オンライン接客とは?導入のメリット・デメリット、活用法を紹介
オンラインでモノやサービスを購入することが一般化している現代では、見込み顧客を取りこぼさないためにオンライン接客を取り入れる重要性が高まっています。しかし、オンライン接客をどのように取り入れればよいかわからないという方も多くいらっしゃるでしょう。
この記事では、オンライン接客の意味や導入方法、メリット・デメリットなどを解説します。
目次
オンライン接客とは?
オンライン接客とは、Webサイトやアプリを通じてインターネット上の顧客とリアルタイムにコミュニケーションを取りながら接客を行う手法です。時間や場所に縛られずに顧客とコミュニケーションが取れ、効果的なアプローチが行えます。店頭とまったく同じコミュニケーションというわけにはいきませんが、モニター越しに対面でのコミュニケーションが可能であり、店頭よりも効率的な接客ができる点が特徴といえます。
Web接客との違い
Web接客とは、接客をWeb上で行う手法です。
もともとWeb接客は、ECサイトを中心に、ポップアップやチャットボットを活用した無人型の接客が主流でした。しかし、無人型の接客では顧客の要望を汲み取れないケースも多くあり、いかに離脱率を下げるかが課題となっていました。そこで生まれたのが、オンライン接客という有人型の接客スタイルです。
Web接客とオンライン接客は混同される場合もありますが、一般的にWeb接客は無人型、オンライン接客は有人型と認識しておくとよいでしょう。
デジタル接客との違い
デジタル接客とは、デジタルツールを活用して1対複数人数のオンライン接客を行う手法です。
デジタル接客では、SNSのライブストリーミング機能などを使い非対面で複数の顧客に対して接客を行います。オンライン接客のような1対1でのコミュニケーションではないため、顧客の細かな要望を聞き取りにくい点がデメリットと言えますが、多くの顧客に同時にアプローチできる点はメリットと言えます。
オンライン接客の必要性
現代では、スマートフォンの普及によってオンラインでモノやサービスを購入することが一般化しています。また、事業者側もオンラインでモノやサービスを販売できるようになったため、従来のような店舗や多くの従業員が不要となり、モノやサービスを販売するハードルが下がっています。
ハードルが下がったことで増加した競合他社との差別化を図り、顧客層を取り込むためには、オンライン接客を導入して積極的に顧客獲得に動く必要があるでしょう。
また、オンライン接客を導入すると人材の効率化や省人化にも繋がります。店舗スタッフを最小限に抑えながらも、ニーズの変化に柔軟に対応できるようにするという点でも、オンライン接客は非常に重要な取り組みといえるでしょう。
オンライン接客の種類
オンライン接客を実現する手法はさまざまあります。ここでは、主な手法を3つご紹介します。
ビデオ通話型
ビデオ通話のツールを用いて、モニター越しに対面で接客を行う手法です。
顧客の表情を見ながら接客できるため、相手の感情を読み取りやすく、顧客もスタッフの顔が見えているため安心できるという特徴があります。
チャット型
Webページなどに設置したチャットツールを通して接客を行う手法です。
ビデオ通話型のように面と向かってのコミュニケーションは取れませんが、その分顧客も気軽に問い合わせができるメリットがあります。上手にチャット型のオンライン接客を取り込めば、顧客に対して売り込み感を与えずにアプローチできるでしょう。
VR(バーチャルリアリティ)型
VRゴーグルなどのVRデバイスを用いて、仮想空間上で商品を見せながら接客を行う手法です。
アパレルやインテリアなどのECサイトでは、洋服が自分のサイズに合うか、家具が自宅の雰囲気にマッチするかなどがわからないことが、顧客のオンライン購入をためらわせる要因となっています。
VR接客を取り入れれば、顧客に実際の使用感を味わってもらいながら、スムーズな商品説明ができます。
オンライン接客の導入メリット
オンライン接客の導入によって得られる5つのメリットを解説します。
集客アップに繋がる
オンライン接客では、インターネットを通して全国各地の顧客にアプローチできます。実店舗を持たないエリアの顧客に対しても実店舗と同じ雰囲気で接客できるため、集客アップに繋がります。
購入率・顧客単価アップに繋がる
従来の無人型Web接客では、一方向的なコミュニケーションによる顧客の離脱が課題となっていました。
しかし、オンライン接客であれば双方向でコミュニケーションが取れるため、購入率アップに繋がることに加え、関連商品の提案による顧客単価アップも図れるでしょう。
リピーターの獲得に繋がる
実店舗への移動の手間がなく自由に商品を選べる点が、オンラインでの購入の大きなメリットです。
オンライン接客によってスムーズなオンライン購入を実現できれば、顧客がリピーターとなってくれる可能性が高まります。また、オンライン接客の質によって競合他社と差別化を図ることも可能でしょう。
顧客満足度の向上に繋がる
オンライン接客であれば、オンラインのメリットを活かしつつ、実店舗と同様のコミュニケーションを取りながら接客できます。丁寧な接客を積み重ねることで顧客をファン化でき、顧客満足度の向上に繋げられるでしょう。
また、オンライン接客をきっかけに「実際に店舗で会って話がしてみたい」と思わせることができれば、実店舗の集客増にも繋げられます。
顧客満足度を向上させる施策については、以下の記事で詳しく解説しています。
人材の効率化・省人化に繋がる
スタッフが店舗に常駐する必要がなく、場所に縛られずに接客できる点も、オンライン接客の大きなメリットです。
店舗に常駐するスタッフを最小限に抑えつつ、複数店舗の接客をリモートで効率的に実施できます。混雑状況に合わせて柔軟にリソースを配分することもできるため、人材の効率化・省人化にも繋がるでしょう。
省人化の取り組み方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
オンライン接客の導入デメリット
オンライン接客には多くのメリットがありますが、以下のようなデメリットには注意が必要です。
通信環境に影響されやすい
オンライン接客はスタッフや顧客の通信環境に影響されやすく、通信環境が良くない場合はレスポンスの遅延や音声・映像の乱れが生まれます。それが顧客にとって大きなストレスとなってしまう恐れがあります。オンライン接客を導入する際は、通信環境の整備や通信環境に合わせたツールの選定が重要となります。
オンライン上では伝えきれないことがある
オンライン接客ではモニター越しに対面で接客ができますが、触覚や嗅覚、味覚のような実物でしか伝えられない情報も存在します。必要に応じてサンプル品を送付するなど、オンラインで伝えられない情報をフォローする対策を検討しましょう。
導入するためのコストや教育が必要になる
オンライン接客を導入するためには、ツールの導入にかかるコストや、スタッフがツールを使いこなすための教育が必要となります。そのため、ツールを導入してもすぐに効果が出るわけではなく、うまく使いこなせるようになるまでは生産性の低下が発生する可能性があることを認識しておきましょう。
オンライン接客を導入する際のポイント
オンライン接客のデメリットをふまえつつ、上手にオンライン接客を活用するポイントを解説します。
導入する目的を明確化する
オンライン接客を導入する前に、まずは導入の目的を明確化しておきましょう。導入する目的が明確でないと、どのようにツールを使うべきかがわかりにくくなり、適切な効果測定もできなくなります。
導入メリットでも紹介したように、オンライン接客には、集客増、顧客満足度向上、生産性向上、人員削減などさまざまな効果があります。そのうちの何を達成するために導入するかを決め、具体的な目標値を設定するとよいでしょう。
サービス・商品に合った方法を選ぶ
オンライン接客に活用できるツールはさまざまあり、商品やサービスによってどのツールが効果的なのかが異なります。
たとえば、旅行代理店であれば映像で旅行の魅力をアピールできるツール、アパレルであればVRなどで質感や雰囲気を感じ取ってもらえるツールなどが有効でしょう。
接客シーンによってもどのツールを選ぶべきかは異なるため、導入目的もふまえてツールを選定することが重要です。
ネット環境を整える
オンライン接客ツールをストレスなく使えるよう、ネットワーク環境を整えましょう。ネットワーク環境を整えたうえでツールを適切に活用できれば、オンライン接客の効果は大きく高まります。
ただし、顧客のネットワーク環境に依存する部分も大きいため、ネットワークに負荷がかかりにくいツールを選ぶ、顧客のネットワーク環境に柔軟に対応できるよう複数の手段を用意しておくなどの取り組みも重要です。
オンライン接客に合わせた教育を行う
スタッフがツールをうまく使いこなせるよう、オンライン接客の教育を行いましょう。ツールの基本的な使い方はもちろん、どういうシチュエーションでオンライン接客を活用するかの教育が非常に重要です。他社の事例や自社の実績をもとに、オンライン接客のノウハウを蓄積しましょう。
オンライン接客の成功事例
オンライン接客を導入し、成果を得ている事例を4つご紹介します。
不動産・住宅業界
不動産事業を展開するA社では、モデルルームへの来場者減に課題を感じており、顧客がより気軽に相談できる環境を模索していました。そこで、モデルルーム来場前にビデオトークを活用したオンライン接客を導入しました。
導入後、新型コロナウイルスの影響でオンライン接客の需要が高まったこともあり、ビデオトークを活用したオンライン物件説明のニーズが拡大。成約率約1.5倍~2倍という大きな成果を得ています。
引っ越し業界
引っ越し事業を手掛けるB社では、見積もりをオンライン化しました。それによって顧客の負担が軽減するとともに、スタッフが現地訪問する必要がなくなったことによるコスト削減も実現しています。
専用アプリのインストールが要らず、顧客に手間をかけずに利用できるツールを導入している点も、成功の大きなポイントでしょう。
アパレル業界
アパレル業界のC社は、LINEを使ったオンラインチャットとビデオによるオンライン接客を導入しました。チャットからは気になった商品を気軽に問い合わせでき、より詳しく知りたい商品についてはビデオによる実物の商品説明を実施しています。
商品確認や取り置き、配送依頼などの細かなサービスもオンラインで提供しており、販路拡大に成功しています。
小売業界
家具を取り扱う小売業界D社は、ビデオを使ったオンライン接客を導入しました。商品の確認だけではなく、専門のスタッフが部屋の雰囲気に合わせた商品の提案や正しい採寸方法のサポートなども実施しているため、顧客は店舗に行くことなく最適な家具を選択できます。結果として、集客増と顧客満足度の向上を実現しています。
オンライン接客の今後の展望
総務省の「令和3年版 情報通信白書」によれば、2020年3月以降、インターネットショッピングを利用する世帯数は急増し、2人以上の世帯の半数以上がインターネットショッピングを利用しています。
特に新型コロナウイルスの感染拡大以降は、リモートワークが定着したことなどを背景に、嗜好品だけでなく生活必需品のオンライン購入需要が高まっています。これまでよりも幅広い分野でオンライン購入の需要が高まっており、今後もそのニーズは高い水準を維持し続けるでしょう。
出典:総務省「令和3年版 情報通信白書」
まとめ
オンライン接客とは、デジタルツールを活用し、オンラインで顧客とリアルタイムにコミュニケーションを取りながら接客を行う手法です。オンライン接客ツールにはさまざまな種類があり、商品やサービスに合わせたツールを導入することで大きな成果を得られるでしょう。
オンライン接客では、集客やリピーターの増加、購入率や顧客単価のアップ、顧客満足度向上、人材の効率化・省人化などを実現できますが、通信環境の整備やオンラインで伝えられる情報の制約、導入・教育コストに注意する必要もあります。他社の成功事例を参考にしつつ自社でのノウハウを積み重ねれば、オンライン接客で大きな成果を獲得できるはずです。
ぜひ、この記事の内容を参考に、オンライン接客の導入に取り組んでみてください。