グループウェアとは?機能やメリット、おすすめツールを紹介
近年、働き方改革や労働人口の減少などを背景に、社内における情報共有の重要性がますます高まっています。業務の属人化、生産性の低下、コミュニケーション不足など、情報共有を怠ることで起こりうる弊害はさまざま考えられます。
最近では社内での情報共有不足を防ぐ多様なツールが登場していますが、なかでも複合的な機能を持つ「グループウェア」の活用が広まっています。
今回は、グループウェアが持つ機能やグループウェア導入によるメリット・デメリット、おすすめのグループウェアツールをご紹介します。
グループウェアとは?
グループウェアとは、社内メンバーのナレッジ・情報共有をサポートするさまざまな機能が組み込まれたツールです。
メールツールやチャットツールなど単独の機能を持つツールではなく、メールやチャット、スケジュール、会議室予約やファイル共有など、ナレッジ・情報共有の効率化に繋がる多様な機能を備えています。
一つのソフトウェアを立ち上げれば全機能が利用できるためわずらわしさがなく、個別のツールを一つずつ導入するよりもコストや機能面で優位性があります。
グループウェアと同様、社内でのコミュニケーションを円滑化するツールに「社内SNS」がありますが、グループウェアは「社内SNS」の機能に加え生産性を向上させるための機能を網羅しています。円滑なコミュニケーションに加えて業務効率化も図りたい場合は、社内SNSよりもグループウェアの導入を検討したほうが良いでしょう。
グループウェアの導入形態には、オンプレミス型とクラウド型の2種類があります。
オンプレミス型
オンプレミス型は、自社内に設置したサーバにグループウェアをインストールして利用する仕組みです。
やり取りする情報を自社内に保存でき、サーバに細かなセキュリティ設定を実施できることから、ガバナンスを効かせやすいというメリットがあります。
一方、サーバなどのインフラを準備するコストがかかる他、サーバ運用ができる人材の確保が必要というデメリットもあります。
クラウド型
クラウド型は、事業者が提供するサービスを利用する仕組みです。
オンプレミス型のようにサーバを自前で用意する必要がなく、専門人材の確保も不要なことから、導入のハードルが低い点がメリットといえます。
一方、サービスの機能や品質は事業者に依存し、自社でのコントロールが難しい点がデメリットです。
ナレッジ・情報共有の重要性
働き方改革による勤務形態の多様化や労働人口減少による人材難が続く中、企業の課題として顕著になっているのが、ナレッジ・情報共有の不足です。ナレッジ・情報共有が不足すると、生産性の低下や属人化、離職率上昇など、さまざまな問題が発生します。
昨今では、このナレッジ・情報共有の不足を解決し、組織としてナレッジをうまく管理していく「ナレッジマネジメント」の重要性が叫ばれています。ナレッジマネジメントの一環である「暗黙知」を「形式知」へと変えていくツールはナレッジマネジメントツールと呼ばれますが、今回ご紹介しているグループウェアもナレッジマネジメントツールの一つです。
ナレッジマネジメントはなぜ必要?
ナレッジマネジメントとは、企業が持つ情報や知識と社員一人一人が持つノウハウや経験を融合させ、より質の高い業務を実現させる経営手法です。
ナレッジマネジメントの重要性は、「暗黙知」を「形式知」に変換できることにあります。
暗黙知とは、ある事柄についてなんとなく理解している状況ではあるものの、あくまでも感覚的な理解に過ぎず、言葉では説明できない状態を指します。いくらナレッジ・情報共有が大事だとわかっていても、暗黙知の状態では社員間で知識を共有することができません。
一方、形式知とは、知識の内容が文章や図などで体系化され、明確に示されている状態を指します。この状態であれば、社員間での知識の共有が可能となります。
適切にナレッジ・情報共有が行われる環境を作るためには、ナレッジマネジメントを行って社員の知識を「暗黙知」から「形式知」へ変換し、社員間で共有できる状態にすることが必要なのです。
ナレッジマネジメントについては以下の記事に詳細をまとめています。
グループウェアの機能
ナレッジマネジメントツールの一種として「グループウェア」があります。グループウェアとは、企業などの組織内において情報を共有するためのソフトウェアです。
グループウェアを効率的に活用するために、グループウェアで利用できる機能について理解しておきましょう。
電子メール
組織内で電子メールの送受信を行うことができます。グループウェアの電子メールにおいては相手が読んだかどうかも表示されます。
掲示板(BBS)
掲示板に書き込みができる機能です。メッセージなど連絡したい内容を書き込み、相手に伝えることができます。
チャット
指定した方とコミュニケーションを取るための機能です。SNSでのメッセージ機能のように、テンポ良くメッセージのやりとりができることから、業務の打ち合わせを行う場合に適しています。
ライブラリ
情報ファイルや画像データなど、業務に関するさまざまな情報が登録されており、利用者同士で情報を共有できます。
ファイル共有
資料や画像、ドキュメントなどを保管する機能です。ファイルにアクセスすることで保管されている情報を共有できます。
ワークフロー
電子決裁を行う機能で、申請書や企画書などの決裁処理を電子的に行うことができます。オンライン上での決裁であるため、作業をスムーズに進めることが可能です。
スケジュール管理
スケジュール管理の機能では、メンバーのスケジュールが共有されます。メンバーのスケジュールが確認できるため、無駄な作業の発生を防ぐことができ、業務の効率化が見込めます。
日報管理
日報をグループウェア上で作成・管理できる機能です。グループウェアで日報をデータとして管理すれば、日報の保管場所が分散せず、過去の日報の内容もすぐに確認できるようになります。
会議室予約
会議室の予約状況や、会議室で使用する設備の予約状況を管理できます。多くの場合はスケジュール管理と連動しているため、会議のスケジュールを決めたうえで会議室を予約することができます。
議事録・レポート
議事録などのレポートを効率的に作成・管理できる機能です。テンプレートを活用し、効率的に議事録・レポートを作成できます。また、回覧機能やレポート一覧によりスムーズなナレッジ・情報共有が行えます。
グループウェアツール導入のメリット
グループウェア導入によって得られる主なメリットを5つご紹介します。
業務の効率化が図れる
ナレッジ・情報共有が円滑に行われるようになれば、業務の可視化や改善に繋がり、結果として業務の効率化が図れるでしょう。これまで個別のコミュニケーションでやり取りされていたナレッジ・情報が全体に共有されるため、社員のスキルアップや属人化防止にも繋がり、より業務を品質高く、効率的に進められるようになります。
顧客満足度の向上が期待できる
キャッチアップした顧客情報の共有や属人化の防止により、顧客要望にマッチした対応を社内で標準化できます。細かな顧客情報を特定の担当者のみが把握している状態だと、担当者不在のタイミングでは対応が遅くなってしまいがちですが、グループウェアを導入すれば対応の品質向上と迅速化が実現し、顧客満足度の向上が期待できます。
コストの削減に繋がる
グループウェアでナレッジ・情報を管理できれば、人員コスト、コミュニケーションコスト、紙媒体での情報管理によるペーパーコストなど、さまざまなコストの削減に繋がります。これらは長期的なコスト削減効果が期待できるものであり、企業・社員双方にとってメリットがあります。
社内コミュニケーションが活性化に繋がる
社員の定着率向上やイノベーションの促進には、日々のコミュニケーションが非常に大切です。グループウェアの導入によってコミュニケーションコストが下がれば、社内コミュニケーションが活性化し、多くのメリットを得られるようになります。
社内コミュニケーションの重要性については以下の記事に詳細をまとめています。
多様な働き方が実現できる
テレワークやフレックス制、時短勤務など、多様な働き方を導入する企業が増えていますが、多様な働き方の実現にはコミュニケーションによる問題の解決が不可欠です。社外とのコミュニケーションや担当者間での引き継ぎなどには、それを安定的かつ安全に行うインフラ・セキュリティ環境を整える必要があります。グループウェアであれば、社外とのコミュニケーションやナレッジ・情報の共有がしやすく、多様な働き方の実現に繋がります。
グループウェアツール導入のデメリット
グループウェア導入には多くのメリットがある一方、デメリットも存在します。主なデメリットを3つご紹介します。
導入コストがかかる
グループウェアの導入には、オンプレミス型であれば設備の初期費用や運用・維持にかかる人件費、クラウド型であれば月額利用料などのコストがかかります。決して少なくない導入コストがかかるため、費用対効果が得られるかをふまえて導入を検討する必要があります。
ITリテラシーを高める必要がある
グループウェアの活用には、社員が製品に見合ったITリテラシーを備えているかがポイントになります。機能が多くカスタマイズ性に優れた製品は便利ですが、その分使いこなすために必要なITリテラシーは高くなります。
製品に合わせてITリテラシーの向上を図る、もしくは利用において高いITリテラシーが求められない製品を選ぶことが重要です。
他の部署とのコミュニケーションが難しい
グループウェアは複数部署での横断的コラボレーションにも利用できますが、それぞれの部署が好き勝手に情報発信していては、かえってコミュニケーションの阻害要因となります。
また、製品によってはグループチャットや掲示板などの作成に管理者の許可が必要になり、柔軟なコミュニケーションができない可能性もあります。
複数部署でのコミュニケーションを目的にする場合は、利用ルールを整備するとともに、柔軟な機能を備えた製品を検討しましょう。
おすすめのグループウェア5選
機能性やメリットに基づいて、おすすめのグループウェアを5つご紹介します。
それぞれのグループウェアの特徴を理解しておくと、自社に適したグループウェアを選びやすくなります。
Qast
「Qast」は、シンプルに使いやすく利用できる点が特徴で、導入している企業は3,500社以上にのぼります。業界や職種を問わず誰でも簡単に投稿できるツールであることが導入に繋がっています。
Qastでは、Q&Aとメモの機能によって社内の情報が集約されます。よくある質問はQ&Aの項目に、個人の知識やノウハウをメモの項目に投稿することで情報が一か所にまとめられ、情報を容易に検索できます。
また、質問は匿名でも行えるので、気軽に質問できます。投稿はテンプレートから行うことができるため、手軽に投稿できる点も魅力的です。
サイボウズOffice
サイボウズOfficeは、中小企業向けのグループウェアです。サイボウズOfficeのトップページには、その日の予定、連絡事項や申請など、業務を行うにあたって必要な情報が集約されているため、1日の業務計画をスムーズに立てられます。
パソコンだけでなく、タブレットやスマートフォンからも利用でき、外出先にいながらもアクセスできるため、業務の効率性がアップします。
さらに、30日間無料で全ての機能が利用できること、最低5ユーザーから利用できるため、お試し感覚で気軽に利用できます。
J-Motto
J-MOTTOの特徴は、低価格で利用できる点です。基本料金は20ユーザーまでで月々3000円なので、1ユーザー当たりの利用料金を月々150円におさえることができます。
また、無料お試し期間は最大3か月となっており、グループウェアを試験的に導入する面から見ても最適です。
グループウェアで利用できる機能は25種類と豊富であるうえに、使いやすく、画面も見やすいことから、パソコンの操作が苦手に感じる方も手軽に利用できます。
そのほか、J-MOTTOではグループウェアのほかに「WEB給与明細」や「WEB勤怠」などさまざまなクラウドサービスもあわせて提供しています。これらの機能も活用することで業務の能率がさらに向上します。
desknet's Neo
desknet's NEOは、現場の声を反映しており、使いやすい操作画面に仕上がっています。
desknet's Neoを制作した企業の調査によると、操作画面の印象に関する回答で最も多かったのは「見やすい」の24%でした。
また、3か月以内の定着率は「すっかり定着している」と「定着している」をあわせると77%に達しています。この結果は、現場の声に基づいたグループウェア制作に徹したからといえるでしょう。
そのほか、desknet's NEOは日本企業特有の仕事の流れを想定して制作されています。日本企業では部署や役職単位でのやりとりが発生する場合があるため、部署や役職単位で連絡先をまとめて指定することもできます。
ジョブカンワークフロー
ジョブカンワークフローは、申請業務の効率化に特化したグループウェアです。
申請書の記入は簡単に行えるほか、申請した書類の承認業務は外出先にいながらスマートフォンで操作できるため、承認業務がスムーズに進められます。また、新たな種類の申請書を簡単に作成できます。
ジョブカンワークフローの利用で、申請・承認にかかる時間は約3分の1に削減されます。申請業務が効率化することで、業務の効率化も期待できます。
まとめ
グループウェアとは、社内のナレッジ・情報共有を円滑化するさまざまな機能を包括したツールです。
働き方の多様化や人手不足を背景に、ナレッジ・情報共有の不足が大きな課題となっている企業は多いでしょう。しかし、グループウェアを活用すれば、ナレッジ・情報共有の不足を解消でき、業務効率化や顧客満足度向上など多くのメリットが得られます。
一方、グループウェア導入には、導入コストや社員のITリテラシー、複数部署間でのコミュニケーションに注意する必要があります。グループウェアを導入する際には、費用対効果を意識しつつ、誰でも使いやすい、柔軟な機能を備えた製品を選びましょう。