイムマネジメントは自社の生産性を高めるために時間を有効に活用する取り組みであり、人手不足に備えて業務を効率化したいと考える多くの企業にとって必須ともいうべき取り組みです。しかし、効果的なタイムマネジメントは、人の力だけではカバーしきれない要素が多々あります。

ここでご紹介した内容を頭に入れつつ、ツールを上手に活用しながら、継続して業務の効率化を進めていきましょう。

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