ICT化とは?IT化との違いや進め方のポイントなどを徹底解説

現在では多くの企業でIT技術の活用が当たり前となり、ICT化が進んでいます。しかし、ITのツールや技術に慣れ親しんでいる方でも、ICT化という言葉には馴染みがない方は多いのではないでしょうか。

ここでは、ICT化の意味や混同されやすい言葉との違い、推進することによるメリットやデメリットなどを解説します。

ICT化とは?

ICTとは「Information and Communication Technology」の略で、情報通信技術を意味する言葉です。まずはICT化の意味とICT化が重要視されるようになった理由を解説します。

ICT化の意味

ICT化とは、情報通信技術を活用して業務におけるコミュニケーションの円滑化、ひいては業務効率化や生産性向上を図ることを指します。

ICT化には、単なるコミュニケーションツールの導入だけではなく、円滑にコミュニケーションを行うためのネットワーク構築、ファイル共有手段の整備なども含まれます。

ICT化が重要視されるようになった理由

ICT化が重要視されるようになった背景には、働き方改革や労働人口の減少があります。

働き方改革によってワークライフバランス改善がより求められるようになったことに加え、労働人口減少による人手不足が顕著になったことで、多くの企業が業務効率化・生産性向上の課題を抱えています。

ワークライフバランスを保てず離職率が増加し、人手不足が加速したり、新しい人材を確保できないことで企業活動の継続が難しくなったりするようなことがないよう、ICT化を進めて業務効率化・生産性向上を図る必要性が増しています。

ICT化と混同されやすい言葉やそれぞれの違い

ICT化という言葉には、いくつか混同されやすい言葉があります。IT化やIoT、DX化、デジタル化といった言葉のそれぞれの意味と、ICT化との違いを解説します。

IT化の違い

IT化とは、コンピューターや通信インフラなどの情報技術を活用して業務効率化や生産性向上を図ることです。ICT化とIT化では焦点が異なり、ICT化はIT化したナレッジ・情報などをやり取りすることに重きを置いています。

近年では日本を含め、国際的にもICTという言葉が使われることが一般化しており、ICT化はIT化を含んだ概念となっています。

IoTとの違い

IoT(Internet of Things)とは、あらゆるモノをインターネットに繋ぐ技術や仕組みを指します。あらゆるモノから情報を収集することで、業務効率化の実現や利便性向上に繋がる新しい製品・技術の開発を行うものであり、ICT化とは異なる概念です。

DX化との違い

DX化とは、IT技術を活用して新しい価値を創出し、ビジネス環境において優位性を獲得することを指します。ICT化は業務効率化や生産性向上を図るものですが、さらにそこからビジネス的な価値の創出に昇華させたものがDX化となります。

DXについては以下の記事で詳しく解説しています。

DX(デジタルトランスフォーメーション)推進とは?すぐに導入できるツールも紹介
近年よく見聞きするようになった「DX」(デジタルトランスフォーメーション)という言葉。DXが求められる背景や成功事例を知れば、一過性の流行のようなものではなく、あらゆる業界業種の企業において取り組まなければいけない課題であることがわかるはずです。 ここでは、DXの推進へと具体的な一歩踏み出すために、その概要やすぐに導入できるツールの情報などをご紹介します。

デジタル化との違い

デジタル化とは、従来のアナログな業務や情報をデジタルに置き換えることを指しています。IT化のようにデジタルへの置き換えにより業務効率化や生産性向上を図るものと捉えられる場合もありますが、いずれにせよナレッジ・情報などのやり取りの円滑化に重きを置くICT化とは焦点が異なる概念です。

ICT化のメリット

次に、ICT化によって得られる主なメリットを6つご紹介します。

業務の効率化や生産性の向上に繋がる

ICT化によってナレッジ・情報の共有が円滑になれば、業務効率化や生産性向上などのメリットが得られます。これまで特定の担当者しか持ち得なかったナレッジ・情報を共有する場を整備できれば、社員のスキルアップやイノベーションの促進に繋がります。

他にも、部署間連携の強化など、ICT基盤の整備によって得られる業務効率化や生産性向上の伸びしろは大きいでしょう。

サービスの質の向上に繋がる

ICT化にはサービス品質向上の効果もあります。たとえば、営業先からでも社内のデータにアクセスできるようになれば顧客へのレスポンスが早くなりますし、オンラインサポートを導入すればスピーディーな顧客対応が可能となります。

また、ICT化によって得られるようになったデータの利活用を進めることで、より顧客のニーズにコミットしたサービスの提供も可能となるでしょう。

人為的ミスを軽減できる

人が行う作業にミスはつきものですが、ICT化によって業務の一部を自動化できれば、人為的ミスの削減に繋がります。ICT化によって得られたデータをもとにすれば、より適切な判断を行いやすいでしょう。

近年ではAIの活用も進んでおり、ICT化によるデータ取得とAIによる客観的判断を組み合わせれば、これまで担当者の経験差によって生じていた判断ミスなども防げるようになります。

スムーズな情報共有が可能になる

ICT化によりコミュニケーションやデータの送受信がしやすくなれば、スムーズな情報共有が可能となります。

たとえば、海外に拠点を展開しており言語の壁や時差でうまくコミュニケーションが取れない企業の場合、自動翻訳技術によって言語の壁を取り払い、時差に影響を受けないコミュニケーション手段を準備すれば、海外拠点の社員とも情報共有を行いやすくなります。

自由な働き方ができるようになる

働き方改革の推進により、リモートワークや時短勤務など、多様な働き方の需要が高まっています。ICT化を行えば社外からでも業務を行えるようになり、時短勤務による業務引き継ぎも円滑になります。社員が自由な働き方を選択できるようになることで、多様な人材を受け入れやすくなり、人手不足の解消にも繋がります。

コストの削減に繋がる

ICT化はコストの削減にも繋がります。たとえば、会議をWeb会議にしてリモートで参加できるようになれば、移動や資料の準備、会議場所の確保などにかかるコストを削減できます。

また、業務効率化や生産性向上、プロセスの自動化などにより、今までよりも少ないコストで業務を行えるようになる可能性も高いでしょう。

ICT化のデメリット

ICT化には多くのメリットがある一方、デメリットには注意が必要です。ICT化を行う際に注意すべきデメリットを3つ解説します。

セキュリティーリスクの可能性がある

ICT化を推進すれば利便性が向上する一方、セキュリティーリスクは高まります。

たとえば、社外からのアクセス設定に誤りがあれば外部者がアクセスできてしまいますし、データのやり取りが暗号化されていなければ第三者にデータを盗聴・窃取される可能性もあります。

ICT化を行う際には新しいツールやクラウドサービスを導入するケースが多いですが、セキュリティー対策がしっかり行われているか、信頼できるベンダーかをよく見極める必要があります。

導入コストがかかる

ICT化には新しいツールやクラウドサービスの導入が必要となるケースが多く、導入コストがかかります。

近年ではパッケージよりもサブスクリプション型の製品が主流であり、月額・年額のコストが継続的に発生します。導入コストに見合った費用対効果を得られるかに注意しながら導入する製品を検討しましょう。

サポート体制と教育が必要になる

新しいツールやクラウドサービスを使うためには、使い方を理解する必要がありますし、ICT化によって業務プロセスを変革するのであれば、その分のサポートや教育が必要になります。

ICT化は長期的に見れば業務効率化や生産性向上の効果を得られるものですが、短期的にはサポート・教育にコストがかかるため、業務効率や生産性の低下が発生します。ICT化を推進する際には、短期的なマイナスの影響だけを見るのではなく、中長期的な計画を立てるようにしましょう。

ICT化を進めるための流れ

実際にICT化を進めるための流れを解説します。

ICT化

ICTを導入する計画を立てる

まずはICTを導入する計画を立てましょう。計画を立てる際には、導入目的やスコープ、導入体制、スケジュール、KPI・KGIなどを明確にします。

ICT化のデメリットでも解説した通り、ICT化には一時的な業務効率や生産性の低下を伴います。リスク管理として、一時的な業務効率や生産性の低下をカバーする対策も事前に検討しておくと良いでしょう。

業務フローの見直しを行う

業務フローを見直し、ICTの導入による改善を盛り込んだ業務フローを設計します。

そのためには、事前に現状の業務フローを可視化しておく必要があります。業務フローを可視化するためのツールを導入することで効率的に可視化と見直しができる可能性もあります。

環境の整備・構築

ICTを導入するための環境の整備・構築を行います。その際は、単にICTを使える環境だけではなく、利用ルールの整備やセキュリティー対策など、社員が安全にICTを利用できる環境を整備する視点を持つことが重要です。

社員への教育体制を整える

利用マニュアルの整備やデモンストレーションを行い、社員への教育を行います。

使い方がわからない時に問い合わせる窓口を準備する、部署ごとに教育担当者を立てておくなどの取り組みも必要です。

誰でも使いやすいシンプルなツールやサービスを導入すれば、その分教育コストを下げられるため、使いやすさを考慮した製品選定も重要となります。

PDCAを回す

ICT導入後は定期的に評価を行い、計画時に想定していた成果を得られているか確認しましょう。PDCAを回し、改善を繰り返すことで、より効果的な使い方や新たな課題の発見に繋がります。

ICT化を進める上でのポイントや注意点

ICT化を上手に進めるためのポイントや注意点を解説します。

導入の目的を明確にしておく

ICT導入の目的は最初から明確にし、その目的に合ったツールの導入を進めましょう。

目的が明確でないと、導入自体が目的になり、効果的なICT活用が二の次になってしまいます。

また、目的が曖昧なまま似たような用途のICTツールやサービスを複数導入してしまうと現場が混乱するもとになります。

ITリテラシーへの教育・周知が必要

社員のITリテラシーが低いままICT化を進めると、その分セキュリティーのリスクが増大します。 ICT導入のデメリットであるセキュリティー対策には、社員のITリテラシーを向上するための施策を展開すること、ICTの利用ルールの周知を徹底し利用ルールが厳守されるようにすることが重要です。

現場で効果が得られているか確認する

ICTツールやサービスを実際に利用するのは現場の社員です。導入する際には、現場の声を拾い上げるようにしましょう。現場の声を聞かないまま製品を選定してしまうと、現場にとって使い勝手の悪い製品が導入され、利用が促進されません。

また、製品導入後も定期的に現場の声を聞き、想定していた効果が得られているか、さらなる改善ポイントはないかを確認しましょう。

ICTツールを活用する

効果的なICT化の促進には、ICTツールの活用が不可欠です。導入目的にあったICTツールを活用し、現場の課題解決を図りましょう。

ICTツールについては以下の記事で詳しく解説しています。

ICTツールとは?働き方改革やテレワークの課題解決・業務効率化に便利
新型コロナウイルスの感染対策として、企業でもテレワークを推奨しているところが増えています。ただ、いざテレワークを始めてみると「業務連絡はどこでするの?」「会社に行かないと資料が開けない」等、課題を感じている方も多いのではないでしょうか。 今回は、そんな課題を解決するICTツールをご紹介していきます。この機会に、もはや必須とも言えるICTツールの導入を検討していきましょう。

まとめ

ICT化とは、ICT(情報通信技術)を活用して業務効率化や生産性向上を図ることを指しており、業務効率化や生産性向上、サービス品質の向上や人為的ミスの削減、情報共有の円滑化、自由な働き方の実現、コスト削減など、多くのメリットがあります。

一方、セキュリティリスクや導入コスト、サポート・教育体制における業務負荷などのデメリットもあります。ICTツールにはさまざまな種類がありますが、最も基本となるのはナレッジ・情報共有ツールです。

なかでも、社内における情報共有や社内ポータルサイトに適したナレッジ経営クラウド「Qast」は、ICT化の推進におすすめのツールです。

ICT化のデメリットであるセキュリティー対策は万全。誰でも使いやすいツールのため、サポート・教育にかかるコストも少なく導入できます。

ICT化を推進する際には、ぜひQastの導入もご検討ください。

Qastについて詳しくはこちら

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