導入事例

Case

Qastの活用でDX促進を可能にする土台作りもできました

株式会社東海理化

業種
自動車部品メーカー
利用人数
3,200人
ご担当者
山口裕章 様(DX推進室 設計改革グループ)
top_img

ベテラン社員の技術力を「宝物」として蓄積し、継承するためのナレッジマネジメント

「株式会社 東海理化」の事業内容を教えてください。

東海理化は1948年の創業以来、愛知県を中心に自動車部品の製造をしています。お客様に喜んでいただく“ものづくり”を通じて、クルマのある豊かな社会づくりに貢献してきました。
現在では複数の海外拠点を展開し、グローバルスタンダードでの業務プロセスの確立に取り組み、開発から生産、品質保証まで一貫したものづくり体制を構築しています。

DX推進室では、どのような課題に取り組まれているのでしょうか?

これまで自動車産業で培った高い技術力は、私たちの「宝物」です。この宝物を継承し、かつ存分に活かしていけるかが、大きな課題のひとつです。

当社の社員のひとり一人がもつ技術力という宝物を、個人のものから企業のナレッジとして蓄積できれば、社員のさらなる技術力の向上や、新たなアイディアの創出に役立てることができます。
また、少子化もあり若い社員が減少傾向にある中、ベテラン社員の技術ノウハウをどう継承していくかも大きな課題です。

「宝物」を企業としてきちんと把握して、次世代に継承し、イノベーションにつなげたいと思い、ナレッジマネジメントに取り組むことを決めました。

ナレッジマネジメントによって「宝物」の発見と継承を実践されようとしているんですね。

ただ、技術者にとって、個人が持つ技術ノウハウは他者との差別化要素となります。そのため、独自のナレッジを能動的に公開するというカルチャーは、特に技術職の社員にはあまりありません。
一方で、困っている人を助けたいという気持ちは強くあり、求める人に対して自身が持つナレッジを喜んで提供してくれるのも技術者の特徴です。

そのため、私たちDX推進室が中心となり、ナレッジが必要な人から発信できるナレッジマネジメントツールを探していたところ、出会ったのがQastでした。Q&A機能のあるQastを知ったときには「これだ!」という手応えがありましたね。

「それQastしてみたら?」社員同士のスラングになるほど、ナレッジマネジメントが身近なものに

Qastを導入いただいた決め手はQ&A機能だったんですね。

決め手はもう一つあります。それが「匿名投稿」です。
ツールを導入しても、それが活用されなければ意味がありません。
質問やナレッジ共有など活発なコミュニケーションのためには、匿名で投稿できることが必須条件だと考えていました。
誰の発信かが明らかになってしまうと、発言に対する遠慮がでてしまったり、立場が上の人の後に発言しづらくなってしまったり、というような障壁が生まれてしまいます。
まずはそういった障壁を極力下げて、Qast上で活発なやりとりが生まれる環境を作ることを重視しました。
もちろん、最終的には匿名でなくても活発なコミュニケーションによるナレッジ共有ができるようになるといいなと思っています。

社内に向けてどのようにQastの活用促進をされたのでしょうか。

ありとあらゆることをやりました(笑)
まず取り組んだのが、各部門長への活用依頼です。それぞれの所属社員にQastの利用を促進してくれるようお願いしました。
並行して、担当部門に掛け合って、社員がPCを立ち上げた際にQastへの登録を促すポップアップを表示するようにもしました。
ほかにも、様々な機会、社員とのタッチポイントを活用して、Qastの認知・利用の促進に努めています。

また、使いにくいところ、違和感を感じるところがあれば、すぐQastのナレッジコンサルタントに相談し、とにかく使いやすくなるよう改善依頼してきました。
ナレッジコンサルタントの方が寄り添って取り組んでくれるので、心強かったですね。

あとは、敢えて「ナレッジ」や「ナレッジマネジメント」という言葉を使わず、「技術ノウハウ」といった社内で耳慣れた表現にすることで、社員にとって親しみやすく自分ごと化してもらいやすくしたのもポイントかもしれません。

おかげで、今では社員同士の会話に「それ、とりあえずQastしてみたら?」なんていう言葉も聞かれるようになりました。
現時点での社内ユーザー数は3,200人にまで増加しています。

Qastでのコミュニケーションが、課題解決を目的としたDX促進の土台作りに貢献

山口さんの部署、DX推進室のミッションはナレッジマネジメントによって達成されたのでしょうか。

私たちがDX推進によって解決したかったことのひとつに、最初にお話しした課題のほかに、業務フローの課題もありました。
当社では、新製品が立ち上がるたびに、技術部門が営業、生産技術、品質管理などの関連部門から情報を聞き取って集約し、帳票を作成して配布するという役割を担ってきました。
つまり技術部門が情報のハブのような存在なのですが、この状況ではどうしても技術部門の負荷が高くなってしまいます。
ハブの存在がなくても、各部門がそれぞれ情報を発信できるようにして、負荷の偏りを減らすことがDX促進の大きな目的のひとつでした。

この業務課題の解決については、Qastによるナレッジマネジメントよりも、他のDX施策の方が直接的な効果があったと思います。
ただ、Qastの活用が進んだことで、オンライン上のコミュニケーションやデジタル活用に対する社内の障壁がぐっと下がり、DX促進を可能にする土台作りができたことは、間違いないと感じています。

なるほど。企業文化に変化が起きつつあるんですね。ほかにどのような効果がありましたか?

社内のコミュニケーションが活発になったのはもちろんですが、それによって属人化して隠れていたナレッジが表に出てきて、蓄積されてきています。

また、新しいアイディアにつながる可能性も見えてきました。
これまで新製品の企画会議などは、関係者を集めて実施してきました。ただ、会議に招集された人が参加するにとどまるため、対応部署もどうしても限られてしまいます。
そこで、Qastで広くアイディアを募ったところ、これまで会議ではカバーしきれなかった部署の社員からもさまざまな提案が集まりました。
気兼ねなく発言できる場だからこそ、あらゆる部門の専門家から気づきのあるコメントが集まり、斬新なアイディアの発掘やイノベーションのきっかけが生まれるかもしれないと実感したできごとでした。

今後は、どのように取り組まれていくご予定ですか?

もっと利用者数を増やしたいですね。
ただ導入当初はやみくもに登録者を増やしていたのですが、今後は「日常的に活用する人」を増やしていきたいです。人によって使い方は違っていて、発言はせず読むだけの人もいます。それはそれでいいと思っているのですが、ログインしない休眠ユーザーの割合は減らしていきたいです。休眠ユーザーのアクティブ化も今後の課題ですね。

また、今はすべての情報が全員に公開されるような構成になっていますが、今後はこれに部署やチームごとのワークスペースも追加して、新しい使い方も模索したいと思っています。
特定のグループに対して情報が公開されるようになることで、記名での投稿もしやすくなるのではという期待もあります。

品質基準が厳しい自動車業界で培った技術力は、幅広い市場に活かせると信じています。
その「宝物」を会社の財産として蓄積すると同時に、Qast上で技術論が盛り上がるような企業文化を醸成していきたいですね。