ナレッジマネジメントツールの導入で対策したい課題と注意点
属人化した知識や技術といったナレッジを企業全体で共有・活用していく手法のナレッジマネジメント。働き方改革や人材の流動化にともない、ナレッジマネジメントへ取り組む企業が増えています。
ナレッジマネジメントを効率よく進めるには「ナレッジマネジメントツール」を導入するのが一般的です。しかし、ナレッジマネジメントツールは導入から定着までの道のりで失敗しやすく、ナレッジマネジメントが成り立たないなんてことも珍しくありません。
今回はナレッジマネジメントツールの導入における課題や注意点について解説します。
ナレッジマネジメントを成功させるための秘訣や、ナレッジマネジメントに適したツールもあわせてご紹介しますので「ナレッジマネジメントツールの導入を検討している」「ツール導入したけれど上手く運用できない」といった悩みを抱えている担当者はぜひ参考にしてみてください。
目次
ナレッジマネジメントツールとは
ナレッジマネジメントツールとは、ナレッジマネジメントをスムーズに導入・管理するためのツールです。
ナレッジマネジメントにおける「共同化(Socialization)」「表出化(Externalization)」「結合化(Combination)」「内面化(Internalization)」からなるSECIモデルを効率よくサイクルさせるための機能が備わっています。
主な機能としては、社員間での連絡を取り合うチャット機能や共有事項を伝達する掲示板機能などがあります。
ナレッジマネジメントツール導入における課題
ナレッジマネジメントへ取り組むにあたって最初に行うステップがツールの導入です。すでに企業組織で形成しているシステムへ新たにナレッジマネジメントツールを組み込むため、導入するためにはいくつかの課題が挙げられます。
そのなかでも、とくに重要と考えられる2つの課題を解説します。
情報共有の意識が育たない
ナレッジマネジメントツールを導入する以前の課題でもありますが、社員に情報共有の意識が育っていないとツール導入は意味をなしません。
ナレッジにおける情報共有は、個人が働いているなかで苦労して身につけた知識や技術といったノウハウを包み隠さず組織へ提供することと同義です。
社員によっては「せっかく身についた自分だけのノウハウを公開したくない」「情報共有することによってほかの誰かが得をして自分は損をするのではないか」といった不安を抱えているひとも多いでしょう。
この「情報共有の意識」の低さこそが属人化するナレッジの原因であり、ナレッジマネジメントツールの導入、ひいてはナレッジマネジメント全体の課題といっても過言ではありません。しかし、社員が持つ知識資産ともいえるナレッジを問答無用に共有させようとしてもスムーズにいかないのは当然です。
情報共有をしてほしいのであれば、まずは組織サイドが工夫を凝らして社員の情報共有へ対する意識を育てることから始める必要があります。
情報を探しづらい
組織として成り立っている企業では、すでにあらゆる情報共有が行われています。システム化している業務のなかにおいて散見されるナレッジを、いかにナレッジマネジメントツールへ集約するかが導入する際のポイントです。
顧客情報のファイルや売り上げ管理システムなど、情報ソースの形式が異なる場合も多いため、既存のナレッジを探しづらいことが課題として挙げられます。
また、ただ集めるだけではナレッジマネジメントツールに対応していないケースもあります。そのため、探し出した情報はナレッジマネジメントツールに合わせた形式へ変換する、活用できない情報は思いきって切り捨てるなどの取捨選択が必要です。
ナレッジマネジメントツール導入時の注意点
ナレッジマネジメントツールの導入における課題をクリアし、組織全体で定着させるためには、注意しておきたいポイントがあります。
ここからはナレッジマネジメントツールを導入する際の注意点について解説していきます。
使用する目的を明確にする
ナレッジマネジメントは社員の情報共有に対する意識が育ってこそ成功するものです。ただツールを導入しても形骸化するだけで、ナレッジマネジメントの役には立たないのが関の山です。
情報共有の意識を育てるには、ナレッジマネジメントツールを使用する目的について明確化し、社員へ共有することが重要です。
どのような目的でナレッジマネジメントに取り組むのか、ナレッジマネジメントツールがどのように役立つのかをしっかりと共有しながら、社員の情報共有に対する意識を育てていきましょう。
目的が定まっていないと道中で迷ってしまいます。なかにはナレッジマネジメントツールを導入することが目的となっている企業もあるかもしれません。しかし、それではナレッジマネジメントツールは形だけのシステムになってしまいます。
ツールの導入・定着を進めたい気持ちは一度置いておき、まずは「ナレッジマネジメントツールを導入する目的はなにか」というところから考えてみるといいでしょう。
効果が見えにくい
ナレッジマネジメントツールは情報共有に便利なツールですが、ナレッジ共有の効果を実感しづらいところが注意点です。
ナレッジ共有した社員の貢献度やナレッジの価値を計る指標がないため、情報共有に対するモチベーションにも大きく影響してしまいます。営業成績のように明確な数値があればベストですが、ナレッジマネジメントツールでは情報共有の成績が出ないのが一般的です。
せっかく情報共有してくれる社員がいても、恩恵を受けられないのであれば次第に情報共有ツールの活用はされなくなることが予想できます。そうならないためにも、情報共有の効果を測定できる仕組みづくりが必要です。
操作性
ナレッジマネジメントツールにはさまざまな種類があります。導入より前の段階ではありますが、ツール選定時に注意しておきたい点が「操作性」です。
どれだけ多機能なナレッジマネジメントツールでも、操作性が悪く使いづらいと導入しても使われることなく形骸化してしまいます。社員全員が機械やシステムに詳しいわけではないことを念頭に置いた上で、操作性が良いナレッジマネジメントツールを選ぶようにしましょう。
導入時の注意点としては、組織全体の規模で導入しないことです。まずは一部の部署や担当などの小人数間でナレッジマネジメントツールを導入し、操作性をしっかりと確認してから徐々に社内全体へ導入していくとよいでしょう。
ツール導入を成功させるためのポイント
ナレッジマネジメントツールの導入を成功させるためのポイントは、ツールの利用を促進する仕組みづくりです。
ナレッジマネジメントは、社員の情報共有に対する意識があってこそ成り立つものなので、無計画にツールを導入しても思い通りに活用することは難しいといえます。
ナレッジマネジメントツールを導入する目的の明確化、情報共有への意識教育、ツールの操作性や効果の測定方法を確立するなどやるべきポイントはたくさんあります。
たかがツールと侮らず、1つのプロジェクトを進めるようにツールの導入を進めていきましょう。
情報共有しやすいツール「Qast」
QastはメモとQ&A機能で情報を共有・蓄積することができる、ナレッジ経営クラウドです。
タイトルと本文を入力するだけのシンプルな操作性で、機械に詳しくない社員でも使いやすく設計されています。
作成したメモやQ&Aはストックができ、検索からいつでも好きなときに欲しい情報を呼び出すことができます。WordやPDFファイルを添付すると文字列を認識して検索でヒットするため、形式の異なるデータでも共有する情報を集めやすいのが特徴です。
また、情報共有のスコアを可視化し、ナレッジマネジメントへの貢献度をひと目で把握することも可能です。スコアを可視化することで、社員の情報共有に対する意識やモチベーションアップにつながります。
まとめ
ナレッジマネジメントツールの導入をスムーズに進めて定着させるためには、ツールを利用する目的や運用におけるルールを定めることが大切です。
ただツールを導入するだけでは、社員のナレッジマネジメントへ対する意識が低いままとなり、活発な情報共有が行われません。
形骸化してしまえばナレッジマネジメント本来の目的を達成することが難しいため、ツール導入前から情報共有を浸透させるための仕組みづくりを行い、その手段としてツールを導入することを意識しましょう。
ナレッジマネジメントツールの導入・運用が上手くいけば業務効率化や生産性の向上など、企業はもちろん社員自身の成長も促せます。
今回の記事で挙げた課題や注意点を想定しながら、ナレッジマネジメントツールを導入してみてはいかがでしょうか。
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