経営におけるミドルアップダウンとは?経営手法の違いやメリットについて解説

従来の組織マネジメントにおける代表的な手法には「トップダウン」と「ボトムアップ」がありました。しかし、両者にはそれぞれ課題があり、取り組んでいるものの思うように機能していないと感じることはないでしょうか。

この課題を解決するために近年注目を集めているのが「ミドルアップダウン」という手法です。この記事では、ミドルアップダウンの概要やメリット、導入方法などを解説します。

ミドルアップダウンとは?

ミドルアップダウンとは、組織のミドル、つまり中間管理職が中心となって組織経営を行うマネジメント手法です。トップ層の経営判断を受けてロワー層に定着させつつ、ロワー層からの意見を吸い上げてトップ層への提言も行います。

従来の中間管理職もトップ層とロワー層の調整役として機能していた企業が多くありますが、トップ層とロワー層の摩擦を抑えるネガティブな面が目立つことも少なくなかったでしょう。ミドルアップダウンは、中間管理職に力を持たせ、ポジティブな面での経営参画を目指すマネジメント手法です。

ミドルアップダウンの解説

トップダウンとの違い

トップダウンは企業の経営陣であるトップ層が主体となる上意下達型のマネジメント手法です。トップ層が状況に応じて迅速に経営判断ができるメリットがありますが、ロワー層が指示待ちになりやすく、現場の指揮力やモチベーションの低下を招きやすいデメリットがあります。

ボトムアップとの違い

ボトムアップは現場の従業員であるロワー層が主体となる下意上達型のマネジメント手法です。ロワー層が力を持つため現場で実現したいことを実現しやすく、現場の人材育成やモチベーション向上に繋がりやすいメリットがあります。一方で、企業としての全体的な方向性や展望を見失いやすく、現場ごとに方針がバラバラになりやすいデメリットがあります。

トップダウンとボトムアップについては以下の記事で詳しく解説しています。

トップダウン・ボトムアップとは?企業に取り入れる方法やツールを紹介
トップダウン・ボトムアップとは?企業に取り入れる方法やツールを紹介
企業の意思決定スタイルには「トップダウン」と「ボトムアップ」の2つが存在します。2つの意思決定スタイルにはそれぞれメリットとデメリットがあり、一概にどちらの意思決定スタイルのほうが良いかは決められませんが、重要なのは自社環境に合わせて両者のメリットを組み合わせた意思決定を行うことです。

ミドルアップダウンの重要性や役割とは

ミドルアップダウンの重要性が高まっている背景や求められる役割には以下が挙げられます。

複雑化してきている仕事を円滑にする

現代では技術の進歩や顧客ニーズの多様化を背景に仕事が複雑化し、現場ごとに導入したい仕組みやツールの要望が生まれます。ミドル層が現場の声を吸い上げ、トップ層に提言して仕組みやツールの導入ができれば、現場の負担軽減や仕事の円滑化に繋がるでしょう。現場の声からイノベーションが生まれる可能性も高まります。

他部署との連携が欠かせなくなってきている

マーケティング部門と営業部門の連携など、顧客のニーズを満たすサービスを提供するためには複数部署での連携が必要とされてきましたが、さまざまなチャネルから情報を得られるようになった現代では、これまで以上に部署間での連携が重要になっています。ミドルアップダウンによってミドル層が各部署の橋渡しとなれば、部署間の連携がスムーズに進み、業務品質の向上に繋がります。

トップ層とロワー層との意識のズレを解消できる

トップ層とロワー層では企業内で見ている実情が異なるため、どうしても意識のズレが発生してしまいます。企業規模が大きくなるほど、トップ層が現場の状況を把握すること、ロワー層が企業全体を見て何があるべきかを考えることは困難になるでしょう。ミドルアップダウンによって、ミドル層がトップ層の経営判断をロワー層に定着させる、またロワー層の現状認識をトップ層に伝えることができれば、意識のズレをなくし、企業全体が同じ認識を持って目標達成に向かうことができます。

ミドルアップダウンマネジメントのポイント

ミドルアップダウンの重要性は前述の通りですが、成果を得るには以下のポイントを押さえておきましょう。

経営層における現状の把握

経営層はまず、ミドル層の現状把握を行いましょう。多くの企業で人材不足が課題となっている昨今では、ミドル層が実務とマネジメント両方を行うプレイングマネージャーとなっているケースが多くあります。ただでさえミドル層の負担が大きい中、さらにミドルアップダウンに取り組もうとしても、結果が出ないばかりか貴重なミドル層の人材流出にも繋がりかねません。そうしたことを防ぐためにも、経営層はミドル層の現状を把握する必要があります。

評価軸の見直し

ミドルアップダウンに取り組んでもすぐに成果が上がるわけではありません。ミドルアップダウンの取り組みを評価する際には、中長期的な目標と成果に対して評価を行う、行動プロセスによって評価を行うといったように、評価軸を見直すようにしましょう。

経営目標の社内への周知徹底

経営目標は、ミドル層を通してロワー層まで周知を徹底しましょう。これまでのようにトップ層が設定した経営目標を一方的に周知するだけではトップダウンと変わらず、従業員ごとに経営目標を把握している・していないが分かれてしまいますし、なぜその経営目標が設定されたか、その背景への認識が異なってしまいます。それらを社内に徹底して周知することもミドル層の役割です。

情報の共有を円滑に行うための環境整備

多忙に動き回ることの多いミドル層にとっては、情報共有をいかにスムーズに行えるかがとても重要です。負担なく情報共有できるよう、コミュニケーションツール導入などの環境整備を進めましょう。ITツールを導入すれば情報の共有だけでなく蓄積もできるため、後から参照するといったことも可能になります。

ミドルアップダウンマネジメントを導入する流れ

ミドルアップダウンを実際に導入する際は、以下のステップで進めていくと良いでしょう。

目標の明確化

まずは、ミドルアップダウンによって実現する目標を明確化しましょう。目標はKPIなどを用いて具体的に設定し、人によって認識のズレが生まれないようにすることが重要です。また、ミドルアップダウンの実施にはミドル層だけでなくロワー層の協力も不可欠です。設定した目標はロワー層まで周知を徹底しましょう。

各組織・部署における役割の設定

ミドルアップダウンの実施には、企画戦略や人事、監査など、さまざまな組織・部署の取り組みが必要です。ミドルアップダウンの導入にあたって各組織・部署がどのような役割を担うのかを事前に設定しておきましょう。各役割が明確になっていないと、業務のなすりつけあいにより機能不全を起こす場合もあります。

PDCAを回す

ミドルアップダウンの取り組みは大きな企業変革にも繋がるため、成果が出る体制が構築できるまでには時間がかかります。効果的なミドルアップダウンを実現するために、設定した目標に対する行動や成果を振り返ってPDCAを回し、改善を図ることが大切です。PDCAの中で蓄積されたナレッジを活用すれば、新たなミドル層の育成にも役立つでしょう。

「Qast」で情報・意見をまとめて共有しよう

Qast トップページ

情報共有をいかに円滑に行えるかがミドルアップダウン成功の鍵です。特にロワー層への周知徹底や意見の吸い上げは負担が大きくなりやすく、実施における環境整備が重要でしょう。その点、ナレッジ経営クラウド「Qast」は、簡単に情報共有が行えるとともに、タグ付け機能によって経営目標ごとに周知情報を整理できます。

また、Qastはナレッジの蓄積に強いツールのため、PDCAによって得られたナレッジの蓄積や、ミドルアップダウンにおけるベストプラクティスの共有、ナレッジを使ったミドル層の育成などにも活用できます。

ミドルアップダウン実施の際は、Qastの導入をぜひご検討ください。

Qastについて詳しくはこちら

まとめ

ミドルアップダウンは、ミドル層を中心に組織経営を行う、トップダウンとボトムアップの両方の長所を併せ持つマネジメント手法です。ミドルアップダウンに取り組めば、現代の急速な市場変化に対応しやすくなり、変化に強い組織作りが可能となるでしょう。

ミドルアップダウン成功の鍵は、情報共有を円滑に行う環境整備にあります。ミドルアップダウンに取り組む際は情報共有ツールを導入し、ミドル層の情報共有をしっかりサポートしましょう。

企業のナレッジマネジメントを
成功に導くクラウドサービス

企業のナレッジマネジメントを成功に導くクラウドサービス
expand_less