ナレッジワーカーとは?求められるスキルやマニュアルワーカーとの違いを解説
「ナレッジワーカー」という言葉をご存知でしょうか。現代社会は、情報社会ともいわれています。そんな中、企業の中で昨今求められる人物像の一つとして、ナレッジワーカーが挙げられます。「ナレッジワーカー」は一体どんな人たちなのでしょうか。
今回は「ナレッジワーカー」について、必要なスキルや実際の仕事内容をご紹介していきます。
目次
「ナレッジワーカー」とは?
ナレッジワーカーナレッジワーカー(knowledge worker)とは、企業に対して知識により付加価値を生み出す労働者の事を表し、知的生産物を創造する労働者に用いられる。従前の製造(生産)に従事する労働者(単純労働者)に対する対立概念でもある。
引用元: コトバンク
ナレッジワーカーは、組織マネジメントで有名なピーター・ドラッカー(Peter Drucker)によって提唱されました。ドラッカーは、オーストリアの経営学者・社会学者で、「現代経営学」あるいは「マネジメント」(management) の発明者といわれています。
日本でも流行した岩崎夏海さんの小説『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』(通称:もしドラ)をご存知の方も多いのではないでしょうか。
ドラッカーが、1969年に発刊した著書『断絶の時代』の中で、知識社会の到来、起業家の時代、経済のグローバル化などが訪れると予言しています。そしてその中で、自らの知識によって知識経済を支える労働者として、「ナレッジワーカー(knowledge worker)」という造語を作り出しました。
そのナレッジワーカーが昨今求められている理由としては、テクノロジーの進歩に伴って製造業からサービス業へと産業構造が変化していっているためです。
大量生産・大量消費の時代における「決められた仕事をこなしていく労働者(マニュアルワーカー)」ではなく、自ら知識を提供し、それを用いて新たなアイデアや価値を生み出す職種こそが「ナレッジワーカー」といえるでしょう。
そもそもナレッジとは?
英語の「ナレッジ(Knowledge)」という単語には「知識」や「知見」といった意味があり、一般的には書籍などから得られた知識のことを指します。一方、ビジネスシーンにおけるナレッジは「企業にとって有益な情報」や「付加価値のある知識や経験」を指し、企業の生産性向上に役立つ大きな要素となっています。
ナレッジとよく似た意味を持つものとして「ノウハウ」という言葉がありますが、ノウハウはナレッジをもとに実践を繰り返した経験から得られた情報のことを指します。ノウハウは「知恵」、ナレッジは「知識」と考えると違いがわかりやすいでしょう。
ナレッジについては下記の記事でも詳しく紹介しています。ぜひ併せてご覧ください。
ナレッジワーカーが求められた背景
ナレッジワーカーが求められた背景にはテクノロジーの進化があります。
IT化が進みAIやロボットが進化する将来においては、決められた作業をこなすマニュアルワーカーの仕事はロボットに取って代わられることが予想されます。その一方で、自ら情報や知識を集め、その情報を用いて独自の視点から新たなアイデアや価値を生み出すナレッジワーカーは大きな価値を持つ存在としてこれからも注目されるようになっていくでしょう。
テクノロジーが進化した現代の市場を生き残っていくためには、豊富な知識や経験を持って付加価値を提供できる能力が不可欠なのです。
マニュアルワーカーとの違いは?
マニュアルワーカーとは、決められたマニュアルに従って業務をこなす労働者のことを指します。マニュアルワーカーには、決められた作業を間違いなくこなす「正確性」と、より多くの作業を効率的にこなす「生産性」が求められます。
一方、ナレッジワーカーに求められるのは新たなアイデアや価値を創り出すための高度な情報収集能力や分析能力です。多くの情報を集め独自の視点で情報を分析することで、企業に新たな価値を提供することが求められます。
ホワイトカラーとの違い
ホワイトカラーは「白い襟」という意味であり、ワイシャツを着て仕事をするオフィス系、ビジネス系の職種のことを指します。似た言葉としてブルーカラーがありますが、こちらは「青い襟」を意味しており、作業着を着て仕事をする職種を指しています。
ホワイトカラーとナレッジワーカーは似た言葉のように捉えられがちですが、ホワイトカラーは職種、ナレッジワーカーは人を指しており、両者は同じ意味ではありません。ナレッジワーカーはホワイトカラー系の職場に多く、マニュアルワーカーはブルーワーカー系の職場に多い傾向にあります。
ナレッジワーカーが知っておくべき「ナレッジマネジメント」とは?
ナレッジマネジメントとは、社員個人や部署など会社の一部で蓄積した経験や知識、ノウハウを会社全体で共有し活用することで生産性や優位性を高める経営手法のことです。
昔のように社員が一つの企業で長く働くことが少なくなった今、多くの企業がナレッジマネジメントの考え方に注目し、属人化を解消する取り組みを行っています。少子高齢化に伴い懸念される労働人口の減少に対応するうえでも、知識の共有と平準化を図るナレッジマネジメントには大きな注目が集まっています。
ナレッジマネジメントについては下記の記事でも詳しく紹介しています。ぜひ併せてご覧ください。
ナレッジワーカーに求められるスキルとは?
ナレッジワーカーには、明確な資格があるわけではありませんが、ある一定の能力が求められます。
情報収集能力
ナレッジワーカーは、前提として豊富な知識が求められます。日々の生活の中でも常にアンテナを貼り、情報収集を怠ってはいけません。
そして、自ら得た情報をノートやツールに書き溜めていくことで、インプットの精度が上がり、言語化するスキルが磨かれます。
新たに得た情報をインプットし、更に情報のストックを続けていくことで、なにかとの掛け合わせで新しいアイデアが生まれたり、別の業務に応用できたりする可能性があります。
独自の視点
AIによって膨大な情報を一瞬で処理することができるようになる時代において、情報収集するだけでは事足りません。そこには独自の視点が必要です。
自社の事業にどのように活用できるのか、本質はどこにあるのかを自分の言葉で落とし込み、単なる情報からオリジナリティを生み出すことが求められます。
チームに発信する能力
インプットし、独自の言葉で置き換えた後は、それを社内に共有する必要があります。個人の中でナレッジを溜めておくだけでは、ナレッジワーカーとはいえません。それらを社内で活用できるような状態にして、初めてナレッジワーカーとなります。
社内にある課題を周囲の状況から察知し、「それはどうすればよくなるのか」とアイデアを捻り、社内に提案する。
それが他部署にも広まり、社内の考えや行動を変えるきっかけを与えるのがナレッジワーカーとして重要な役割です。
暗黙知を形式知へ変換し共有する能力
ナレッジマネジメントにおいては暗黙知を形式知に変えていく取り組みが重要となります。暗黙知とは、ベテラン社員などが持つ言語化されていない手順や情報のことです。
ナレッジワーカーには、今まで個人の中に埋もれていた暗黙知を社内の誰もが簡単に共有できる形に置き換える能力が求められます。
暗黙知については以下の記事でも詳しく紹介しています。ぜひ併せてご覧ください。
どのような職種があるか
では、ナレッジワーカーとは具体的にどんな職種で求められるのでしょうか。以下に例を挙げていきます。
- 弁護士、税理士、行政書士など「士業」と呼ばれる職業
- コンサルタント
- 金融アナリスト、金融ディーラー
- コピーライター
- 広告代理店の営業マン
- webマーケター
- webデザイナー
- ITエンジニア
上記はいわゆるホワイトカラーと呼ばれる職種です。市場の変化や顧客のニーズなど、日々情報が更新されていくホワイトカラーの職種において、ナレッジワーカーは必要不可欠な存在といえるでしょう。
ナレッジワーカーにおすすめのツール
前述したように、ナレッジワーカーになるには、インプットした情報を一箇所に蓄積し、チームに共有する必要があります。そのためには、社内でナレッジを共有するためのツールが必要となるでしょう。今回は、ナレッジの共有におすすめのQastというツールをご紹介します。
Qastとは
数あるナレッジ経営クラウドの中でも、最もシンプルで検索性に優れたツールといえるでしょう。
ナレッジの共有はメモとして投稿でき、それを階層式のフォルダごとに分類することができます。フォルダは部署や業務カテゴリごとに作成しておくことで、担当の人が自分に関連する情報を受動的に閲覧できるようになります。
複数キーワードによる検索ももちろん可能で、何か知りたいことがある場合には、すぐに該当する投稿にたどり着けるでしょう。
また、SlackやTeams、チャットワークなどのチャットツールとシームレスに連携できる点も特徴です。社内のコミュニケーションツールとしてチャットツールを活用している企業が増えていますが、その場合簡単な情報共有はチャットツールで行うことも多いでしょう。
しかし、チャットツールであとから情報を探すのは大変です。日常のコミュニケーションの中に重要なナレッジが埋もれてしまうためです。そこでQastとチャットツールを連携させておけば、チャットツール上の投稿でストックしておきたい情報に絵文字を押すだけで、それがQastに蓄積されていきます。
迅速さが求められるやり取りはSlackやTeams、チャットワークなどのチャットツールで、蓄積してあとで検索する可能性のある情報はQastに溜めていくことで、個人のナレッジをチームで活用することができるようになります。
まとめ
テクノロジーの進歩によって、社内で求められる役割やタスクが変化しています。 誰かが率先して行わなければ、ついつい後回しになってしまいがちなタスクですが、だからこそ社内で価値を発揮できるのが「ナレッジワーカー」という職種です。
今回ご紹介した求められるスキルを参考に、今後更に重要性を増すであろうナレッジワーカーを目指してみてはいかがでしょうか?
Qastラボ編集部では、これからの働き方において必要な"未来のナレッジマネジメント"について研究しています。 ナレッジ共有、業務効率化、経営戦略、コミュニケーションツールなどテーマ別に役立つ記事をご紹介します。