コンフリクトが発生する原因とは?事業促進に繋がるコンフリクトマネジメントについても紹介
これまではマイナス要素として捉えられてきたコンフリクトですが、近年のビジネス環境ではコンフリクトをうまく活用する「コンフリクトマネジメント」が注目を集めています。では、コンフリクトマネジメントとは具体的にどのような手法を指すのでしょうか。
今回は、コンフリクトの意味やコンフリクトマネジメントの概要、導入のメリットやデメリットなどを解説します。
目次
コンフリクト(Conflict)とは
コンフリクト(Conflict)は英語で「衝突」や「対立」を表す言葉です。ビジネス環境では、個人や組織において利害関係や意見の食い違いが発生している状況を表します。
これまでの日本では「コンフリクトはできるだけ避けるべきもの」というマイナスの視点が一般的でしたが、その概念が近年変わりつつあります。
コンクリフトのマイナス面
コンフリクトが発生すると、解消するために大きな時間と労力がかかる場合があります。状況によっては従業員同士の不和に繋がり、無用なコミュニケーションが生まれる、不満が残りフラストレーションがたまるなどの問題が発生します。
コンフリクトをうまく解消できなければ、不和やフラストレーションからさらなるコンフリクトが生まれやすくなる点に注意が必要です。
コンクリフトのプラス面
コンフリクトは、それぞれの考えを主張することから生まれるものです。自分の考えを主張できる組織風土は従業員のモチベーションを高められますし、主張が衝突するなかで、お互いの主張の背景にある立場や課題などへの理解を深めることもできます。
コンフリクトのマイナス面を抑え、プラス面を活用できれば、あらゆる立場からの意見を拾い上げられるようになり、組織の活性化や生産性向上に繋がるでしょう。
コンフリクトが起こる原因は?
コンフリクトが発生する主な原因は、「条件」「感情」「認知」の3つに分類できます。それぞれの対立について詳しく解説します。
「条件」の対立
「条件」の対立は、立場や役割などの違いによって生まれる利害関係や意見の対立です。
たとえば、部下は現場改善のための施策を出している一方、上司はコストや全体最適をふまえて反対意見を出すケースが該当します。
上司の意見を押し通すと「上司は現場のことを何もわかっていない」と不満が出るなど、どちらかの意見を押し通せばコンフリクトのマイナス面の影響を受けやすくなります。
「感情」の対立
「感情」の対立とは、個々人の感情から生まれる対立です。
たとえば、「あの人とはウマが合わないから話したくない」「あの人には何を言っても無駄」などの言葉が従業員から生まれているケースが該当します。
「条件」や「認知」の対立が長引くことで生まれやすく、対立の背景にさまざまな感情(怒りや恐怖、無関心など)がある点が特徴です。対立が長引くほど問題が根深くなっていくため、こまめに溝を埋め、対立を解消する取り組みが重要になります。
「認知」の対立
「認知」の対立は、考え方や価値観の違いによって生まれる対立です。
たとえば、新規事業が順調に進んでいないことに対し、ある人は「まだまだ改善の余地がありチャンスだ」と考えるのに対し、ある人は「結果が出ておらずうまくいかないリスクが高い」と考えるといったケースが該当します。
同じ戦略や方針であったとしても、どこに重きを置くかによって受け取り方が変わります。お互いの意見がどのような価値観からきているかを理解し、その上で何を重視すべきかを話し合うことが重要です。
組織を活性化する「コンフリクトマネジメント」
これまで、コンフリクトはできるだけ避けるものとされてきましたが、お互いの意見を踏まえてWin-Winの解決策を模索することでプラスの効果も生みだします。
その考え方から、コンフリクトをネガティブに捉えるのではなく、対立を積極的に受け入れて問題解決を図る「コンフリクトマネジメント」という考え方が注目を集めるようになっています。
対立を解消するためのポイントは「コンフリクト・マトリクス」
対立を解消する際の行動分類として、コンフリクト・マトリクスと呼ばれるものがあります。
コンフリクト・マトリクスでは、自己主張の度合いを縦軸、他者への協力度合いを横軸にし、以下の5つに考え方を分類します。
- 競争:相手より優位に立つことで相手に意見を飲み込ませる
- 適応:自分の意見をおさえ、相手の意見を飲み込む
- 回避:お互いが歩み寄らず解決から逃げる
- 妥協:お互いが譲り合い、その場をおさめようとする
- 協働:お互いがWin-Winとなる解決策を考える
この分類により対立の解消を図るのがコンフリクト・マトリクスです。
イノベーションを生み出すにはヘルシーコンフリクトが欠かせない
イノベーションを生み出すためには、さまざまな立場や価値観から得られる意見を吸い上げ活用することが欠かせません。ヘルシーコンフリクト(健全な対立)とは、コンフリクトマネジメントを適切に行い、コンフリクトのマイナス面を抑え、プラス面を活かすコンフリクトのことです。
近年では、多様な人材を受け入れるため、ダイバーシティやインクルージョンの重要性も増しています。ヘルシーコンフリクトの実現を目指す際には、ダイバーシティやインクルージョンをふまえ、誰でも自分の考えを発信できる組織風土をつくると良いでしょう。
ダイバーシティとインクルージョンについては以下の記事で詳しく解説しています。
コンフリクトマネジメントを導入するメリット
では、コンフリクトマネジメントを導入することで具体的にどのようなメリットが得られるのでしょうか。ここでは5つのメリットを解説します。
これまでにない発想が生まれる
対立を通してお互いの立場・意見への理解を深めることで、自分達の立場からだけではない発想が生まれます。
相手の立場を理解せず頭ごなしに否定するよりも、新しい解決策を模索することで組織全体の改善や課題解決に繋がるでしょう。
連携がとりやすくなる
お互いの立場や意見への理解が深まると、連携がとりやすくなります。
たとえば、どのような提案であれば相手が受け入れやすいのか、誰に話を持っていけばスムーズなのかなど、話をまとめるために重要なポイントをおさえることができます。それにより、日常業務における連携の強化にも繋がるでしょう。
人間関係が円滑になる
コンフリクトの解消は従業員同士の理解を深め、人間関係の円滑化に繋がります。お互いが納得感を得たうえで話がまとまれば、コミュニケーション不足や不満を避けることができます。
むしろ、お互いの意見をじっくり話し合うことで相互理解や信頼関係の構築が図れるでしょう。
議論の質が上がる
対立をポジティブに捉える風土が広がれば、対立を恐れずに従業員が意見を出し合えるようになります。若手など立場が弱い従業員の意見が抑圧されなくなるため上下の風通しが良くなり、議論の質が向上します。
組織全体の成長に繋がる
ポジティブな議論が繰り返されるようになると、組織全体が活性化します。従業員が「自分の意見が無視されることはない」と感じることができれば自主性の醸成や積極的な改善提案が進むため、組織全体の成長に繋がります。
コンフリクトマネジメント導入のデメリット
上手にコンフリクトマネジメントを取り入れることができれば前述のようなメリットが得られますが、コンフリクトマネジメントに失敗すると大きなデメリットがあるのも事実です。
協働がうまくできずお互いの確執だけが深まると風通しが悪くなり、さらに確執が深まるという負のループに陥りやすくなります。
コンフリクトのデメリットを回避しつつ上手に取り込む方法について、次の項目で解説します。
コンフリクトマネジメントを導入する際のポイント
前述したコンフリクトマネジメントのデメリットを踏まえ、2つのポイントをご紹介します。
議論がしやすい企業風土を作る
議論がしやすい企業風土作りはコンフリクトマネジメントに不可欠です。対立することをネガティブに捉えない価値観を形成し、活発に議論できる環境を整えましょう。
例えば、思っていることを伝えるのが苦手な人や、自分の意見を主張しにくい若手などが忌憚なく意見できるような企業風土を意識して整えると、垣根のないオープンな議論が実現しやすくなります。
ナレッジマネジメントツールを用いて議論をする場を設ける
口頭での議論も重要ではありますが、面と向かっての場合どうしても自由に意見を出しにくいという方もいます。
そんな時、ナレッジマネジメントツールを議論の場として活用すれば、対面で意見をするのが苦手な従業員でも議論がしやすくなります。
ツールであれば、過去の議論や対立の原因、解決策など、過去の情報を蓄積しやすいというメリットもあります。状況に応じて議論の場を使い分けるようにすると効果的でしょう。
Qastが「良いコンフリクト」をサポートします
コンフリクトマネジメントを取り入れ議論の場に活用できるナレッジマネジメントツールとしては、ナレッジ経営クラウド「Qast」がおすすめです。
Qastはフォルダ分けやタグ付けなどの情報整理機能と優れた検索機能が備わっており、情報の蓄積がしやすいという特徴があります。
また、シンプルで誰でも利用しやすい操作性も魅力です。従業員への情報伝達手段としても適しており、議論がしやすい企業風土づくりにも大きな効果を発揮します。
また、投稿頻度や投稿の評価をスコア化する機能で貢献度を測り、人事評価に繋げるといったことも可能です。
コンフリクトマネジメントを導入する際は、Qastの導入をあわせて検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
今回は、コンフリクトの意味や起こる原因、コンフリクトマネジメントの概要、導入やメリット・デメリットなどを解説しました。
これまではコンフリクトはできるだけ避けるものとされてきましたが、最近ではコンフリクトを管理しメリットを得るコンフリクトマネジメントという考え方が注目を集めるようになりました。
導入するとこれまでにない発想が生まれやすく、議論の質があがることで組織全体の成長にも繋がります。
ビジネスにおいては新しい発想が常に求められますが、そんな時にコンフリクトマネジメントはきっと効果を発揮します。「Qast」のようなツールを活用しながら、ぜひその取り組みにトライしてみてはいかがでしょうか。