提案書の書き方や意識すべきポイントとは?目的や注意点についても紹介

提案書は社内外を問わずさまざまなビジネスシーンで作成されており、魅力的な提案書を作成できることは重要なビジネススキルです。しかし、提案書に書くべき内容がわからない、魅力的な提案書とはどのようなものかわからないという方もいらっしゃるでしょう。

ここでは、提案書の役割や必要性、記載すべき基本項目、提案書を作成する際のポイントなどを解説します。

提案書とは?

提案書とは、社内向けに自社内の業務改善や課題解決策を提案する、またはクライアントが抱える課題に対して自社の製品やサービスを用いた解決策を提案するといった際などに用いる資料です。

社内・社外いずれの提案書においても、課題が明確化されており、課題に対する提案とその根拠が示されていることが求められます。

提案書の目的

提案書を作成する目的は、提案相手に自分の提案内容を受け入れてもらい、実行の意思決定をしてもらうことにあります。

意思決定に伴う投資の規模が大きくなるほど提案相手は慎重に意思決定を行うため、提案相手に納得してもらえる十分な根拠と費用対効果を説明できるよう準備しておくことが重要です。

企画書との違い

提案書と同じく、自分の提案内容に対する実行の意思決定をしてもらうための資料に、企画書があります。

提案書と企画書に明確な線引きはありませんが、実務上では、社外のクライアント向けに提案を行う場合は提案書、社内向けに提案を行う場合は企画書が用いられるケースが多いでしょう。

また、企画書は課題解決のアイデアやプランを示して簡易的な実施の意思決定をしてもらい、提案書で具体的なスケジュールや実行に対する本格的な意思決定をしてもらう、という使いわけを行うケースも多くあります。

提案書の役割や必要性

提案書は、提案相手に現在抱えている課題を認識してもらい、具体的なアクションを行う意思決定を促す役割を担います。自分の提案がスムーズに受け入れられる場合もあれば、提案内容を修正して別のかたちで計画を実行に移す場合もあります。

いずれにおいても、提案書によって自分と提案相手で課題および課題解決策実施に対する認識を一致させることが重要なポイントです。

特にクライアント向けの提案の場合は、自分とクライアントで認識が違っていると、後から「言った」「言わない」の問題に発展し、大きなトラブルに繋がるリスクがあります。

提案書は、自分とクライアントの認識が合致し課題解決策実施の承認を得たことを示すエビデンスとしても重要な役割を担います。

クライアント向けの提案書の書き方・手順

社外のクライアント向けを想定した具体的な提案書の書き方や、その手順を解説します。

クライアントの課題と目標を把握する

まずは、クライアントが抱えている課題と、課題を解決するための目標を把握しましょう。

クライアントにとって魅力的な提案書を作成するためには、クライアントが抱える課題を適切に把握し、客観的なデータなどを用いた根拠のある解決策を示す必要があります。

帰納法や演繹法などを用いて、なぜこの課題を解決する必要があるのか、なぜこの解決策なのかを説明できるストーリーを用意しましょう。

他社や業界全体の動向を調査する

他社や業界全体の動向は、提案を裏付けるための客観的なデータとなります。3C分析やSWOT分析などのフレームワークを活用して、クライアントと他社及び業界全体の現状を把握すれば、より説得力のある根拠付けとなるでしょう。

具体的な解決策・流れを整理する

おおむねの方向性に了承をもらえたとしても、具体的にどのような解決策をどう進めるかは、意思決定者が最も気にする要素の一つです。課題に対する解決策を具体化し、どのようなステップで進めるのかをわかりやすく整理しましょう。

あらかじめ想定されるリスク要因を洗い出し、リスクへの対処法を事前に伝えておくことも大切なポイントです。

資料に落とし込む

ここまで整理してきた情報を資料に落とし込みます。実際にクライアントに提案する際は、この資料をベースに行います。クライアントに要点が伝わりやすいか、クライアントが視覚的に内容を把握できるかに注意しながら資料を作成しましょう。

提案書の基本的な項目

提案書には、以下のような項目を基本的な情報として記載しましょう。

表紙

表紙を見ただけで、提案内容や課題、メリットが簡潔に伝わる情報を記載します。「◯◯について」のような具体的な提案内容のイメージがつきにくい文言は避け、出来るだけ具体的な情報を盛り込むようにしましょう。

アジェンダ

提案内容の全体像や流れが把握できるアジェンダ・目次情報を記載します。あらかじめ提案の流れがわかっていれば、クライアントもスムーズに話を聞きやすくなります。

アジェンダを細かく記載しすぎて提案の全体的な流れがわかりにくくならないように注意しましょう。

与件・課題整理

課題の背景にある前提条件や、クライアントが現状抱えている課題を記載します。事前のヒアリングで把握した情報や提案にあたっての制約事項などがあれば漏れなく記載しましょう。

提案内容・詳細

クライアントが抱えている課題に対する具体的な解決策を記載します。解決策がクライアントの前提条件・制約に則ったものであるか、課題に対するアプローチとして論理的な妥当性があるかに注意しながら内容を整理しましょう。

提案採用後のメリットや効果

提案を採用した後に得られるメリットや効果を記載します。得られるメリットや効果は抽象的なものでなく、クライアントが解決策実施後の状態をイメージできるよう、出来るだけ具体的なレベルに落とし込みましょう。

費用

解決策の実施にかかる費用を記載します。総額だけでなく、内訳がわかるような情報を記載しましょう。選択肢ごとに費用を分けて提案する、フェーズごとに費用を提示するなどを行えば、クライアントから信頼感を得やすく、クライアントの予算状況にあわせた提案も行いやすくなります。

プロジェクト体制

解決策を実施していくプロジェクト体制を記載します。プロジェクトの責任者を明確にするほか、円滑に連絡を取れるよう、連絡先や連絡手段なども明記しておきましょう。

スケジュール

解決策を実施していくスケジュールを記載します。提案書ではWBSのようにタスクを漏れなく洗い出す必要はありませんが、解決策実施における要点を押さえたスケジュールを記載しましょう。

会社概要・実績

自社の会社概要や実績を記載します。クライアントが提案を受け入れ稟議を書く際には取引先の概要や実績が必要となるため、必ず記載しましょう。

添付資料

提案書の内容を補足する細かなデータや書類などがあれば、資料として添付します。特に補足事項がない場合には添付資料はなくても構いません。

提案書を作成する際のポイントや注意点

クライアントにとってより魅力的な提案書を作成するためのポイントや注意点を解説します。

提案書を作成するためのポイントや注意点 イメージ図

CTPTを意識する

CTPTとは、コンセプト(Concept)、ターゲット(Target)、プロセス(Process)、ツール(Tool)の頭文字を取った言葉です。

提案書においては、コンセプトは「提案の背景と目的」、ターゲットは「提案のターゲット」、プロセスは「提案の実行方法」、ツールは「提案実行に必要なツール」を意味しています。

提案書にこれら全ての内容が漏れなく盛り込まれているか、また、それぞれの整合性が取れているかをチェックしましょう。

提案内容の裏付けをとる

提案内容を受け入れてもらうには、提案する解決策が課題に対して有効であることの論理的な裏付けが必要となります。

希望的観測ではなく、統計データや他社での実績などの客観的なデータをもとにした裏付けを行い、論理的な妥当性を説明できるようにしましょう。

提案後のメリットやそれに至る流れを伝える

提案を受け入れた後に実現できる未来をどう魅力的に伝えられるかは非常に重要なポイントです。メリットに魅力を感じれば、予算との兼ね合いや自社の実績面で多少のマイナスがあっても、提案が受け入れられるケースが多々あります。

提案書を書く際には、クライアントが出来る限り具体的にメリットやメリットに至る流れをイメージできるよう意識しましょう。

わかりやすい表現を意識する

提案書では、クライアントにわかりやすい表現を使うよう意識しましょう。クライアントがわからない可能性がある専門用語や認識の齟齬を招きかねない表現は避けてください。

具体性・実現性のない提案はしない

いくら魅力的なメリットを語っても、具体性・実現性のない提案は受け入れられません。ヒアリングなどを通してあらかじめクライアントのおおまかな予算、人員体制、納期などを把握しておき、クライアントの環境にあわせた具体的かつ現実的な提案を行いましょう。

質の高い提案資料を作成するにはツールの活用が大事

質の高い提案資料を作成するためには、ツールの活用がおすすめです。提案書を一から作成しようとすると負担が大きく、抜け漏れが発生しやすくなりますが、ツールの活用によって解決できます。

提案書の作成に役立つツールには、テンプレートを作成するツールとナレッジを蓄積するツールの2つの種類があります。

テンプレート作成のツールを活用する

テンプレートを作成するツールを使えば、あらかじめ提案書のテンプレートを作成しておき、さまざまな案件に対してテンプレートをもとに提案書を作成できます。提案書を一から作成するよりも負担を軽減でき、汎用性が高い特徴があります。

ナレッジとして蓄積しておくためのツールを活用する

ナレッジを蓄積するためのツールを使えば、過去の案件で作成した提案書をベースに新しい提案書を作成できます。過去の類似した案件をベースに作成できるため、また過去の成功例や失敗例を反映して作成できるため、魅力的な提案書を作成しやすい特徴があります。

ナレッジを蓄積するツールとしては、社内におけるナレッジ・情報の共有と蓄積に適したナレッジ経営クラウド「Qast」がおすすめです。Qastにはテンプレート作成機能があるため、テンプレート作成ツールの魅力も備えており、ナレッジとして蓄積した過去案件を参考に魅力的な提案書を作成できます。

提案書作成の質を高めるために、ぜひQastの導入をご検討ください。

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まとめ

提案書は、社内や社外のクライアントが抱える課題の解決策を提案する際に用いる資料です。提案相手に課題を認識してもらい、認識をあわせつつ解決策実行の意思決定をもらう重要な役割を担います。

しかし、適切な提案書が書けなければ提案を受け入れてもらえず、解決策の実行に繋がりません。

クライアントにとって魅力的な提案書を書くには、CTPTを意識して具体性・実現性のある提案をわかりやすく伝えるとともに、客観的なデータによる裏付けと魅力的なメリットの伝え方を準備しておく必要があります。

これらのポイントを押さえた提案書を効率的に作成するために、ぜひツールを導入して提案書の質を高めることをおすすめします。

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