金融におけるDXとは?推進におけるポイントを解説

いまや多くの企業がDX推進に取り組んでいますが、金融業界も例外ではありません。さまざまな課題が複雑に絡み合う現代、そしてこれからの時代においては、むしろDXなくして金融業界を生き残ることは不可能といっても良いでしょう。

この記事では、金融業界におけるDX推進の取り組み方を、実際の事例を交えて解説します。

金融業界におけるDXとは?

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、「データやデジタル技術を使って新たな価値を創出していくこと」を指します。

DXは、デジタイゼーション、デジタライゼーションという2つのプロセスを経て実現されるものです。デジタイゼーションはアナログ・物理データのデジタル化、デジタライゼーションは個別プロセスのデジタル化を指します。

金融業界においては、従来のアナログ的な営業手法や業務からデジタル化により効率的な業務へ転換していくため、またそれにより将来的な人材の不足を補うために、DXの推進が求められています。

DXについては以下の記事で詳しく解説しています。

DX(デジタルトランスフォーメーション)推進とは?すぐに導入できるツールも紹介
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近年よく見聞きするようになった「DX」(デジタルトランスフォーメーション)という言葉。DXが求められる背景や成功事例を知れば、一過性の流行のようなものではなく、あらゆる業界業種の企業において取り組まなければいけない課題であることがわかるはずです。

金融業界でDXが注目される背景

金融業界においてDXが注目されている背景には以下の4つの動きがあります。

金融機能強化法改正への対応

令和3年5月28日、金融庁から「金融機能強化法改正に係る政令・内閣府令案等」が公開されました。新型コロナウイルスなどによる大きな社会経済情勢の変化に対応するため、金融機関の機能強化を求めるものです。この金融機能強化法改正に対応するためにはレガシーシステムの刷新やITの活用が必要であり、DX推進に取り組む重要性が増しています。

地方経済再生やESG投資といった社会課題への取り組み

経済情勢の不安定化やリモートワークなどの働き方改革により、これまでのような都心一極集中型ではなく、地方に目を向けて経済を再生することの重要性が高まっています。地方経済再生のためには、地域金融の活性化が欠かせません。

また、対外的にも社内的にも時代のニーズに即した経営を行う企業に積極的に投資を図るESG投資の重要性も高まっています。これらの動きに対応するためには、金融業界の業務効率化が求められます。その実現の一環として、DXに大きな注目が集まっています。

「2025年の崖」と呼ばれる経済損失予測

経済産業省の試算では「2025年の崖」問題と呼ばれる、2025年までにDX推進が進まなかった場合、国内で年間最大12兆円もの損失が発生すると予測されています。金融業界においても、安定した経営を続けるため、また既存システムの複雑化・ブラックボックス化を防ぐために、DX推進の重要性が高まっています。

コロナ禍やVUCA時代による未来予測の難化

現代は、新型コロナウイルスや人材の多様化などを背景に、未来予測が難しい時代=「VUCA」に突入しているとされています。その中で企業が生き残るためには、多様な人材を受け入れ、効率的な経営を実現しなければいけません。その観点でもDXは重要な役割を持っています。

VUCAについては以下の記事で詳しく解説しています。

VUCA(ブーカ)とは?新しい時代を生き抜く企業になるための方法・ツールを解説
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テクノロジーの進化やニーズの多様化が進む昨今では、未来を予測することが以前よりも困難になっています。そんな状況を表す「VUCA」という言葉がいま注目を集めています。今回は、VUCAの概要や新しい時代を生き抜く企業になるための方法やツールをご紹介します。

DX推進によって解決すべき課題

金融業界においてもDX推進は最重要事項の一つですが、推進にあたっては課題もあります。主に以下のような課題が挙げられるでしょう。

レガシーシステムの刷新

金融業界においては帳簿や契約書などをアナログ管理している場合が多く、デジタル化された業務においても古いプログラミング言語をそのまま使用しているシステムが少なくありません。レガシーシステムと呼ばれる古いシステムを刷新するためには多くのコストがかかるとともに、利用者にも大きな影響を与えます。このシステムの刷新は一朝一夕に済むものではなく、綿密なDX推進計画が必要になるでしょう。

IT人材の確保

レガシーシステムの刷新や安定した運用などのDX推進には、高いIT知識と技術を持った人材が必要になります。しかし、金融業界に限らず、現在はDX推進を担えるIT人材が不足しています。したがって、有能なIT人材をいかに確保できるかがDX推進の肝といえるでしょう。社内での教育体制構築も念頭に置きながら人材確保の対策を行っていく必要があります。

金融業界におけるDX推進の進め方

では、DX推進に伴う課題を踏まえ、金融業界ではどのようにDX推進を進めていくべきなのでしょうか。その手順を解説します。

金融業界におけるDX推進の進め方

現状の課題を把握する

闇雲にDX推進を行うのではなく、まずは現状の課題を洗い出しましょう。DX推進には大きなコストがかかるものも多いため、一気にすべての施策を展開することは難しいものです。洗い出した課題に対し、重要度や費用対効果をもとに優先度をつけていくことが重要です。

デジタル技術で解決できる課題を列挙する

デジタル技術は便利なものですが、すべての課題をデジタル技術で解決できるかといえばそうではありません。時にはデジタル技術での解決が適していない課題もあります。洗い出した課題に対し、デジタル技術での解決が適しているものといないものを分けると共に、デジタル技術の中でもどの解決方法を採用するのか、ツールの開発や既存のサービス活用なども検討しましょう。

IT人材を確保し業務に当てる

IT人材を確保し育てるため、ITに明るい人材を雇用し業務に割り当てましょう。現在では、高い専門性がなくてもシステム開発が行えるノーコードまたはローコードと呼ばれる技術も広がり始めています。社内で人材を募り、ノーコード・ローコードの教育を行って、自部門でシステム開発ができる体制を整えるのも非常に有効です。

ノーコード・ローコード開発について詳しくはこちらをご覧ください。

ノーコード・ローコード開発とは?DX推進で欠かせない2つの手法
ノーコード・ローコード開発とは?DX推進で欠かせない2つの手法
近年の日本ではプログラマーなどのIT人材が不足しています。プログラミングスクールなどに通ってプログラミングを学ぶ方が増える一方、プログラミングの工程を省力化するノーコード・ローコードといった開発手法が2018年ごろから注目を集めています。

適切なツールを用意する

DX推進にあたっては適切なITツールの導入が必要です。現在では同じ種類のツールでも多様な製品が出ていますが、最適なツールは課題によって異なります。コストについてもチェックしながら、課題に最も即したツールを導入しましょう。

課題と対応ツールの例

  • 請求書の作成や管理:クラウド請求管理システムなど
  • 顧客情報管理:CRM(Customer Relationship Management)など

金融DXの事例

金融業界においてDXがどのように進められているのか、具体的な事例をご紹介します。

東海東京フィナンシャル・ホールディングス

東海東京フィナンシャル・ホールディングスでは、DX戦略の一つとしてFinTechへの投資を進めています。従来の証券取引だけではなく、暗号資産やAIを活用したロボアドバイザー、おつり投資など、顧客にとって魅力的な金融サービスの提供を始めています。スマホ専業証券のサービス提供も予定されており、より手軽に金融サービスを利用できる環境づくりに取り組んでいる事例です。

出典:東海東京フィナンシャル・ホールディングス・DX推進による独創的な経営戦略

大和証券グループ本社

大和証券グループでは、中期経営計画“Passion for the Best” 2023の中で、「デジタルとリアルのベストミックスの追求」という基本方針を提示しています。「IT組織・体制」「IT投資の状況」「システムリスク管理」という3つの観点でDX推進戦略を立て、利便性だけではなくセキュリティも踏まえた施策に取り組んでいます。

出典:大和証券グループ本社・IT戦略・システムリスク管理

りそなホールディングス

りそなホールディングスでは、新型コロナウイルスなどの影響により直接会えない顧客にも焦点を当てたデジタルバンキング戦略に力を入れています。アプリによる口座管理のデジタル化に加え、IT技術を活用した多様なオムニチャネルの開設、データサイエンスを用いたマーケティングなど、会えない顧客にリーチするさまざまな施策を展開しているのが特徴です。

出典:りそなホールディングス・りそなのDXへの取り組み

QastがDX推進をお手伝いします

Qast トップページ

「金融DXの事例」でご紹介した通り、どのようなDX施策に取り組むかは企業によってさまざまです。しかし、DX施策をどう展開するにせよ、社内コミュニケーションの円滑化や属人化の解消などの対策は必ず必要になるでしょう。

ナレッジ経営クラウド「Qast」は、ナレッジの蓄積に特化してコミュニケーションの円滑化や属人化の解消をサポートする情報共有ツールです。シンプルな情報共有ツールのためユーザーのITリテラシーを問わず活用できます。

社内でDXの取り組みを活性化させるためのツールとして、Qastの導入をぜひご検討ください。

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まとめ

金融業界においても、DX推進の取り組みは企業命題といえるほど重要性が高まっています。社会課題解決において金融業界に期待される成果を出し、未来予測が困難な時代において安定した経営を続けるためには、DX推進が非常に重要です。

この記事で解説したDXの方法を参考に、ぜひDXの推進に取り組んでみましょう。

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