ワイガヤとは?イノベーションを生む議論手法の取り入れ方とは
社内において自由な発想で議論しイノベーションを生みだしたいと考える経営者・経営陣の方は多いでしょう。しかし、実際に現場で議論をしても新しいアイディアはなかなか生まれにくいものです。
そこで近年注目が集まっているのが「ワイガヤ」という議論手法です。今回は、ワイガヤの概要や実践方法、取り組みのコツをご紹介します。
目次
ワイガヤとは?
ワイガヤとは、自動車メーカー大手の本田技研工業株式会社(HONDA)で取り入れられている議論手法です。職種や年齢、性別などの違いにかかわらず、多人数で気軽に議論をかわすことを指します。「ワイワイガヤガヤ」が語源となっており、同じ組織に所属する者同士がざっくばらんに話し合うことが特徴です。
ボトムアップ開発との違い
現場の人達が議論しアイディアを出すという点では、従来からある「ボトムアップ開発」と同じ発想ですが、ワイガヤでは職種や年齢などの上下関係は重視されません。属性の異なる従業員が集まって自由に意見を出し合うという点で、ワイガヤとボトムアップ開発は異なります。
ボトムアップ開発については以下の記事で詳しく解説していますので、併せてぜひ参考にしてください。
集団的知性との違い
集団的知性とは、集団で知識を持ち合ってより良い方法を模索する議論手法で、古くからある「三人寄れば文殊の知恵」ということわざにも共通する発想です。集団で議論を行う点ではワイガヤと共通していますが、ワイガヤは個人のひらめきである主観を重視しています。知識の持ち合いではなく、集団での議論の中で個人のひらめきを引き出すという点で、ワイガヤと集団的知性は異なります。
ブレインストーミング(ブレスト)との違い
ブレインストーミングは複数人でアイディアを出し合い議論を行う議論手法です。その点ではワイガヤと共通していますが、ブレインストーミングではアイディアの量を重視するため、アイディア出しを阻害するような否定は避けることが前提にあります。ワイガヤにおいては、自由にワイワイガヤガヤ話し合うことを重視しており、否定も禁止されていないという点で違いがあります。
ワイガヤの実践方法
では、ワイガヤを実際に現場で実践する際にはどのように行えば良いのでしょうか。その実践方法を解説します。
テーマを決める
まずはワイガヤで話し合うテーマを決めます。ワイガヤでは、ただ集まって話を開始するのではなく、課題やテーマを共有しながら話し合いを行います。テーマを細かくしすぎる必要はありませんが、どういったことについて話すか、ざっくりとしたテーマを決めておきましょう。
議論に参加するメンバーを選出する
ワイガヤのメンバーには、職種や年齢などの属性が異なる従業員を選定します。特に自ら情報発信することが得意なメンバーを選ぶと同時に、メンバーを取りまとめるリーダーも選定するようにしましょう。
場所を選定する
ワイガヤを行う際は、実践する場所も重要です。通常の会議室などではどうしても職場感が抜けず、リラックスして議論を行うことができません。例えば保養所などのリラックスできる場所や、会議室を使う場合でも社外の会議室を使うようにし、気軽に話せる環境を作ることが必要です。
雑談から始め自由な発想で議論する
ワイガヤでは和やかで話がしやすい雰囲気作りが重要です。まずはアイスブレイクとなるような雑談から始め、自由な発想で議論が行えるようにします。製品やソリューションの開発といった話題に重きを置かず、気軽に意見を交わして個人の発想を大事にしましょう。
トランザクティブメモリーがワイガヤ成功のカギ
トランザクティブメモリーとは、各業務に関する情報が社内のどこにあるか(誰に聞けばよいか)を従業員が把握している状況が重要だとする考え方です。トランザクティブメモリーに取り組んでいると、どの従業員がどのような情報を持っているのか、誰が発信が得意なのかなどを把握でき、ワイガヤのメンバー選定に役立ちます。
トランザクティブメモリーについては以下の記事で詳しく解説していますので、併せてぜひ参考にしてください。
まとめ
今回は、ワイガヤの概要や実践方法、取り組みのコツをご紹介しました。
ワイガヤは、職種や年齢などの立場に関係なく、集団でワイワイガヤガヤと自由に議論をかわす議論手法です。ワイガヤを実践する際は、発信が得意なメンバーの選定や和やかに話ができる場所の選定、アイスブレイクが重要となります。加えてトランザクティブメモリーに取り組めば、発信に適したメンバーの選定がしやすくなり、ワイガヤの実践に役立つでしょう。
ぜひトランザクティブメモリーに取り組むと共に、現場にワイガヤを取り入れて新しいアイディアの創出に役立ててみましょう。