アジェンダとは?書き方のポイントやレジュメとの違いについて解説
アジェンダは会議のスムーズな進行や質の向上に役立つものですが、有効に機能させるためには、適切な書き方と注意点を知っておく必要があります。
この記事では、アジェンダの書き方やそもそもの意味、関連用語との違い、必要性やメリット、記載すべき基本項目と注意点、便利なテンプレートなどをご紹介します。
目次
アジェンダとは
アジェンダとは、会議を円滑に進める目的で作成する資料・進行表のことです。開催日時や目的、各議題の予定所要時間などが記載されており、参加者が会議の方向性を前もって把握するために活用されます。
アジェンダの意味
英単語の「agenda(アジェンダ)」は、議題、スケジュール、予定表、議事日程などと訳されます。転じてビジネスシーンでは、会議の予定内容を簡潔にまとめた事前資料のことを指しています。
一方、政治に関する分野では、アジェンダを「(特に会議の結果として定められた)今後の目標・行動指針」のような意味の言葉として使用することもあります。
たとえば、2015年の国連サミットで採択された、2030年までのSDGsに関する国際社会の共通目標は「持続可能な開発のための2030アジェンダ」と命名されています。
アジェンダの使用場面
一般的なビジネスシーンにおけるアジェンダは、印刷した紙の資料として事前に配付されたり、PDFファイルなどで事前に送付されたりする形が一般的です。
「○○日の会議のアジェンダは用意していますか?」「メールにアジェンダを添付しておりますのでご確認ください」といったように使用されます。
議事録やレジュメ・サマリーとの違い
アジェンダには、議事録、レジュメ、サマリーなど、混同されやすい用語がいくつかありますが、それぞれ厳密な意味は異なります。
議事録の意味
議事録とは、会議の経過や結果(発言者、発言内容、決定事項など)を記録した書類のことです。非参加者への情報共有をスムーズにしたり、「言った」「言わない」の水掛け論を排除したりする目的で作成されます。
アジェンダは会議前の情報共有を目的に作成されるのに対し、議事録は会議後に内容をまとめる点に違いがあります。
レジュメの意味
レジュメとは、ある事柄について要約した資料のことです。フランス語の「résumé」からきており、ビジネスシーンではこれから行う会議やプレゼンテーションの発言内容を簡潔にまとめた書類を主に指します。
アジェンダとレジュメは似ていますが、書類が持つ意図に違いがあります。アジェンダは参加者で議論する内容を伝えるもの、すなわち話し合いのための書類です。
一方、レジュメは発言内容の要点をまとめたもので、参加者に対してより一方的に情報を伝達することを目的としています。
サマリーの意味
サマリーもレジュメと同じく、ある事柄についての要約資料を指しますが、より簡潔な報告が必要となるシーンで用意されます。会議を例にとると、レジュメが開催前(あるいは最中)に配布されるのに対して、サマリーは開催後に議事録を要約する形で作成されます。
サマリーは、会議や調査、施策の実施結果など、ある事柄の簡潔な報告書と捉えると理解しやすいかもしれません。アジェンダとは作成タイミングも意図も異なります。
ここまで解説したアジェンダ、議事録、レジュメ、サマリーの違いをあらためて表にまとめました。
用語 | 概要 |
---|---|
アジェンダ | 会議を円滑に進める目的で作成する資料・進行表。参加予定者へ議題などを事前に伝えるべく、会議の前に作成する |
議事録 | 会議の経過と結果(発言者、発言内容、決定事項など)をまとめた書類。会議のあとに作成する |
レジュメ | ある事柄について要約した資料。会議前に作成するが、話し合いを目的とするアジェンダと違い、レジュメは一方的な情報伝達を主とする |
サマリー | ある事柄について要約した資料。レジュメよりも簡潔な結果報告のニュアンスが強く、会議のあとに作成する |
アジェンダの必要性やメリット
続いて、なぜアジェンダが重要視されているのか、その必要性とメリットをご紹介します。
目的が明確になる
会議中、「この時間に何の意味があるのか」とストレスを感じた経験はありませんか?
多くの場合、会議が無意味だと感じる原因は、開催の目的が不明瞭なことにあります。アジェンダの作成により会議の目的を明確化できれば、参加者全員が共通意識を持ち、会議を有意義な時間にしやすくなります。
事前に情報を共有することができる
一般的にアジェンダには、会議全体の流れが把握できるよう、議題とその議論の所要時間までが記載されます。当日のタイムスケジュールが共通で認識できるようになるため、堂々巡りの間延びした議論を減らし、会議を発展性のあるものにしやすくなります。
会議の効率化が図れる
情報の事前共有により参加者が自分の意見を用意しておきやすくなるのもアジェンダのメリットです。内容の濃い意見を交わしやすくなり、会議の効率化が図れるのはもちろん、「言い忘れていたことがあった」などともう一度会議を開くといった二度手間も防げます。
アジェンダに必要な基本項目
ここでは、アジェンダに記載すべき7つの基本項目をご紹介します。
会議の名前
アジェンダには、会議の名前を簡潔に、かつ何の会議なのかが一目で理解できるように記載しましょう。たとえば「第○回営業戦略会議」「2024年上期 中途人材採用促進会議」のような名前が求められます。
ポイントとして、決定した会議名は一貫させることが大切です。前回は「営業戦略会議」、今回は「営業作戦会議」などと名称を変えては混乱のもととなります。
日時・場所
会議の開催日時は開始と終了の時間まで明確に記載し、場所も誤解を生まないようにフロアや正式なルーム名まで記載しましょう。
特に、社外の方を会議に招待する際には、建物の正式名称やアクセス(最寄り駅や徒歩での到着時間)までアジェンダに記載するのが理想です。
参加者
会議の参加者名を一覧として記載しておくと、当日にどのような議論が交わされるのか予想しやすくなります。社外の方を招く場合、あるいは参加人数が多い会議の場合は、名前と共に簡単な所属・役職も併記しておきましょう。
目的
会議の目的は、アジェンダのクオリティを左右する記載項目です。何を目指してこの会議を開催するのか、必要十分かつ端的に伝えましょう。
たとえば中途人材採用に向けた会議であれば、「中途人材の採用について意見を交わす」だけでは不十分です。「中途人材の採用基準・予定人数を決定する」などと明確なゴールを定める必要があります。
議題の流れ・時間配分
目的を記載した後は、そのために必要な議題を流れ・時間配分と共に明記します。中途採用の例では以下のようなアジェンダが考えられます。
- 冒頭挨拶、本会議の目的の確認(5分)
- 議題1:中途人材採用の懸念点の検討(15分、質疑応答5分)
- 議題2:採用基準の検討(20分、質疑応答5分)
- 議題3:採用人数の検討(20分、質疑応答5分)
- 議題4:採用開始時期・出稿媒体の検討(25分、質疑応答5分)
- まとめ・質疑応答(15分)
資料
アジェンダには、当日に会議で利用する配布資料の一覧(ダウンロードで取得できる場合はそのURL付き)も記載しておくべきです。資料の受け渡し漏れを防ぎやすくなるほか、参加者による事前の確認も期待できます。
また、事前の確認が必須である資料には「○○資料(出席前にp7をご一読いただけますと幸いです)」のように当該箇所を伝えるのも一つの方法です。
備考
その他、備考には特記事項やお問い合わせ先を明記します。少なくとも「本会議に関する疑問・不明点は、以下の○○までお問い合わせください」と担当者名や連絡先は記載しておきましょう。
アジェンダの書き方や注意すべきポイント
続いて、優れたアジェンダに仕上げるための書き方と注意点をご紹介します。
会議の目的やゴールを明確にしておく
まず大切なのは、会議の目的やゴールを明確に記載しておくことです。アジェンダは会議の円滑な進行を助けるアイテムですが、記載内容が曖昧では機能しません。
アジェンダの作成時には、参加者全員が「何のための会議なのか」を理解できるよう確認しておきましょう。
余裕を持った時間配分を考える
アジェンダで会議の効率化を図る際は、各議題にかける時間を削減し過ぎないように注意が必要です。
議題ごとに十分な所要時間を想定していなければ、タイムスケジュール全体が机上の空論に終わってしまいます。
また、各議題には質疑応答の時間を設け、参加者間の認識のズレを都度修正できるようにしておきましょう。
会議の前に情報の共有を行う
アジェンダは会議の前に余裕をもって共有し、参加者に事前確認をしてもらうことで意味を持ちます。
各々が意見の検討や必要な資料の整理に費やす時間を考えると、アジェンダは少なくとも会議の1~2日前まで、可能であれば1週間程度前に共有しておくとよいでしょう。
資料内容に変更があった場合は共有する
万が一、アジェンダや配付資料の内容に変更があった際には、速やかに参加者全員へ共有し直すことが求められます。
アジェンダは会議に向けた準備を進めてもらうための書類です。参加者間で内容に理解の違いがあるとトラブルに繋がってしまいます。
テンプレートを用意しておく
アジェンダは会議を開催するたびに繰り返し必要となる書類です。必ず記載すべき基本項目を記載したテンプレートを用意し、それを転用すれば、さらなる業務の効率化が進みます。次の項目で、汎用的に利用しやすいアジェンダの基本テンプレートをご紹介します。
アジェンダの基本テンプレート
前述したアジェンダに必要となる7項目を含む基本テンプレートは以下の通りです。
<2024年上期 中途人材採用促進会議>
【開催日時】2024年○月○日 14:00~16:00
【開催場所】○○ビル4F 第2会議室
【参加者】
人事部:中途人材採用チーム(鈴木部長、柴田課長、中村、山田、田中)
(司会進行:山田、記録:田中)
【目的】
当面における中途人材の採用基準・予定人数を決定する。
【議題の流れ・時間配分】
冒頭挨拶・本会議の目的の確認(5分)
議題1:中途人材採用の懸念点の検討(15分、質疑応答5分)
議題2:採用基準の検討(20分、質疑応答5分)
議題3:採用人数の検討(20分、質疑応答5分)
議題4:採用開始時期・求人出稿媒体の検討(25分、質疑応答5分)
まとめ・質疑応答(15分)
【資料】
・前年分 中途人材採用実績報告書(ダウンロード用URL)
・人員配置表(ダウンロード用URL)
【備考】
本会議に関するお問い合わせは、人事部の山田(メールアドレス・社内チャットID)までお願いいたします。
アジェンダの作成と共有はQastの活用がおすすめ
アジェンダをより効率的に、高品質に作成しやすくなるツールとして「Qast」の活用もご検討ください。
ナレッジプラットフォームのQastは、シンプルな画面操作で利用しやすい、社内の情報共有を円滑化するためのITツールです。分からないことを誰でも簡単に質問し合える「社内版知恵袋」や、業務の知識を蓄積していける「社内版Wikipedia」のような機能を搭載しており、コミュニケーションの活発化を実現します。
アジェンダの作成に際しては、任意の項目を保存できるテンプレート機能が活躍します。Qastで熟練の担当者がテンプレートを作成すれば、以降はその項目を埋めていくだけで誰でも質の高いアジェンダが作成できるようになります。
まとめ
アジェンダは、会議の円滑化を目的に参加者へ事前共有する資料であり、目的・議題・タイムスケジュールなどの記載が求められます。コロナ禍を経てリモートでの会議も当たり前になった今、アジェンダの存在は会議をより有益なものとするために欠かせないものと言っても過言ではないでしょう。
この記事でご紹介したアジェンダの書き方やQastのテンプレート機能を活用して、日々の会議をより実りある時間に変えていきましょう。