ペーパーレス化は必要?現状やメリット、進める方法からツールについても紹介

ペーパーレス化への取り組みは、環境対策やDX推進の一貫としてだけではなく業務効率化の観点からも重要な施策の一つです。

今回は、ペーパーレス化が推進される背景やその取り組み方、メリット、おすすめのツールなどを紹介します。この記事を参考に、ぜひ自社内のペーパーレス化を実現してください。

ペーパーレス化とは?

ペーパーレス化とは、資料や報告書などの書類を、紙を使用せず電子的なデータで保存・利用することです。

働き方改革におけるテレワーク普及促進関連事業の「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」にもペーパーレス化に関する記載が盛り込まれるなど、今や国全体の施策としてその取り組みが進んでいます。

ペーパーレス化が推進されるようになった背景

なぜペーパーレス化は国全体の施策となり、多くの企業で推進されているのでしょうか。ここでは、ペーパーレス化が推進されるようになった背景をご紹介します。

作業の効率化・働き方の多様化

ペーパーレス化は、業務の効率化の一環として働き方改革に結びつけられています。物理的な媒体である紙に情報を保存した場合、保管する場所が必要となることに加え、閲覧できる機会が限られ、同時に複数人で閲覧することが難しくなります。情報を外部と共有したい場合には紙を外部に持ち出す必要があり、紛失・盗難・情報漏えいのリスクが高まりますし、情報を必要とする方に届くまでの時間も長くなります。

一方、電子化してデータで保存すれば、紙で保存するよりもはるかに小さなスペースで済み、クラウドを利用しインターネット上に保管すれば複数の方が容易にアクセスできます。電子化にもセキュリティリスクは存在しますが、紙を逐一外部に持ち出すことに比べればヒューマンエラーによる紛失・盗難は避けやすくなるでしょう。また、メールでのファイル添付やクラウド上でのデータのやりとりであれば、知りたい相手にすぐに情報を届けられます。

ペーパーレス化は、業務上の無駄の削減だけでなく、場所を問わず情報をやり取りできることから、多様な働き方を含めた働き方改革を実現するための重要な施策の一つとなっています。

電子帳簿保存法の改正

電子帳簿保存法は、1998年に定められた国税関係帳簿書類の電子保存に関する法律です。

施行後も、電子保存の対象範囲が拡大された2005年のe-文書法や、データの保存方法などさまざまな項目で見直しが行われた2016年および2018年の電子帳簿保存法改正など、帳簿の電子保存に関する規制緩和は進んでいます。

規制が緩和され、企業として電子帳簿を導入・活用しやすくなった点も、ペーパーレス化の推進が進んでいる大きな理由の一つです。

ペーパーレス化の現状

ここでは、ペーパーレス化が世間でどの程度浸透しているのか、ペーパーレス化の現状をご紹介します。

ペーパーレス化を推進している企業の割合

ペーパーロジック株式会社が行ったリサーチ「ペーパーレス化に伴う2024年度予算に関する調査」では、2023年度にペーパーレス化を「積極的に行った」企業は11.2%、「ある程度行った」企業は43.9%に上り、約55%の企業がペーパーレス化に取り組んだと報告されています。

2024年度に関しても、ペーパーレス化の推進を「予定している」企業が22.0%、「検討している」企業が37.3%と、約60%の企業がペーパーレス化推進を予定もしくは検討しています。

一方で、2023年度にペーパーレス化を推進しなかった企業の83.7%が2024年度も推進しない意向となっており、ペーパーレス化を推進する企業・しない企業で二極化が進んでいる状況です。

出典:ペーパーロジック株式会社

DXの取り組みでは社内業務のペーパーレス化が最も多い

昨今、DXに積極的に取り組む企業が増えていますが、総務省の「令和2年版 情報通信白書」によると、DXの取り組みで最も多く実施されているのがペーパーレス化です。ペーパーレス化はテレワークやWeb会議などの柔軟な働き方を実現するうえで不可欠の対策となります。

DXの取り組みでは社内業務のペーパーレス化が最も多い

※総務省:令和2年 情報通信白書「ICT化に関連する業務慣行の改善」を加工して作成

出典:令和2年版 情報通信白書

デジタル化の実施は海外と比較すると遅れている状況

総務省の「令和5年 情報通信に関する現状報告の概要」によると、日本のデジタル化の実施状況は48.4%となっており、米国の78.6%、ドイツの80.6%、中国の88.3%と比べて低い数値となっています。

企業別に見ると、大企業の25%、中小企業の70%以上が「未実施」となっており、特に中小企業でのデジタル化が遅れていることが分かっています。

IT技術の発展によりグローバル化が加速していくことを考えれば、デジタル化を進めて業務効率化や生産性向上、顧客体験の向上に繋げる取り組みは避けては通れないものです。

デジタル化の実施は海外と比較すると遅れている状況

※総務省:令和5年 情報通信に関する現状報告の概要「デジタル化の実施状況」を加工して作成

出典:令和5年 情報通信に関する現状報告の概要

ペーパーレス化を進めるメリット

ペーパーレス化には多くのメリットがあります。ここでは、主なメリットを4つご紹介します。

コストの削減に繋がる

ペーパーレス化が実現すれば、印刷費用を削減できます。印刷費を1枚10円とすると、毎月1,000枚印刷すれば10,000円、10,000枚印刷すれば10万円と、思った以上にコストがかさみます。また、印刷紙や書類の保管場所にもコストがかかっています。

ペーパーレス化のためにはツール導入などのコストがかかりますが、長いスパンで考えれば、ペーパーレス化を実施したほうがコストを抑えられるはずです。

業務の効率化に繋がる

ペーパーレス化を実施し情報を電子化すれば、社内で情報を探す時間、社内対応の時間が削減でき、業務効率化に繋がります。膨大な書類のなかから必要な情報を探し出すのには時間がかかりますが、電子データであれば情報をすぐに取り出せます。

必要な情報を必要なタイミングで取り出しやすくなれば、従業員それぞれが不明点を自己解決でき、生産性が向上します。検索機能に優れたツールを導入すればより大きな効果が期待でき、新人の教育コスト削減にも繋がるでしょう。

働き方の選択肢が広がる

書類を電子化しペーパーレス化することによって、場所に縛られずに情報にアクセスできるようになります。

また、書類の承認プロセス自体も電子化してしまえば、出社して書類に押印をもらう作業も削減できます。業務を極力出社せずに行えるようになることで、働き方の選択肢が広がり、テレワークなどの推進もしやすくなるでしょう。

情報管理やセキュリティの強化に繋がる

ペーパーレス化により紙媒体ではなく電子データで情報を管理することで、紛失・盗難による情報漏えいや災害などによる情報紛失のリスクを軽減できます。

ツール上やクラウド上に情報を保存することに不安を感じる方もいらっしゃるかと思いますが、セキュリティを強固にするさまざまな機能を有したツールもあります。

ツールをうまく活用すれば、セキュリティ強化を図れるとともにBCP対策にも繋がるでしょう。

ペーパーレス化の課題

ペーパーレス化には多くのメリットがありますが、導入時には以下のような課題があります。

  • ツール導入やルールの整備のためにコストや工数がかかる
  • 利用の定着に時間がかかり、すぐに効果が出ない可能性がある
  • 従業員のITリテラシーに合わせてマニュアルや研修が必要になる
  • ツールの不具合や障害の影響を受ける
  • 十分なセキュリティ対策を行わないとサイバー攻撃のリスクが高まる

これらの課題を解決するには、誰でも利用しやすい、サポートが充実している、自社のセキュリティポリシーに沿ったセキュリティ機能が提供されているツールを選ぶことがおすすめです。

ペーパーレス化を進める方法とは?

では、ペーパーレス化はどのように進めれば実現できるのでしょうか。その方法をご紹介します。

ペーパーレス化の目的を明確に社内に周知する

これまで情報を紙に印刷していた文化を刷新するためには、従業員の協力と意識改革が必要です。まずはペーパーレス化を実施する意図や目的を明確化し、社内に周知しましょう。

ペーパーレス化の結果、従業員の働き方がどのように変わるか、どのようなメリットがあるのかを理解してもらうことで、ペーパーレス化の取り組みはより進めやすくなります。

書類の分類や使用目的をまとめる

ペーパーレス化を行う際は、ファイルを保存するフォルダの構成やファイルの命名規則、アクセス権限、保管日数やバックアップ取得頻度など、データの取り扱いに関するルールを整備する必要があります。適切なルールを整備するために、書類の分類方法や使用目的をまとめておきましょう。

電子化した書類を管理する方法を決めておく

せっかく紙の書類をスキャンし電子化しても、その管理がずさんでは意味を成しません。データをどこに保存するかをしっかり検討しましょう。

電子化した書類の管理には、共有サーバーに保管する方法、クラウドサービス上に保管する方法などが考えられます。

共有サーバー上に保管するメリットは、社内に情報を留めておけることです。しかし、サーバーを構築・運用するコストがかかることに加え、社外からアクセスする場合に備えセキュリティ対策を講じる必要があります。

一方、クラウドサービスであれば、社内でサーバーを構築・運用するコストがかからず、社外からもセキュアかつ簡単にアクセスできます。ただし、企業によっては情報セキュリティの観点から機密性の高い情報を保存することが許可されていない場合もあります。

共有サーバーかクラウドか、どちらか一方に絞るのではなく、情報の種類に応じてうまく使い分けて管理することをおすすめします。

文書管理の方法については以下の記事でも詳しく解説しています。ぜひ併せてご覧ください。

文書管理システムのおすすめ12選!導入のメリットや選び方のポイント
事務作業を滞らせる大きな要因の一つが、アナログな文書管理でしょう。 「過去に作成した文書が見つからない」「紙の書類が膨大になって場所を取ってしまう」という方も多いのではないでしょうか。 今回は、文章管理を成功させるポイントや社内書類を電子化するメリット、おすすめの文書管理システムをご紹介していきます。

ツールやシステムの導入を検討する

新しく書類を作成する際には、情報を紙に書き起こすのではなく、GoogleドキュメントやMicrosoftのWord、チャットツールなどを用いてデジタル情報としてやりとりを行えば、紙書類をPDFにする手間を削減できます。

WordであればデフォルトでPDF化する機能もついていますので、スキャンした紙のデータと共にPDFファイルとして保存しておくことも容易です。

効果の検証・改善点はないか確認する

ペーパーレス化の取り組み効果の検証や改善点の振り返りは定期的に行いましょう。従業員に利用が定着しておらず紙書類でのやり取りが続いている、ファイルの保存ルールが現場に合っておらず手間を削減できていないなどの課題に対して適切な対策を取らなければ、ペーパーレス化のメリットを得にくくなります。

ITリテラシー研修などの体制を整える

従業員が電子データやツールをうまく活用できるようにするため、ITリテラシー研修などのサポート体制を整えましょう。

電子データは紙の書類よりもやり取りしやすい点がメリットですが、その分アクセス権の設定間違いや誤送信などによる情報漏えいが発生するリスクもあります。従業員のセキュリティ意識を高める点でも、ITリテラシー研修の実施は効果的です。

ペーパーレス化を進めるツールの種類

ペーパーレス化を進めるツールにはいくつかの種類があります。ここでは大きく2つをご紹介します。

情報共有ツール

チャットツールやドキュメントツール、もしくは両方を兼ね合わせたツールなどがあります。情報共有ツールを利用すれば、PDF化した書面の共有や議事録、日報など、日々利用する業務書類をペーパーレス化することができます。

電子署名・電子契約

電子署名・電子契約ツールを利用すると、契約書への署名をパソコンやスマートフォン上で行えるようになります。重要な契約書を万全なセキュリティ体制で管理でき、契約までにかかる時間を短縮することもできます。

Qastならペーパーレス化した組織の業務効率化にもおすすめ

Qast

ここまで、ペーパーレス化が推進される背景や取り組み方法、ツール導入のメリットをご紹介しましたが、ペーパーレス化をより効率的かつ効果的に進めたいなら、ナレッジプラットフォーム「Qast」の導入がおすすめです。

Qastはシンプルな操作性でITに不慣れな方でも簡単にPDF化した書面の共有ができるほか、議事録や日報などをテンプレートやAIの自動生成機能で効率的にデジタル化できます。Q&Aやメモなどナレッジを整備する機能が豊富なため、社内ルールやマニュアルの電子化にも役立つでしょう。

Qastは検索機能に優れているため、「情報を検索しても検索結果に引っかからず必要な情報が取り出せない」というトラブルはありません。ダッシュボード機能で活用状況の推移を可視化できるため、ペーパーレス化の効果検証や改善点の発見にも役立ちます。

これからペーパーレス化のためのツールを導入したい組織、また、より効率的な管理方法を探している組織におすすめのツールです。

詳しくはこちらをご覧ください。

【Qast サービス紹介】

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まとめ

これまでの慣習などもあり、ペーパーレス化になかなか踏み込めないという組織は決して少なくないと思います。しかし、長期的な視点で経営を考えれば、ツールを導入しペーパーレス化を図ることは、事業に高い持続性をもたらす結果となるはずです。

ぜひこの機会にツールを活用したペーパーレス化に取り組み、組織のコスト削減や業務効率化の効果を実感してください。

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