オンボーディングの目的とは?取り組むメリットやポイントについて解説

「コストをかけて人材を採用・育成したのに早期に離職されてしまい、振り出しに戻ってしまった」といった経験のある企業は多いでしょう。人材不足が慢性化している今日では、採用した人材を早期に定着させる取り組みが重要です。

この記事では、オンボーディングの目的やメリット、取り組みを行う際のポイントなどを解説します。

オンボーディングの意味とは?

「オンボーディング(on-boarding)」とは、英語で「飛行機や船などの乗り物に乗っている状態」を指します。さらに、ただ乗り物に乗っているだけでなく、乗員がお互いをサポートし、同じ目的地に向かっているというニュアンスも含まれます。そこから、新しく組織に参画した人材が早期に定着し能力を発揮するための継続的な取り組みを意味するようになりました。

一般的なオンボーディングの対象は新入社員や中途採用者ですが、出向や異動で新しく参画したメンバーを含める場合もあります。オンボーディングが効果を発揮するためには、上司や教育担当者だけでなく、組織全員が一丸となって取り組む必要があります。

新入社員研修との違い

新入社員研修は新入社員の早期定着や教育を目的とした取り組みですが、オンボーディングに比べると対象範囲が狭く、かつ一般的な新入社員研修は一度もしくは多くても数回程度の取り組みである場合がほとんどです。一方、オンボーディングは対象が新入社員に限らず広範囲であり、継続的な取り組みであるという特徴があります。

オンボーディングが注目されるようになった背景

オンボーディングが注目されるようになった背景には、転職希望者の増加や、人材不足による獲得人材の育成・定着の重要性の高まりが挙げられます。

総務省統計局の調査によると、2022年には転職者数が303万人おり、男女共に15から24歳が最も多いことが分かっています。若手が企業に留まらず人材不足が慢性的になっていることから、いかに獲得した人材の離職を防ぐかが企業にとって重要となってきています。

出典:総務省統計局「労働力調査(詳細集計)2022年(令和4年)平均結果の概要」

オンボーディングの目的について

オンボーディングの目的には、主に以下の2つが挙げられます。

離職を防ぐため

オンボーディングに取り組み、新入社員や中途採用者がスムーズに現場に馴染めれば、離職率の低下に繋がるでしょう。

厚生労働省の「令和3年雇用動向調査結果の概況」によると、「職場の人間関係が好ましくなかった」が前職を辞めた理由で最も多くなりました。オンボーディングによって早期に職場に馴染み、円滑なコミュニケーションが取れるようになれば、離職の防止に大きな効果があるはずです。

出典:厚生労働省「-令和3年雇用動向調査結果の概況-」

早期戦力化を図るため

オンボーディングの取り組みの中には、企業風土や社内制度、業務知識に対する新メンバーの理解の促進も含まれます。新メンバーが早期戦力となるには、専門的な知識だけでなく、その企業での仕事の進め方に対する理解が不可欠です。オンボーディングによってこれをフォローできれば、早期に能力を発揮できるようになるでしょう。

オンボーディングを実施するメリットは?

オンボーディングの目的は新メンバーの離職防止や早期戦力化にありますが、その他にもさまざまなメリットが得られます。

従業員エンゲージメントの向上に繋がる

コミュニケーションの円滑化によってメリットを得られるのは新メンバーだけではありません。上司は新メンバーのマネジメントがしやすくなりますし、教育担当は教育を通して新たな気付きを得られることも少なくありません。また、職場全体として従業員同士がコミュニケーションを取りやすい労働環境を構築できれば、従業員エンゲージメント向上に繋がります。

従業員のエンゲージメントを向上させる方法は以下で詳しく解説しています。

エンゲージメント向上とは?得られる効果や施策などを紹介
エンゲージメント向上とは?得られる効果や施策などを紹介
組織の生産性やサービス品質を高めるうえで従業員エンゲージメントは重要な要素です。従業員エンゲージメントを向上させれば従業員の仕事に対するモチベーションが上がり、組織においてさまざまなメリットが得られます。

生産性の向上が図れる

オンボーディングによって縦横のコミュニケーションが円滑化し、新メンバーが早期に能力を発揮できれば、チームの生産性向上に繋がります。また、縦横のコミュニケーションの円滑化が進めば、部門間で連携を取りながらスムーズに施策を進められるようになるでしょう。

適切なオンボーディングは組織全体を活性化させ、業績アップも図ることができるのです。

人材育成の環境を整えられる

オンボーディングによる新メンバーの育成環境整備は、人材の即戦力化に繋がります。新メンバーが困った部分などをフィードバックしてもらい、育成環境の改善に努めていくことで、誰でも早期の戦力化ができる人材育成環境を構築できるでしょう。

採用や人材コストの削減に繋がる

労働市場が停滞しており、かつ労働人口の減少が見込まれている現代において、採用コストは年々高まっていくと考えられます。せっかく採用できた人材が早期に離職してしまっては、大幅な採用コストのロスに繋がります。しかし、オンボーディングで離職しにくい労働環境を構築できれば採用コスト削減に繋がり、その分のコストを別事業に割り振ることができるでしょう。

オンボーディングに取り組むための流れやポイント

オンボーディングは継続性が必要な取り組みです。また、成果を出すためにはオンボーディングの流れを理解してPDCAを回していくことが大切です。その具体的な流れを解説します。

オンボーディング実施の流れ

目的の明確化

まずはオンボーディングを行う目的を明確化しましょう。目的なしでは方向性がブレやすく、効果検証もしにくくなります。例えば、新メンバーが一通りの業務を理解し主体となって動けるようになるまでに半年かかっていたのであれば、今後は3ヵ月で独り立ちできるようにする、といった目標を立てましょう。目標を設定する際は、数値を用いて具体的に設定するのがおすすめです。

具体的なプランの設定

目標を達成するため、目標から逆算して具体的なプランを設定しましょう。どのタイミングでどのようなフォローを行うのか、期日を明確にしておくことが重要です。

また、月に一度は新メンバーと面談してフィードバックするなど、コミュニケーションの頻度も検討しておくと良いでしょう。特に参画初期は新メンバーのイメージと現実のギャップが生まれやすいため、重点的なフォローが大切です。

環境の整備

オンボーディングを実施するためには、社内で新メンバーを受け入れるチームへの周知やフォロー環境を整える必要があります。設定したプランに沿って事前に周知を行うほか、教育に必要な資料の準備や懇親会の計画などを進めましょう。

また、テレワークなどの多様な働き方が取り入れられる今日では、どのようにコミュニケーション環境を整えるかも重要となります。社内ポータルや社内SNSといったツールの導入など、コミュニケーションを活性化させる取り組みも必要です。

実施と振り返り

事前準備が整ったら、実際にオンボーディングを実施しましょう。定期的に新メンバーとコミュニケーションを取りながら、プランの修正やフォロー体制の強化を適宜行います。

オンボーディング実施後は、結果や新メンバーからのフィードバックを受けながら、振り返りをしましょう。振り返りによって改善点を洗い出し、今後の取り組みに活かせば、より良いオンボーディングができるようになります。

オンボーディングにはコミュニケーションが大事

Qast トップページ

オンボーディング成功の可否はコミュニケーションにあると言っても過言ではありません。コミュニケーションがうまく取れていないと、「質問したいのに質問がしにくい」「なぜこれをやらされているのか理解できない」などの不安や不満を持ち、プロジェクトが円滑に進みにくくなってしまいます。

前述した通り、テレワークや時短勤務などの働き方が一般化している現代では、コミュニケーションを活性化するために気軽にコミュニケーションが取れるツールを導入することが大切です。

例えば、ナレッジ経営クラウドのQastは、誰でも簡単にコミュニケーションが取れるシンプルなツールです。Qastなら誰がどのようなコミュニケーションを取っているかを可視化でき、新メンバーのフォローもしやすくなるでしょう。

また、Qastはナレッジ蓄積に強いツールのため、ノウハウを蓄積して教育材料を整備することにも適しています。新メンバーは疑問を自己解決できるようになるため、早期戦力化にも効果的です。

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まとめ

人材の採用コストが増加する今こそ、オンボーディングによって新メンバーの離職を防ぎ、早期戦力化を図る取り組みが重要です。適切なオンボーディングは、新メンバーのみでなく組織全体のエンゲージメントや生産性向上にも効果を発揮します。

オンボーディングを行う際に大切になるのが、コミュニケーションです。コミュニケーションを円滑に行いたい場合はコミュニケーションツールを導入し、誰でも気軽にやり取りができる環境を整備しましょう。

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