失敗しないマニュアルの作り方とは?作成の流れやポイント・コツを解説
業務においてマニュアルの作成は非常に重要です。業務の棚卸しや生産性向上、新人教育の効率化など、マニュアル作成によって得られるメリットは多々あります。
しかし、マニュアルは存在しているものの内容が分かりにくく形骸化しているという状況は多くの現場で発生しているのではないでしょうか。
今回は、マニュアル作成の目的を整理するとともに、マニュアル作成のコツや流れをご紹介します。この記事を参考に、現場で活用されやすいマニュアル作りに取り組んでみてください。
マニュアルを作成する目的とは
そもそも、マニュアルを作成する目的とは何でしょうか。
マニュアル作成によって得られる効果には、主に業務の標準化、作業効率の向上、業務品質の向上の3つが挙げられます。それぞれ詳しく見ていきましょう。
業務の標準化
業務ごとにマニュアルを整備して業務を標準化し、そのマニュアル通りに業務が完了できれば、経験の浅いスタッフでもスムーズに業務をこなせるようになります。
業務を標準化できれば、繁忙期に合わせて人員を調整するなど効率的にリソースを配分できるでしょう。
作業効率の向上
マニュアルがあれば業務の対応内容が明確になるため、対応に迷わず効率的に業務を進められるようになります。
また、マニュアルを作成する過程で無駄なプロセスがないかをチェックできるため、作業効率の向上にも繋がるでしょう。
業務品質の向上
マニュアル通りに業務を行えば、誰が対応したとしても一定の品質を担保できます。
担当者のスキルや経験によって品質がバラバラになることを防止でき、安定して業務を進められるようになるでしょう。
マニュアル作成のメリット
マニュアルの作成によって得られるメリットを3つご紹介します。
属人化の防止
業務の属人化が発生していると、担当者の休職・離職によって業務が滞るリスクが生まれます。マニュアルがあれば、特定の担当者に依存せず業務が遂行できるようになるため、属人化の防止に繋がります。
属人化については以下の記事でより詳しく解説しています。
教育コストの削減
業務を引き継ぐ際、マニュアルがあればスムーズに引き継ぎを行えます。新入社員や異動者に対する教育コストを削減でき、短期間で業務に対応できる人材を育成できるでしょう。
業務品質の均一化
担当者のスキルや経験によって業務品質に差がでると、「前の担当者はここまでしてくれたのに今回の担当者は全然対応してくれない」などのような思わぬクレームに繋がるリスクがあります。
マニュアルを作成し、マニュアルに準じた対応をすれば、業務品質のブレによるトラブルを防止できるでしょう。
マニュアルを作成する際のコツ
続いて、効果的なマニュアルを作成するためのコツを解説します。
読み手を意識する
マニュアルを作成する際は、読み手を意識しましょう。読み手が理解できない内容では、マニュアルを作成する意味がありません。自分が理解できるかどうかではなく、客観的に理解できる内容になっているかを意識することがポイントです。
業務全体のフローが分かるようにする
マニュアルで業務全体のフローが分かるようになっていれば、業務の本来の目的が分かりやすくなり、業務への理解が深まります。業務への理解が深まればスムーズな対応ができるようになるほか、業務改善に繋がるアイデアも集まりやすくなるでしょう。
専門用語の使用を極力避ける
専門用語を理解できるかは担当者の知識によって差があるため、専門用語を極力避けてマニュアルを作成しましょう。
専門用語を多用すると、マニュアルを読み解くのに時間がかかったり、人によって解釈の差が発生したりして、トラブルの元となります。
判断分岐が発生する場合は基準を明確にする
判断分岐が発生する場合には、判断基準を明確にし、誰が対応しても同じになるようにしましょう。
判断分岐があいまいだと、担当者によって対応が変わってしまい、ミスやクレームが発生しやすくなります。
重要な部分を強調し、目につきやすいようにする
マニュアルが視覚的に把握しやすいかも重要なポイントです。マニュアル全体に同じような文字の色やサイズだと、業務において重要な部分を読み飛ばしてしまうトラブルに繋がります。
重要な部分は文字色を変える、文字サイズを大きくする、ハイライトするなどの工夫をしましょう。
図や表を使ってイメージしやすいものにする
重要な部分の文字の強調に加えて図や表を用いると、視覚的に業務内容をイメージしやすくなり、早期習熟やトラブル防止に繋がります。図や表を積極的に使い、分かりやすいマニュアル作成を目指しましょう。
イレギュラー発生時の対応方法も整理しておく
業務においてイレギュラーの発生はつきものです。正常なパターンだけを考えてマニュアルを作成すると、イレギュラーが発生した際に対応が遅くなります。
あらかじめ想定されるイレギュラーを洗い出し、それぞれの対応方法もマニュアルに記載しましょう。
作ってそのままではなく都度更新する
業務は日々変化していくものであり、マニュアルにも変更や改善が必要になることがあるでしょう。最新情報が反映されていないとマニュアルの利用が形骸化する原因となるため、一度作って終わりではなく、都度更新を行うようにしましょう。
マニュアル作成をする前の準備
マニュアル作成はどのような流れで行えばよいのかを解説します。まずはマニュアルを作成する前の準備から見ていきましょう。
利用者・利用目的を決める
マニュアルを作成する前に、まずは「誰に向けたマニュアルなのか」と「何をするために作成するマニュアルなのか」を明確にする必要があります。
この部分がブレていると、5W1Hが分かりにくくなったり、利用者が分からない用語や表現を使用してしまったりといった問題が発生します。
事前にマニュアルの利用者・利用目的を明確にし、適切かどうかを確認しましょう。
記載する情報の優先度ごとに整理する
業務内容や既存の作業手順書をまとめ、マニュアルでどこまで網羅するのか、優先度を決めて整理しましょう。
記載する情報の優先度づけができていないと、重要な部分の強調ができず、マニュアルの読み落としによる作業漏れなどが発生しやすくなります。
完成までのスケジュールを立てる
マニュアルの作成は重要ですが、マニュアルがなくても現場は回るため、業務が忙しいからと作成が後回しになっているケースは多々あります。
マニュアルを作成する際は、完成までのスケジュールを明確に設定し、マニュアル作成が後回しにならないようにしましょう。
テンプレートの用意やツールの導入を検討する
業務ごとにマニュアルのフォーマットが異なっていると、更新や管理がしにくくなります。同じ現場におけるマニュアルのフォーマットはできる限り統一するのがおすすめです。フォーマットを統一する際には、テンプレートやツールの導入を検討しましょう。
マニュアル作成の流れ
マニュアル作成の事前準備が完了したら、実際にマニュアル作成に取り組んでいきましょう。
目次と構成を決めて骨子を作成する
目次で構成が分かりやすく記載されていれば、作業者が作業の全体像を把握しやすくなり、業務の効率化に繋がります。
目次と構成を作成する際は作業を時系列で記載し、見出し階層を作るようにしましょう。
デザインや文体、文書内でのルールを決めていく
文字の大きさやフォント、見出しの色、要素の配置などがバラバラだと、視認性が悪くなり、作業の抜け漏れが発生しやすくなります。マニュアルのデザインを決めておき、視認性のよいマニュアル作りを心がけましょう。
事前にデザインを決めておけば、マニュアル作成者がスムーズに作業できるメリットもあります。
情報を落とし込んでいく
目次や構成、デザインが決まったら、マニュアルに記載する情報を落とし込んでいきます。実際に内容を記載する際は、画像や表などを活用し、視覚的に分かりやすく情報を伝えることを意識しましょう。
また、人は文書などを読む際、左上から右下に視線を移しやすいという特徴があります。レイアウトは左上から右上、左下、右下の順で配置する「Z」型を意識するとよいでしょう。
マニュアルを実際に運用してみる
いかに分かりやすく情報をマニュアルに落とし込んでも、実際に運用してみると使いにくい点が出てくることは珍しくありません。マニュアル作成に時間をかけすぎず、実際に現場で利用してもらい、改善点を都度アップデートしていくようにしましょう。
マニュアル運用の効率化にはツールの活用がカギ
マニュアル作成をする際は、マニュアル作成ツールの導入がおすすめです。マニュアル作成ツールには豊富なテンプレートやデザインがあり、誰でも簡単に作成できる機能が備わっています。ツールによっては文書だけでなく動画でのマニュアル作成も可能で、より視覚的に分かりやすいマニュアルを作成できます。
また、作成したマニュアルに対して情報共有やナレッジの蓄積などコミュニケーションが取れるツールを使うようにするとより効果的でしょう。
マニュアル作成ツールのおすすめは以下で紹介していますので、併せてぜひ参考にしてください。
まとめ
マニュアル作成を行う際は、5W1Hの明確化、業務の全体像の明確化、誰にでも分かる用語・表現、判断分岐の明確化、重要部分の強調、イレギュラー対応の整理、改善点の都度更新を意識した作成を心がけることが大切です。
しかし、日々の業務をこなしながらマニュアルを作成することは難しく、つい後回しになってしまうことも多いのではないでしょうか。もしマニュアル作成を効率化したい場合は、マニュアル作成ツールの導入を検討してみましょう。
誰もがスムーズに理解できるマニュアルを作成し、業務効率化や生産性向上、業務品質向上、教育・引継ぎコスト削減などの実現を目指してください。