情報共有とは?課題やメリット、情報共有ツールも合わせて紹介
組織における情報共有は、組織の円滑な運営だけでなく、取引先からの信用にも関わるものです。企業間におけるトラブルの多くは情報共有の不足によって発生しているといっても過言ではないでしょう。
ここでは、情報共有の不足によって起こる具体的な問題と共に、情報共有不足の解決策や解決の手助けとなるおすすめの情報共有ツールを紹介します。
目次
社内・業務における情報共有とは
情報共有の不足によって起きる問題を考える前に、情報共有とは一体何なのか、どういう要素が必要であるのかを整理しておきましょう。
実用日本語表現辞典では、情報共有は次のように定義されています。
情報共有「見聞や知識、ノウハウを、仲間に伝達し共有すること。組織やメンバー間で知識や情報などを伝達し合うことで認識などを揃える、といった文脈などで特に使われる表現。」
引用元: weblio辞書
情報共有不足におちいる組織が見落としがちなポイントは、情報共有は伝達することが目的ではなく、共有(認識を揃えること)が目的だということです。
社員のほとんどが見ていないような場所で周知を行っても、それは情報が共有された状態とはいえません。情報共有不足を解決するためには、共有する側と共有される側で認識のズレが生じない環境を整える必要があるのです。
情報共有がされない原因や課題
何が原因で情報共有されない状態に陥ってしまうのでしょうか。その原因や課題を解説します。
情報共有のメリット・デメリットが理解できていない
まず、社員が情報共有のメリット・デメリットを理解できておらず、重要性を認識していないことが考えられます。
自分が担当している業務領域の知見は自分にとって当たり前の知見であり、誰かの役に立つとは思いにくいものです。自分にとっては常識であっても情報共有することで誰かの役に立つことを社員に理解させることと、自分の知見が誰かの役に立つことの成功体験を積ませることが大事です。
優先順位が低い
情報共有のメリット・デメリットは理解できていても、業務が忙しすぎて優先順位が下がってしまうケースはよくあります。
しかし、情報共有が円滑に行われないことで業務効率が落ち、ますます情報共有が行われなくなる負のループに陥ってしまいます。
負のループを抜け出すためには、情報共有の重要性を改めて理解させるとともに、情報共有にかかる負担を減らしていく対策も必要です。
コミュニケーションが取りにくい職場環境になっている
職場内で信頼関係を築けていないために情報共有がされないケースもあります。個人主義に偏ってお互いをライバル視していたり、周囲から失敗を責められたりする職場に多いケースです。ささいな情報でも共有しようと社員に思わせるためには、職場内での人間関係を良好に保つことが重要です。
情報を活用できる環境が整っていない
情報共有を行ってもそれが活用されない状況だと、情報共有に意味がないと感じてしまい、徐々に情報共有されない環境に陥ります。
any株式会社の「ナレッジマネジメント白書2023」における調査では、回答全体の60%以上が業務上の情報の取り扱いに何らかの課題を感じている結果となっています。また、課題があると回答した方の半数以上が「必要な情報にたどり着くまでに時間がかかる」ことを課題として挙げています。
情報共有を促進するためには、この課題を改善し、共有した情報が活用される環境を整備することが必要となります。
情報共有の不足がもたらす問題
情報共有が不足すると、具体的にどういった問題が発生するのか、ここでは多くの組織で発生しがちな問題を解説していきます。
業務の属人化が起こる
業務情報が一人の社員から他の社員に共有されないことで、その社員しか特定業務が進められない状態、いわゆる「属人化」が起こります。
その社員が病気などの理由で休んだ場合、対応できる社員がいないために納期の遅延などが発生し、顧客からのクレーム等、組織にとってマイナスの影響を及ぼしてしまう可能性が高まります。
一時的な不在ならまだしも、入院や退職等で社員が抜けてしまった場合には、体制を一から見直す必要が生じます。
業務効率の低下に繋がる
情報共有が不足すると、情報のズレによって作業ミスが発生したり、適切な担当者に情報が共有されないことで対応漏れが発生したりします。
結果としてリカバーや手戻りの時間が発生し、業務効率の低下に繋がります。また、現場の情報の収集に時間がかかるため現場の意思決定までの時間が長くなることも、業務効率の低下に繋がります。
共有した・共有していない問題が起こる
複数の部署間をまたぐようなプロジェクトでは、業務情報を「共有した」「共有していない」でトラブルが起きることがしばしばあります。
そうなると当然プロジェクトはうまく進まず、責任のなすりつけあいに発展してしまいます。相手の落ち度を見つけるためだけに時間を費やすのはあまりに非効率です。
社員同士の信頼関係・チームワークの悪化が進む
業務情報が特定の社員間でしか共有されていないケースもよく見られます。情報共有されていない社員がトラブルに巻き込まれてしまうと、「あの人がきちんと共有してくれなかったから」「自分のせいではないのに」などと社員間で信頼関係が悪化し、さらに情報共有がされにくくなる負のループにおちいってしまいます。
情報共有がスムーズに行われることで得られるメリット
一方、情報共有がスムーズに行われるとどのようなよい影響があるのでしょうか。そのメリットを4つ解説します。
業務の効率化・生産性の向上に繋がる
情報共有が円滑な環境では、業務を行うために必要な情報をすぐに集められます。情報収集にかかる時間や作業ミスが削減できるため、業務効率化に繋がります。
また、業務のノウハウや成功事例を横展開することで、他の業務や部署の業務効率化も図れる可能性があります。結果として組織全体の生産性向上に繋がるでしょう。
組織力の向上に繋がる
業務のマニュアルやノウハウが共有されていると属人化の防止に繋がり、担当者の不在時や退職時に他担当者がスムーズにフォローできるようになります。
特定の担当者に業務を依存しないことで、安定して業務を遂行できるようになるでしょう。予期せぬ状況に対しても組織としてフォローできる環境となり、組織力の向上に繋がります。
人材の育成やスキルアップが図れる
熟練社員の知識やノウハウをナレッジとして蓄積し、社内に共有できれば、効果的な人材育成やスキルアップに繋がります。新入社員や中途採用社員が知りたい情報をすぐに確認できるようになり、効率的に業務を習得できます。
社内コミュニケーションの活性化に繋がる
業務情報や課題、トラブルなどが社内に共有されていると、同じような課題やトラブルを抱えている部署同士で協力し合う関係を構築できます。また、他部署の視点から改善策のアドバイスをもらえるなど、社内コミュニケーションの活性化にも繋がるでしょう。
以下の記事では、社内コミュニケーションを活性化させる方法やおすすめのツールをご紹介しています。
情報共有不足を起こさないためのポイント
では、情報共有不足を起こさないためにはどのような対策を取ればよいのでしょうか。具体的なポイントを解説します。
情報共有の目的を明確にし社内に周知する
情報共有の定義でもお伝えした通り、情報共有は共有する側と共有される側の認識が揃うことで初めて成り立ちます。そのためにはまず、情報共有の目的を明確にし、情報共有の重要性を社内に周知する必要があります。
たとえば、「顧客満足度を10%向上させるため、営業部に届いた要望やクレームはどんな小さなことでも品質管理部に共有する。品質管理部はその要望やクレームにどう対処したかを営業部に共有し、顧客にフィードバックする」といったように、目的を明確にし繰り返し伝えることで、情報共有が当たり前に行われる風潮を作っていく必要があります。
情報の管理や共有のルールを設ける
情報の管理や共有においてルールを設けることも重要です。ルールがない場合、伝達が一方通行となり、共有のレベルに至らない可能性があります。
- どのような情報を共有するべきか
- どのようなタイミングで共有するべきか
- どこで共有するべきか
については必ず明確にしましょう。
たとえば、顧客からのクレームはすぐにチャット上でチーム内に共有する、翌日の外勤スケジュールは前日午前中までにスケジューラ上で共有する、などといったルールです。テンプレート化することで抜け漏れを防ぐ方法もあるでしょう。
ナレッジマネジメントを進める
ナレッジマネジメントとは、企業が蓄積してきた情報や社員の経験、技術、ノウハウなどをナレッジとして活用し、経営を管理する手法です。
ナレッジマネジメントでは、社員の暗黙知を形式知に変換し共有する取り組みを行います。
経営戦略としてナレッジマネジメントに取り組み、社員が積極的に自身の技術やノウハウなどを共有する仕組みを作れば、情報共有不足の解決に繋がるでしょう。
以下の記事では、ナレッジマネジメントのメリットや取り組み方についてご紹介しています。
情報共有ツールを導入する
情報のカテゴリごとに共有場所や共有方法が異なると、情報共有の形骸化や抜け漏れに繋がります。
一方、情報共有ツールを導入すれば情報共有の場所を固定できますし、必要な情報をテンプレート化しておくことで「どの情報を共有すればいいか分からない」という問題の解決にも繋がります。
ツールを選定する際の注意点
情報共有不足を起こさないためのポイントとして情報共有ツールの導入を挙げましたが、ツールを選定する際にチェックすべき注意点は下記の3点です。
- 誰にでも使いやすいか
- 検索性能が高いか
- サポートやセキュリティが充実しているか
情報共有ツールは職種や部署、役職や年齢層に関わらず幅広い社員が利用することが前提となるため、誰でも使いこなせるかどうかは重要なポイントです。共有された情報が活用されるよう、検索性能が高く必要な情報をすぐに取り出せるツールかもチェックしましょう。
なお、情報を一箇所に集約することには情報に辿り着きやすくなるメリットがある一方、ひとたびツールの障害やセキュリティインシデントが発生すると、一気に情報共有がストップするリスクもあります。リスクをできるだけ抑えるためにも、サポートが手厚くトラブルに迅速に対処してくれるツールか、セキュリティが充実しており情報漏洩やサイバー攻撃に強いツールかも確認が必要です。
おすすめの情報共有ツール5選
ここからは、情報共有不足を解決する手助けとなるおすすめの情報共有ツールを、それぞれの特徴や強みを含めてご紹介します。
Qast
ナレッジプラットフォーム「Qast」は、非常にシンプルかつさまざまなシチュエーションで利用ができる、操作性に優れた情報・ナレッジ共有ツールです。
形式知化された情報はもちろん、属人化したナレッジも蓄積
ファイル化されている情報は、ファイルをQastにドラッグ&ドロップするだけで生成AIがファイルの要約と誰に向けた情報かを自動で付加するので、簡単に共有できます。
属人化した情報は、Q&A機能で有識者からナレッジを引き出すことで形式知化と共有が可能です。
また、投稿ごとに既読人数や誰が読んだかが分かるようになっているため、情報がきちんと共有できているかがすぐに分かります。SlackやTeamsなど他のツールとも連携できるため、バラバラになった情報共有の場を集約しやすいのも特徴です。
情報の活用が容易
質問をすると、蓄積された情報からAIが自動で回答を生成するので、必要な情報にスピーディにアプローチできます。
また、検索機能の精度が高く、PDFやWordなどのファイル内の文章まで検索が可能です。また、ひらがなとカタカナの相互変換を自動的に行ってくれるため、表記の揺れによる検索の漏れを防げます。
操作がシンプルでコミュニケーションが取りやすい
Qastの操作画面はシンプルなデザインで、操作マニュアルを読まなくても直感的な操作が可能です。もし操作方法で分からないことがあっても、カスタマーサポートにチャットですぐに相談できます。
セキュリティ対策が充実
Qastは信頼性の高いAWSサーバに通信・情報を暗号化して保存しています。不正アクセスなどのサイバー攻撃を24時間体制で防止・検知する仕組みがあり、安心してデータを保存できます。お客さま側でも、IPアドレスでのアクセス制限やアクセス権限設定、アクションログの取得ができるほか、Azure ADと連携したセキュリティ設定など、安心のセキュリティ対策がなされています。
Chatwork
国産のビジネスチャットツールです。チャットがメインのツールではありますが、ビデオ通話/音声通話、タスク管理、ファイル共有等の機能も利用可能です。ITに詳しくない方でも手軽に利用できるため、さまざまな年代層で利用されています。
Microsoft Teams
https://www.microsoft.com/ja-jp/microsoft-teams/group-chat-software
Microsoftが開発したコミュニケーションツールで、Word、Excel、PowerPointといったOffice製品と連携できるのが特徴です。Teams上でOutlookの予定共有、WordやExcel等の資料の共同編集などができることから、社内でMicrosoft365のライセンス配布を行っている企業で特に多く活用されています。
NotePM
NotePMはドキュメント管理に特化した社内wikiツールです。高性能のエディターを搭載しており、シンプルかつ手軽に情報共有できます。更新履歴を自動で記録し更新箇所をハイライトで分かりやすく表示してくれるため、マニュアルの管理などに適しています。
Kibela
他システムからのデータインポートやリアルタイムでの共同編集が特徴の情報共有ツールです。Qiita Teamやesa、DocBaseなどのサービスからデータをインポートでき、用途に応じて複数のツールを運用している場合に有効に活用できます。リアルタイムに共同編集できる機能は打ち合わせ時に便利です。
その他のおすすめ情報共有ツールは下記の記事で詳細にまとめています。記事を参考に、自社に適した情報共有ツールを探してみましょう。
まとめ
情報共有不足は、情報を共有する側と共有される側の認識のズレが原因で発生します。情報共有不足によって起きる業務の属人化や信頼関係の崩壊は、組織内だけでなく対外的にも悪影響を及ぼすため、必ず解消しなくてはいけません。
情報共有にお悩みの際は、今回ご紹介した解決策やツールの導入を図り、あらゆる情報がスムーズに行き交う風通しのよい組織作りにぜひ取り組んでください。