ナレッジ経営とは?基礎知識や押さえたい用語を紹介

コロナ禍における経営改善手法の一つとして「ナレッジ経営」が注目されています。しかし、その具体的な定義や手法を正確に理解できている企業は少数派で、思うように導入が進んでいないケースも多いようです。

今回は、ナレッジ経営の定義や、その導入・実践で大切となるポイント、知っておくべき用語などをご紹介します。

ナレッジ経営とは

まずは、ナレッジ経営とは何か、どのような目的で生まれたのかについて解説します。

ナレッジ経営の定義

ナレッジ経営とは、「従業員それぞれが持っている知識やノウハウを言語化し、企業のナレッジとして一ヵ所に集約・活用していく経営手法」を意味します。

従来は、特定の従業員が業務に関する深い知識やノウハウを所有していても、単に「仕事のできる人物」という扱いを受けるのみでした。ナレッジ経営はここから一歩踏み込み、その従業員が持つ知識やノウハウを大切な経営資源として捉え、社内で共有することで、従業員全員が「仕事のできる人物」になるよう目指す試みです。

ナレッジ経営が生まれた背景と目的

ナレッジ経営の目的は、企業全体の生産性の向上にあります。具体的には、ナレッジの共有によって得られる以下の3つの効果を通じて、業務効率の改善を図ります。

    • 詳細なマニュアルを作成でき、誰が作業をしても一定のクオリティが保たれる

→「〇〇さんがいないと仕事が進まない」といった非効率な状態を避けられる

    • 過去の事例も含めて情報を一ヵ所に集約できる

→「これはどうすればいいのだったか」と情報を探したり誰かに尋ねたりする時間が削減される

    • ナレッジを共有するツール上に従業員のコミュニケーションが集約される

→疎外感が生まれにくく、従業員同士の活発な交流や一体感の構築を期待できる

ナレッジ経営はもともと、終身雇用制度の形骸化とテレワークに代表される働き方の多様化を背景として誕生しました。

従業員の退職により知識やノウハウが社内から失われたり、教育係と新入社員が同じ時間・同じ場所で働けなかったりといった「現代の労働環境ならではの悩み」を解決するための経営手法です。

これからの時代、ナレッジ経営の重要性はますます高まると予想されます。他社に負けないビジネス上の競争力を保つためにも、自社への速やかな導入を検討しましょう。

ナレッジ経営の実現に必要なこと

ナレッジ経営について解説した図

自社にナレッジ経営を取り入れるためには、以下の3つのポイントを押さえることが重要となります。

ナレッジが流通する場づくり

最初に検討すべきは、ナレッジが流通するための場づくり、すなわち「ナレッジの共有に使うツールの選定」です。

ナレッジ経営では、最初にナレッジを保管する場所を定め、そこに各従業員が自分の持つナレッジを保管したり、あるいは保管されているナレッジを取り出したりして活用します。このナレッジの保管場所として必要なのが、適切なITツールです。

最近ではさまざまなナレッジマネジメント用のツールが登場していますが、大切なのはシンプルで誰でも扱いやすいものを選ぶことです。ITツールに不慣れな社員でも直観的に使いこなせるツールでなければ、社内にうまく浸透させることは難しいでしょう。

従業員が共有に参加する動機づけや制度づくり

ツールを導入するだけでなく、従業員がナレッジの共有に参加したくなる動機を作ることも必要です。

従業員にとって、自分の持つナレッジは苦労して培ってきた大切なものです。「共有することで自分の価値が下がってしまうのでは……」という不安もあり、なかなか積極的に周りへ伝える気持ちになれない場合もあります。

人事評価の一つとしてナレッジの共有に関する指標を取り入れるなど、ナレッジを共有した従業員が十分に評価される社内制度を作りましょう。

経営者やナレッジリーダーによる推進

ツールと動機に加えて必要となるのが、従業員の見本となりナレッジの共有を推進する人材です。

適切なツールと十分な動機があったとしても、単にナレッジを共有するように伝えるだけでは、具体的にどうして良いのかわからない従業員もいるはずです。各チームに一人ずつ責任者(ナレッジリーダー)を選定し、ツールの使い方を実践して見せるなど、身近なお手本を用意しましょう。

また、ナレッジリーダーには経営層からナレッジ共有の意義を十分に説いておくなど、社内全体が一丸となってナレッジ経営に取り組むための意識作りをすることも重要です。

CKOとは?組織内での役割や重要性について
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組織内へナレッジ経営をスムーズに浸透させるためには、責任者かつリーダーとなるCKOを明確にすることが欠かせません。今回は、CKOとは何か、その役割や重要性、関連役職との違いなどをご紹介します。

ナレッジ経営をする際に押さえたい用語

最後に、ナレッジ経営の実践に向けて覚えておきたい用語をご紹介します。特に大切となるのは以下の3つです。

暗黙知・形式知

ナレッジ経営の根幹となるのが「暗黙知」と「形式知」です。

暗黙知とは、従業員それぞれが持っている知識やノウハウなど、言語化されていない感覚的な情報を指します。個人に依存してしまいやすい、いわゆる「属人的」な情報です。

一方の形式知とは、数字や図を使ったマニュアルなど、明確に言語化された情報のことです。社内のナレッジとして保管しやすく、誰とでも容易く共有できる性質を持ちます。

ナレッジ経営では暗黙知を形式知に変換していくことが求められています。定義や性質の違いをしっかりと理解しておきましょう。

暗黙知と形式知については、それぞれ以下の記事でより詳しく解説しております。

ナレッジマネジメントにおける暗黙知とは?その意味や形式知化するための方法
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企業にとって大切な資産となりうるナレッジには「暗黙知」と「形式知」の2種類があります。人材の流動化が激化する現代では、ナレッジマネジメントに取り組もうとしている企業が多いです。しかし、ナレッジマネジメントに馴染みがないと暗黙知や形式知といった言葉の意味がわからず、取り組みづらいと感じている人も多いでしょう。
ナレッジマネジメントにおける形式知とは?知識を見える化して組織力を高める方法
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近年、導入する企業が非常に増えてきているナレッジマネジメントですが、効果的に活用するための「形式知」について、深く理解できている企業は実は多くないようです。

SECIモデル

暗黙知を形式知へと変えていくための流れを具体的に言語化しているのが「SECI(セキ)モデル」です。

SECIモデルでは、以下の4つのプロセスを何度も繰り返し、社内の暗黙知を形式知へと変換していきます。

  • 共同化(Socialization)
  • 表出化(Externalization)
  • 連結化(Combination)
  • 内面化(Internalization)

詳細は以下の記事で解説しております。

SECIモデルとは?注目のナレッジマネジメント手法を具体例交えながら徹底解説!
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属人化したナレッジを組織内で共有し、知識財産として蓄えるナレッジマネジメント。現在注目を集めている経営手法ですが、仕組みをしっかり理解しておかないと、取り組んでも効果を得ることが難しいでしょう。

トランザクティブ・メモリー

トランザクティブ・メモリーは、ナレッジ自体ではなくナレッジを持っている人が誰なのかを共有すべきだとする考え方です。インターネット百科事典「コトバンク」によれば、以下のように定義されています。

トランザクティブ・メモリー

「トランザクティブ・メモリー」(Transactive memory)とは、1980年代半ばに米ハーバード大学の社会心理学者、ダニエル・ウェグナ―が唱えた組織学習に関する概念で、日本語では「交換記憶」あるいは「対人交流的記憶」「越境する記憶」などと訳されます。組織学習の一つの側面である組織の記憶力(経験によって学習した情報の蓄積)において重要なのは、組織全体が「同じ知識を記憶すること」ではなく、「組織内で『誰が何を知っているか』を把握すること」である、という考え方です。英語でいえば、組織の各メンバーが「What」よりも「Who knows What」を重視し、共有している状態を指します。

引用元: トランザクティブ・メモリーとは - コトバンク

全員での情報共有が難しい大規模組織や、プログラミングなどのようなナレッジを活用するための前提となる専門知識が必要な分野で取り入れられています。

一見するとナレッジ経営とは反対に位置するようにも思える考え方ですが、実際にはナレッジ経営と共有できる概念です。暗黙知はできるだけ形式知として共有しつつも、専門知識の必要なナレッジは「知っている人物が誰か」という情報を共有するなど、適切に併用することで業務効率を改善できます。

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また、スコアによりQast上で活躍している従業員が一目でわかる機能や、わからないことを匿名で気軽に質問したり回答したりできる機能も搭載。従業員全員が率先してナレッジを共有したくなる風土づくりを力強くサポートします。

さらに、誰がどのような情報に詳しいのかが可視化されるため、トランザクティブ・メモリーの共有に役立つのも魅力の一つ。まずはぜひ一度、10名まで利用できる無料デモをお試しください。

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まとめ

ナレッジ経営は現代の企業が抱える問題を解決するために生まれた、新時代の経営手法です。ナレッジを積み重ねていく特性上、効果を発揮するのには相応の時間がかかるため、各企業にはできるだけ速やかな導入が求められています。

この記事でご紹介したナレッジ経営の導入に必要なポイントを踏まえつつ、まずはツールの導入から検討してみてはいかがでしょうか。

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