OKRの特徴や設定方法とは?MBOやKPIとの違いについても解説

GoogleやMeta(旧:Facebook)をはじめ多くの大企業で取り入れられるOKR。目標管理の手法の一つとして知られていますが、その詳しい特徴や類似する目標管理方法との違いについてしっかりと理解できている方は少ないのではないでしょうか。

今回は、OKRの特徴や設定方法、MBOやKPIとの違いなどを解説します。

OKR(Objectives and Key Results)とは

OKR(Objectives and Key Results)とは、Objectives(目標)とKey Results(主要な結果)を組み合わせた言葉です。OKRは、高い頻度で目標設定、結果の追跡、計画の再評価を行うことで高い目標達成を可能とする目標管理手法です。また、この目標管理を行うためのツールを指す場合もあります。

OKRとは

Objectivesとは

Objectivesとは目標のことを指します。1~3ヵ月程度で達成できる定性的な目標、かつチームのモチベーションを高める目標を設定することが一般的です。

このObjectivesによって、従業員が自発的に目標達成に向けて行動するようになり、組織全体の生産性向上に繋がります。また、企業全体、各従業員のObjectivesを設定することで、企業と従業員が同じ方向を向いて目標達成を進められるようになります。

Key Resultsとは

Key Resultsとは主要な結果を指します。3つ程度の定量的な指標を「頑張れば達成できそう」というレベルで設定することが一般的です。

定性的で数値化が難しいObjectivesと比べKey Resultsは定量的な指標であるため、進捗度がわかりやすいという特徴があります。過度な負荷を避けるため、100%達成できるものではなくベストを尽くして60~70%の達成ができるレベルの目標を設定します。

注目されている背景

OKRは大手IT企業のIntelが発祥の目標管理手法で、イノベーションが急速に進むシリコンバレーのIT企業を中心に多くの企業で取り入れられるようになりました。

日本国内においては、グローバル化やイノベーションに伴いこれまでの人事評価制度では対応が難しくなってきた時代背景から、OKRに注目が集まっています。

MBO、KPIとの違いは?

OKRと混同されやすい用語として挙げられるのが「MBO」や「KPI」です。それぞれの違いを見ていきましょう。

MBO

MBO(Management By Objectives)は目標管理のことを指しています。個人の成果に基づく報酬の決定を目的としており、1年ごとにレビューを行いますが、組織ごとに目標達成の測定基準は異なります。目標の共有範囲は上司と本人間だけと狭く、100%達成できる現実的な目標設定を行う点が特徴です。

KPI

KPI(Key Performance Indicator)は重要業績評価指標のことを指します。プロジェクトの目標達成を目的とし、レビュー頻度は毎月以上と高頻度です。測定基準はプロジェクトごと、目標の共有範囲は部門ごととなっており、MBOと同様に100%達成できる現実的な目標を設定します。

OKR導入のメリット

OKRを導入するとさまざまなメリットが得られます。ここでは代表的なメリットを5つご紹介します。

企業ビジョンをより深く浸透化できる

企業ビジョンの従業員への浸透は、企業・組織が一丸となって業務を遂行するうえで重要な課題となります。OKRでは、企業・組織の目標達成に主体を置きながら個人の目標と結びつけて目標達成を図ります。OKRにより企業の向かっている方向性である企業ビジョンが個人目標に結び付けられ浸透化が進めば、企業と従業員が同じ方向に向かって業務を遂行することができるようになります。その結果、全員が明確な意義を持って業務に臨めるようになります。

タスクの優先順位が明確になる

OKRの目標の共有範囲は企業・組織全体と広く設定されています。すべての従業員に企業の目標となる主要な結果が共有されるため、従業員は主要な結果に繋がるタスクの影響度や優先順位を判断しやすくなります。結果として影響の大きいタスクを優先的に対応するといった効率的な行動ができるようになります。

目標に向けて集中できる

企業・組織としての目標と個人の目標が結び付けられるため、両者の間にギャップが生まれにくくなります。個人の目標達成に向けて努力すれば、それが企業・組織の目標達成に繋がります。それにより従業員は自身の目標に向けて集中できるようになるため、効率的な行動ができるようになるでしょう。

従業員エンゲージメントの向上に繋がる

OKRでは各従業員が企業・組織の一員として同じ目標に向かって行動します。自身の行動が目標達成に貢献できていると感じれば、企業への愛着やモチベーションアップに繋がるでしょう。結果として従業員エンゲージメントの向上を図ることができ、それによるさまざまなメリットも得られます。

従業員エンゲージメント向上によって得られるメリットについては以下の記事でも詳しく解説しています。ぜひ併せてご覧ください。

エンゲージメント向上とは?得られる効果や施策などを紹介
エンゲージメント向上とは?得られる効果や施策などを紹介
組織の生産性やサービス品質を高めるうえで従業員エンゲージメントは重要な要素です。従業員エンゲージメントを向上させれば従業員の仕事に対するモチベーションが上がり、組織においてさまざまなメリットが得られます。今回は、従業員エンゲージメントの概要やメリット、従業員エンゲージメントを向上する施策や具体的な事例をご紹介します。

コミュニケーションの活性化に繋がる

従業員が目標を共有することにより、目標達成に向けた従業員間でのコミュニケーションの活性化が期待できます。従業員から改善提案が出やすくなるなど、コミュニケーション活性化によるメリットも得られるでしょう。

OKR導入のデメリット

OKRの導入によってさまざまなメリットが得られますが、一方でデメリットも存在します。具体的なデメリットとしては以下のようなものがあります。

  • 適切な目標を立てるのが難しい
  • 従業員数が少ない場合は機能しにくい
  • 短期間での運用が重要なため、時間が確保できない企業では機能しにくい

OKRは企業・組織としての目標と個人目標の結び付けの整合性が取れていなければなりません。目標達成の難易度も考慮する必要があるなど、適切な目標設定が難しいという課題があります。

また、自社の従業員数が少ない場合は従業員エンゲージメント向上やコミュニケーション活性化などによって得られるメリットが小さくなる傾向があるため、企業規模に応じた導入の検討が必要となるでしょう。

さらに、OKRではこまめに目標の見直しや再評価をすることが重要なため、そうした時間が確保できない企業でも運用が難しい可能性があります。

次に紹介する導入・運用方法を考慮することで、デメリットを避けられるでしょう。

OKRの導入・運用方法

ここまで紹介したOKRのメリット・デメリットを踏まえ、OKRを導入・運用する際の方法を解説していきます。

企業やチーム、個人目標をそれぞれ設定する

まずはOKRの核となる企業やチーム、個人の目標をそれぞれ設定します。前述の通り、個人目標は企業や組織としての目標と紐づき、整合性がとれている必要があります。次に説明するSMARTの原則に基づき、より効果的な目標設定を行いましょう。

SMARTの原則でより効果的な目標を設定する

SMARTは以下のそれぞれの頭文字をとった言葉で、1981年にジョージ・T・ドランが提唱したマネジメントの原則です。SMARTに則って目標設定をすることで、より効果的なOKRの取り組みが可能となります。

  • 具体的であること(Specific)
  • 測定可能であること(Measurable)
  • 達成可能であること(Attainable)
  • 目標に関連性があること(Relevant)
  • 期限があること(Time-bound)

目標に対する成果を設定する

目標の設定ができたら、目標に対する成果を設定します。OKRでは60~70%の達成で成功とみなすレベルの成果を設定するのが一般的です。成果の設定とあわせ、どのように測定するのか、目標達成度の測定基準も具体的にしておきましょう。

組織内で共有する

OKRは企業・組織内で目標が共有されていることによって大きなメリットが得られます。目標を達成するために事前に設定したOKRは、すべての社員がいつでも閲覧できる状態にしておくことが大切です。

フィードバックを行う

目標設定を行い成果が出ても、フィードバックをしなければさらなる効果や目標の達成には繋がりません。定期的なタイミングでフィードバックを行い、適宜軌道修正をするようにしましょう。

効果の測定と評価を行う

フィードバックと同様、OKRでは定期的に効果の測定と評価を行うことが重要です。反省点や課題などを次回のOKR設定に活かせば、より効果的なOKRを実施できるようになります。

QastならOKRの共有やフィードバックの蓄積が行える

Qast トップページ

前述の通り、OKRの運用には、設定した目標を従業員がいつでも閲覧できることが重要です。また、フィードバックや効果の測定・評価の情報も、共有・蓄積される環境整備も大切です。

OKRの共有やフィードバックの蓄積には、ナレッジ経営クラウド「Qast」がおすすめです。Qastはシンプルなユーザーインターフェースで情報が見やすく、ピン留め機能や優れた情報検索機能によっていつでも求めている情報が閲覧できます。誰でも簡単に情報の共有ができるため、従業員間でのコミュニケーションの活性化にも効果が得られるでしょう。

OKRの取り組みとあわせて、ぜひQastの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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まとめ

今回は、OKRの特徴や設定方法、MBOやKPIとの違いなどを解説しました。

OKRを導入すると、企業ビジョンの浸透化、タスクの優先順位明確化、目標への集中、従業員エンゲージメント向上、従業員間のコミュニケーション活性化などのメリットが得られますが、その導入・運用時にはOKRの共有やフィードバックの蓄積が重要になります。

Qastラボ編集部

Qastラボ編集部では、これからの働き方において必要な"未来のナレッジマネジメント"について研究しています。 ナレッジ共有、業務効率化、経営戦略、コミュニケーションツールなどテーマ別に役立つ記事をご紹介します。

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