組織開発とは?フレームワークや取り組み方法などを解説
社会のグローバル化に伴い人材の流動性や多様性が高まっている近年は、企業においても多様な価値観を許容できる組織改革が求められる世の中になっています。そのなかで注目を集めているのが「組織開発」の取り組みです。
今回は、組織開発の概要とフレームワーク、取り組み方法などを解説していきます。
目次
組織開発とは
組織開発はOD(Organization Development)とも呼ばれ、組織に所属する人同士の関係性や相互作用により、組織の活性化やパフォーマンスの向上を図ろうとする取り組みを指します。
組織開発の目的
組織開発は、組織としての力を最大化させることを目的としています。組織に所属する従業員に変化が生まれることで組織全体が底上げされ、生産性向上などに繋がります。
組織開発が注目される背景
組織開発は1950年代にアメリカで提唱された考え方です。日本には1960年代頃に伝わり、コミュニケーションや人間関係の改善に用いられてきました。
現代になって組織開発にあらためて大きな注目が集まっている理由は、グローバル化に伴う人材や価値観の多様化、年功序列や終身雇用制度の不安定化などにあります。企業においても、これまでの組織体制を改革し多様な価値観を許容することが求められるようになっています。
組織開発と人材開発の違い
組織開発と混同されやすい言葉として挙げられるのが「人材開発」です。
組織開発と人材開発はどちらも人に着目しますが、従業員個人の能力を向上させることを目的とした人材開発とは異なり、組織開発は従業員同士、グループやチーム内、グループ同士や部署同士などにおける関係性に働きかけ、組織全体の改善を図るものです。OJTや社内研修などの取り組みは人材開発、チームビルディングなどの取り組みは組織開発に該当します。
組織開発に用いられるフレームワーク
組織開発によく用いられるフレームワークにはいくつかの種類があります。ここでは代表的な5つのフレームワークをご紹介します。
ミッション・ビジョン・バリュー
「ミッション・ビジョン・バリュー」は企業理念を構成する要素を表しています。ミッションとは企業・組織が存在することの社会的な意義を指し、ビジョンは目指す姿、バリューは価値観や行動指針をそれぞれ示しています。組織開発を進めるためには、このミッション・ビジョン・バリューを浸透させることが非常に重要です。
コーチング
コーチングは、本人の気づきに重点を置き目標達成をサポートするマネジメント手法です。指示・命令型の教育手法であるティーチングとは異なり、教えられる本人の自主性を尊重して成長を促します。もともとは人材開発のフレームワークとして用いられていましたが、近年では組織開発に応用されるようになりました。
フューチャーサーチ
フューチャーサーチは、大規模な議論によって課題に対する解決策を見出すフレームワークです。議論の参加者は従業員だけでなく顧客や協力会社の従業員といった利害関係者を含みます。過去から未来へと時系列に分けて議論し、組織の全体像を掴むことを目的としています。
アプリシエイティブ・インクワイアリー(AI)
アプリシエイティブ・インクワイアリ―(AI)は、肯定的な質問を用いて組織や個人の価値を見出し可能性の拡大を図ろうとするフレームワークです。肯定的な質問を用いることから「ポジティブ・アプローチ」とも呼ばれます。Discovery、Dream、Design、Destinyというサイクルからなる「4Dプロセス」を回すことで組織や個人への探求を進めていくという特徴があります。
OKR
OKR(Objectives and Key Results)は、企業・組織としての目標と個人の目標を結び付ける目標管理手法です。OKRに取り組むと従業員が企業・組織と同じ方向性で行動でき、生産性向上や従業員エンゲージメント、モチベーション向上などのメリットが得られるため、組織開発にも活用されています。
OKRについては以下の記事でも詳しくご紹介しています。ぜひ併せてご覧ください。
組織開発の取り組み方法
ここからは、実際に組織開発に取り組む方法をご紹介します。
組織の目的の明確化
組織開発に取り組む最初のステップとして、まず組織の目的を明確にしましょう。企業理念は多くの企業で設定されていると思いますので、その企業理念やミッション・ビジョン・バリューを踏まえて組織の目的の整理と言語化を進めます。
現状の把握と課題の設定
組織の目的を果たすため、現状どのような課題があるのかを洗い出しましょう。組織における問題は複数の原因が複雑に絡んでいることが少なくないので、フューチャーサーチなどによりあらゆる角度から検証・議論を進め課題を設定することが重要です。
スモールスタートで展開
課題の設定とアクションプランができたら、まずはスモールスタートで行動を始めましょう。初めから入念にアクションプランを練っても、現場環境やキーパーソンの影響によって当初のアクションプランから大幅な変更が発生する可能性があります。事前にキーパーソンの同意を得ておき、スモールスタートで適宜軌道修正を図りましょう。
検証とフィードバックで精度を高める
アクションプランの実施後には必ずフィードバックを行いましょう。組織開発において重要なのは、効果の検証とフィードバックを繰り返し段々と精度を高めていくことです。組織としての力を最大化し適切なアプローチを見出すためにもフィードバックは非常に重要です。
結果や事例を全社展開し、環境を整える
アクションプランが成功したら、成功した理由などのポイントを整理・分析し、事例として全社に展開しましょう。成果を関係者の間で共有することで、より良いアクションプランの誕生や従業員のモチベーションアップに繋げられます。
展開方法は口頭や掲示のように一時的にしか残らない方法ではなく、情報共有ツールや社内SNSなど過去情報を含めていつでも閲覧可能なものを選びましょう。
Qastを活用すれば組織開発が進めやすくなります
組織開発に取り組む際に有効なITツールとしておすすめしたいのは、ナレッジ経営クラウド「Qast」です。SaaSなのでインフラの整備などは必要なく、すぐに導入ができます。
Qastを導入すれば、拠点の枠組みを越えた情報共有や議論ができ、その内容をタグ付けしたりフォルダ分けしたりしておくことで、いつでも蓄積した情報を確認できます。シンプルなユーザーインターフェースも魅力で、利用者のITリテラシーを問わず活用が可能です。組織開発に取り組む際には、多方面からメンバーを集めて議論を行う際に有効なQastの導入をぜひ検討してみてください。
まとめ
今回は、組織開発の概要とフレームワーク、取り組み方法などを解説しました。
前述の通り、近年の組織開発でよく用いられるフレームワークには、ミッション・ビジョン・バリューやコーチング、フューチャーサーチ、アプリシエイティブ・インクワイアリー、OKRなどさまざまな種類があります。
これらのフレームワークを活かし、ここで紹介した取り組み方法を試しながら、組織の目的の明確、現状把握と課題の設定、スモールスタートでの実行、検証とフィードバック、結果や成功事例の全社展開にぜひ取り組んでみましょう。
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