デジタイゼーションとデジタライゼーションの違いとは?取り組むコツなどを解説
DX(デジタルトランスフォーメーション)の広がりと共に、デジタイゼーションやデジタライゼーションという言葉もよく利用されるようになってきました。しかし、デジタイゼーションやデジタライゼーションはDXほど知名度が高くないため、意味や違いがわからないという人も多いでしょう。
今回は、より効果的なDX推進のため、デジタイゼーションとデジタライゼーションそれぞれの意味や違い、取り組むコツなどを紹介します。組織のDX推進をお考えの際は、ぜひこの記事を参考にしてください。
目次
デジタイゼーションとは
Digitization(デジタイゼーション)は、国連開発計画(UNDP)によって以下のように定義されています。
デジタイゼーション「既存の紙のプロセスを自動化するなど、物質的な情報をデジタル形式に変換すること」
具体的には、紙の資料や申請書をExcelやPDFなどのデジタルデータに変換することです。紙の申請書をデータ化し、押印を電子印鑑にすることなどがデジタイゼーションにあたります。業務におけるアナログ・物理データをデジタルデータ化することと覚えておきましょう。
デジタライゼーションとは
Digitalization(デジタライゼーション)は、国連開発計画(UNDP)によって以下のように定義されています。
デジタライゼーション「組織のビジネスモデル全体を一新し、クライアントやパートナーに対してサービスを提供するより良い方法を構築すること」
具体的には、業務のプロセスやフローをデジタル化し、より効率の良いサービスを提供することです。ワークフローシステムを導入し、既存の業務フローをシステム上で完結するように変更するなどがデジタライゼーションにあたります。デジタライゼーションは業務をデジタル上で完結できるよう変換し、より利便性を高めることと覚えておきましょう。
デジタイゼーションとデジタライゼーションの違いとは
デジタイゼーションとデジタライゼーションの関係性としては、デジタイゼーションの次にデジタライゼーションが行われる流れとなります。申請・承認業務を例にすると、申請用紙や印鑑をデジタルデータ化するデジタイゼーションの後に、申請・承認をワークフローシステム上で完結するデジタライゼーションが行われます。
DX(デジタルトランスフォーメーション)との関係
DXとは、デジタイゼーションやデジタライゼーションを含みつつ、新たな製品やサービス、ビジネスモデルを通して新しい価値を創出し、競争上の優位性を生み出していくものです。既存業務をより良い方法に変換するデジタライゼーションをさらに昇華させたものと考えられるでしょう。例えば、AR・VR技術を導入し製品のサイズを実物大で確認できるサービスを導入する取り組みなどがDXにあたります。
DXについては以下の記事で詳しく解説していますので、併せてぜひ参考にしてください。
デジタイゼーション・デジタライゼーションのメリット
デジタイゼーションとデジタライゼーションを推進することで、既存の業務においてさまざまなメリットが生まれます。ここでは主なメリットを4つご紹介します。
人的なミスが減る
デジタイゼーション・デジタライゼーションにより業務がデジタル化すると、人的なミスの抑制につながります。例えば、紙媒体の申請書では記載ミスや記載漏れが発生しがちですが、デジタル化した申請書で入力をプルダウンから選択できるようにする、必須項目が入力されていない場合はエラーが発生するようにするなどの仕組みを構築すれば、ミスを防ぐことができます。
作業効率が向上する
デジタイゼーション・デジタライゼーションによって業務の自動化や並列処理ができるようになると、作業効率が向上します。業務における確認や計算作業などの時間や人手が取られる作業をデジタルに置き換えれば、そのぶんの時間や人手が浮き、効率的に業務を進められるでしょう。
コストの削減に繋がる
紙などのアナログ・物理データをデジタル化すると、印刷や保管スペースにかかるコストを削減できます。また、アナログ・物理データの場合は記載された情報を探す場合に検索ができず、大幅に時間が取られてしまいますが、デジタイゼーション・デジタライゼーションによって管理や検索にかかる時間的コストを削減できるでしょう。
新しい顧客体験や事業価値の提供
デジタル化によって作業効率の向上やコスト削減が進めば、そのぶんの時間や人手、コストなどを顧客に対するサービスに向けることができ、サービスの質が高まります。また、サービスの質の向上を新しい事業価値の提供につなげることもできるでしょう。
具体的なデジタイゼーションの例
デジタイゼーションの概要を理解しても、まず何から手をつければ良いかわからないというケースも多いでしょう。そこで、多くの企業で手をつけやすい具体的なデジタイゼーションの例を紹介します。
ペーパーレス
書類をデジタルに変換するペーパーレス化は多くの企業で取り組むことができ、最も手をつけやすいデジタイゼーションのスタイルの一つです。ペーパーレス化の際は、書類のデジタル化だけでなく電子署名などもあわせて推進すると良いでしょう。スムーズな契約処理が行えるようになる他、サーバーやクラウドの利用で保管・管理も容易になります。
ペーパーレス化の進め方やおすすめのツールは以下の記事でご紹介しています。ぜひ参考にしてください。
Web会議
会議をWeb会議に移行していくことで、遠方の企業とのミーティングが容易になると共に、移動にかかる金銭的・時間的コストの削減につながります。昨今ではテレワークも一般化しているため、テレワーク勤務者との連携を図りやすい点でも大きなメリットがあるでしょう。
具体的なデジタライゼーションの例
デジタライゼーションの具体的な事例もご紹介しましょう。
ロボット・IoT
RPAなどのロボットを導入すれば定型的なルーティーン作業を自動化でき、人的コストやミスの削減につながります。また、遠隔から操作可能なIoT機器を導入すれば、従業員が現地に出向いて行う作業のリモート化も実現できます。それにより、人材不足の解消や品質の安定化などが図れるでしょう。
SFA・CRM
SFA(営業支援システム)やCRM(顧客関係管理システム)を導入すれば、顧客の情報管理が容易になると共に、顧客への対応品質の標準化や顧客情報の分析・改善が行えるようになります。顧客情報を分析した結果、顧客のニーズが把握できるようになれば、新しい事業計画やアプローチを行えるようになり、これまでにない価値の提供にもつなげやすくなるでしょう。
デジタイゼーション・デジタライゼーションを成功させるポイント
デジタイゼーション・デジタライゼーションの推進は、DX推進のうえでも非常に重要です。ここでは、デジタイゼーション・デジタライゼーションを成功させるためのポイントを4つ解説します。
組織全体で取り組む
ごく一部の業務をデジタル化しても、関連する他業務のデジタル化ができていないければ、業務効率化やコストの削減につながりにくくなります。また、ITに慣れていない従業員が多い環境ではデジタル化に抵抗が生まれる場合もあるでしょう。デジタル化を推進するメリットやデジタル化実施後の研修の実施など、組織全体でデジタル化に取り組むことが重要です。
デジタル化できる業務を整理する
DX推進のうえでデジタル化は非常に重要ではありますが、やはり現場環境によってデジタル化に向いている業務と向いていない業務はあります。向いていない業務を無理にデジタル化すると、かえって業務効率が悪くなる可能性もあります。デジタル化を行う際は、現場の声を汲み上げながら、どの業務をデジタル化できるか整理していくと良いでしょう。
優先順位を明確にする
さまざまな業務を一気にデジタル化しようとすると、コスト面でも従業員の対応面でも負担が大きくなります。デジタル化できる業務を整理した後は、どこからデジタル化を進めていくか、優先順位をつけて推進していくようにしましょう。
導入するツールやサービスを精査する
デジタル化を行ううえで、導入するツール・サービス選定は非常に重要です。そもそも業務をデジタル化するために必要な機能が備わっていなかったり、多機能すぎてツールを使いこなすのが難しかったりすると、思うようにデジタル化を進められません。業務改善に必要な機能が備わっていることに加え、自社のITリテラシーを踏まえてツール・サービスを精査しましょう。
デジタイゼーション・デジタライゼーションの第一歩にQastを導入してみませんか?
デジタイゼーション・デジタライゼーションを進めていく際には、ナレッジの蓄積やファイル共有などが容易にできるナレッジ経営クラウド「Qast」がおすすめです。
Qastは、UIや操作がシンプルなため誰でも簡単に利用ができます。また、インターネット上からアクセスできるクラウドツールのため、インストールやアップデートなどの手間も必要ありません。社内FAQの整備による紙資料のデジタル化やデジタル化推進のための組織全体への周知・教育など、業務のデジタル化に役立ちます。
デジタイゼーション・デジタライゼーションの第一歩として、ぜひQastの導入をご検討されてみてはいかがでしょうか。
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今回は、より効果的なDX推進のため、デジタイゼーションとデジタライゼーションそれぞれの意味や違い、取り組むコツなどをご紹介しました。
作業効率を向上させコストの削減につながるデジタル化は、新しい価値の創出を行うDX推進にとっても非常に重要です。デジタイゼーション・デジタライゼーションの推進にはさまざまな方法がありますが、組織ごとにデジタル化できる業務を洗い出し、優先順位をつけて進めていくことが重要です。