ファイル共有ソフトとは?導入のメリットや選び方、おすすめの共有サービスを紹介

現在ではさまざまなファイル共有の手段があり、ファイル共有ソフトの利用もその一つです。では、ファイル共有ソフトの利用にはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。

今回は、ファイル共有ソフトの仕組みやメリット・デメリット、おすすめのファイル共有サービスをご紹介します。まだ社内でファイル共有サービスを導入していない方や、現状のツールから新しいものに乗り換えを検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

ファイル共有ソフトとは?

ファイル共有ソフトを示す図

ファイル共有ソフトとは、インターネットを介して不特定多数のユーザーとファイルが共有できるソフトです。

ファイル共有の方法としてはこれまでメールやUSBメモリなどが利用されてきましたが、メールの場合は大容量のファイルに対応できず、物理的な記録媒体は受け渡しに手間がかかるという問題がありました。

しかし、ファイル共有ソフトを利用すれば誰とでも簡単に大容量のファイルを共有することができます。

ファイル共有ソフトの種類や仕組み

ファイル共有ソフトは、インターネット上のオンラインストレージに画像や文章などのファイルを保存したり、共有することができるサービスで、その多くはP2Pという仕組みでやり取りが行われます。P2Pとは「peer to peer」の略で、個々のパソコンがインターネット上で対等に繋がるという意味です。

オンラインストレージを使ったファイル共有サービスは、サービス提供者のサーバーにユーザーがアクセスしファイルを共有しますが、P2Pのファイル共有ソフトは個々のパソコンがインターネット上で直接繋がりファイルのやりとりをする仕組みとなっています。

P2PにはハイブリッドP2P、ピュアP2P、スーパーノード型P2Pの3種類があります。それぞれの仕組みや特徴についてご紹介します。

ハイブリッドP2P

ハイブリッドP2Pは、ファイルの所在をサーバーで管理し、ユーザーがサーバーに問い合わせる構造にすることでファイル共有を円滑化する仕組みです。

サーバー自体にファイルが保存されているわけではないため、実際のファイルのやりとりは個々のパソコン同士で行う仕組みとなっています。

ピュアP2P

ピュアP2Pは、サーバーを介さず個々のパソコンでファイルの情報を分散管理しファイルをやりとりする仕組みです。

サーバーを立てずにファイルを共有できるシンプルな仕組みですが、ハイブリッドP2Pやスーパーノード型P2Pのほうが素早くファイルを探索できます。

スーパーノード型P2P

スーパーノード型P2Pは、処理能力の高いハイスペックマシンがファイルの探索を担うことで、目的とするファイルの所在を素早く見つけ出せる仕組みです。

ノードとは、ファイル共有に参加するユーザーや各パソコンを指します。スーパーノード型P2Pでは、ハイスペックマシンがノードの数を自動調整・最適化することで、ファイル探索の高速化を実現しています。

ファイル共有ソフトのメリット

ファイル共有ソフトのメリットは誰とでも簡単に大容量のファイルを共有できる点にあり、インターネットを介して社外の人とでも簡単にファイルの共有ができます。

Winnyをはじめとしたファイル共有ソフトが話題を集め始めたのは2000年代初頭の頃ですが、当時は現在のようなクラウドサービスはなく、誰とでも大容量のファイルを共有できることは大きなメリットでした。

P2Pファイル共有ソフト導入におけるリスクや問題点

P2Pファイル共有ソフトの導入にはさまざまなリスクや問題点があります。主なリスクを3つ解説します。

ウイルスに感染するリスク

P2Pネットワークでは不特定多数の人がファイルを共有します。なかには悪意を持ってウイルスを拡散させようとするユーザーがいる可能性もあり、ウイルス感染に繋がる恐れがあります。

P2Pファイル共有ソフトを利用する場合、ウイルス対策ソフトの導入は必須といえるでしょう。

情報漏洩するリスク

ウイルスに感染すると、パソコンに保存されている社内情報や機密情報が漏洩するリスクがあります。

また、ファイル共有ソフトによってはファイルの自動公開設定があり、意図しないファイルを外部に公開してしまう可能性もあります。

一度誰かにダウンロードされてしまったファイルを完全に削除することは難しいため、情報漏洩には細心の注意を払う必要があります。

著作権を侵害してしまうリスク

P2Pネットワークで共有されるファイルのなかには、著作権を侵害するファイルが存在している可能性もあります。

著作権を侵害するファイルのアップロードは違法であるとともに、著作権侵害だと知りながらのダウンロードも違法です。不用意なファイル共有が著作権を侵害する可能性がある点に注意しましょう。

P2Pファイル共有ソフトを利用すること自体に違法性はありませんが、これらのリスクや問題点をふまえると、企業で利用することは避けるべきでしょう。社内外でのファイル共有を行いたいのであれば、ファイル共有サービスの活用がおすすめです。

企業向けファイル共有サービス導入のメリット

ファイル共有サービスとは、サービス事業者が提供するオンラインストレージを利用し、社内外のユーザーとファイルを共有できるサービスです。

ファイル共有サービスを導入するメリットには以下が挙げられます。

いつでもどこでもアクセスできる

ファイル共有サービスを利用することで、場所を選ばずにいつでもファイルにアクセスできます。移動中や外出先でのちょっとした時間にもファイルを開くことができるのは大きなメリットとなるはずです。

上記のメリットはP2Pファイル共有ソフトでも得られます。しかし、個々のパソコンを繋ぐという特性上、必要なファイルの入ったパソコンがオフラインの場合、ファイルを得られないといったトラブルが発生します。

ファイル共有サービスはオンラインストレージのため、P2Pファイル共有ソフトよりも安定して利用できます。

一元管理できる

オンライン上にファイルをアップロードしておくと、データが一つの場所に集約されます。

一元管理ができるようになると、欲しい情報がすぐに探し出せ、送受信の手間を省くことに繋がります。

コスト削減

ファイル共有サービスを活用することによって、管理コスト、時間的なコスト、コミュニケーションコスト等の削減に繋がります。

自社で運用、保守を行う必要もなく、素早く利用を開始できます。

すぐに拡張できる

ファイル共有サービスは、ストレージの使用状況に合わせてすぐに拡張できます。

小さく始めて徐々に拡大していくことができるため、コスト的なリスクを最小限に抑えられます。

ファイル共有サービスの活用にはその他にも多くのメリットが存在します。詳細は以下の記事で解説しています。

【法人向け】ファイル共有サービスおすすめ6選を比較
皆さんの社内では、どのようにファイル共有を行っていますか? 多数のファイルやドキュメントなどのデータを共有するためには、オンラインファイルストレージの利用が欠かせません。 今回は、数あるファイル共有サービスの中から、おすすめのサービスを厳選してご紹介致します。 まだ社内でファイル共有サービスを導入していない方や、現状のツールから新しいものに乗り換えを検討している方は、ぜひ参考にしてみてください!

企業向けファイル共有サービスを選ぶポイント

社内でファイル共有サービスを利用するメリットが分かったところで、次に選ぶ際のポイントとなる点をいくつか見ていきましょう。

データ容量

サービスによって、アップロードできるストレージの容量は異なります。自社で共有したいファイルの容量がどれくらいなのかを確認した上で、利用を検討しているサービスの料金体系を確認しておきましょう。

分類のしやすさ

共有したファイルの分類方法も、サービスによってさまざまです。フォルダを使った階層式のものや、タブで管理するものなどがあり、その分類方法によって検索する際の方法が変わってきます。

自社の社員が使う際に、どの分類方法、検索方法であれば簡単に分かりやすく管理できるかを確認しましょう。

セキュリティ

自社の大事なデータを共有するためには、しっかりとしたセキュリティ設備が整っているかは重要です。

セキュリティに関しては専門知識が必要になるため、社内の情報システム部などと相談し、サービス利用にあたってどんなセキュリティ要件が必要か、まずは社内で確認を取りましょう。

おすすめのファイル共有サービス

現在リリースされているおすすめのファイル共有サービスをご紹介します。

ファイルの検索性・コメントを残すなら

ファイル名だけでなくファイル内の文字列検索に対応していたりファイルへのコメントを残せたりするツールをご紹介します。

Qast

Qast https://qast.jp/

【こんな人におすすめ】

  • ファイルをアップロードするだけでなく、ファイルに対してコメントや説明を残したい方
  • ファイル、ナレッジ、FAQを一つのツールに蓄積したい方
  • キーワード検索やタグなどを利用してナレッジの検索性を高めたい方
  • ITリテラシーを問わずに利用できる、シンプルなツールを探している方
  • 【特徴】
    ファイル共有だけに特化したツールではありませんが、誰でも簡単に使えるシンプルなナレッジプラットフォームです。

    既に文書化されたファイルを添付することはもちろん、Qast上に新しいドキュメントを作成して保存することも可能です。
    その際は、テンプレート機能を活用すればドキュメント作成の時間を大幅に削減できるでしょう。容量制限は、スタンダードでは50MB、エンタープライズでは250MBとなっております。

    また、ファイル共有に特化したサービスでは資料の説明やコメントを残すことが難しいですが、Qastであれば簡単にメモを残すことができます。これにより、どんな資料なのか、どこが更新されたのか、誰が見るべき資料なのかが一目で分かるようになります。

    検索画面フォルダとタグでの検索、ひらがな⇔カタカナ検索、投稿者名での検索などは他のサービスにはない特徴です。さらに、ファイル内の文字列も検索対象になるため、Qastにファイルをアップさえしておけば、いつでもすぐに検索ができます。

    Qast費用

    【料金】
    https://qast.jp/pricing

    月額費用の料金プランはスタンダードプランとエンタープライズプランの2種類があります。どちらも20名以上からの利用となっており、金額は月契約・年契約によって変わってきます。

    【Qast サービス紹介】

    Qastについて詳しく見る Qastの導入事例を見る 無料デモでQastを試してみる

    NotePM

    NotePM https://notepm.jp/

    【こんな人におすすめ】
    既にWordやPDFでまとまっている資料が多い方
    一つの投稿を何度も更新していく使い方を想定している方
    シンプルなツールを探している方

    【特徴】
    Qastと同様、UI(ユーザーインターフェース)がシンプルで使いやすいツールです。

    特徴は、検索時にファイル内の文字も検索対象になるため、既にPDFやWordで情報をまとめている場合はNotePMにファイルをアップしていくことでキーワード検索が容易になります。また、階層式のフォルダでも投稿を管理できるため検索性は十分です。

    テンプレートの作成や編集も簡単に行えるので、一度フォーマットを作っておくと次回以降の投稿の手間が省けます。さらに、柔軟なアクセス権限設定により、会社規模に応じて共有範囲を柔軟に設定できます。ユーザーごとの操作権限も設定できるので、セキュリティ面も安心でしょう。

    【料金】

    NotePM料金 https://notepm.jp/price

    月額4,800円から開始でき、ユーザー数とストレージ容量上限がプラン毎に異なってきます。30日間の無料トライアル期間があります。

    大容量・ファイル共有特化なら

    大容量のファイルを共有することに特化したサービスをご紹介します。

    Dropbox

    Dropbox https://www.dropbox.com/business

    【こんな人におすすめ】

  • 自社でファイルアップロードサーバーを持っていない方
  • WordやExcelの資料を同時編集したい方
  • ファイル共有に特化したサービスを利用したい方
  • 【特徴】
    ファイル共有といえば「Dropbox」といっても過言ではないほど有名なサービスです。個人用でも2TBのファイルが共有できるため、1ファイルのサイズが大きいものでも制約を受けずに共有できます。

    また、Dropboxに格納したWordやExcelなどのファイルをメンバー間で共同編集できる点もポイントです。階層化したフォルダごとにファイルを管理でき、それぞれのフォルダに対して閲覧、編集の権限を自由に設定できます。

    アップロードしたファイルはすぐに同期されるため、全員が常に最新の状態で資料を確認することができるでしょう。ファイル共有で迷ったら、まずはDropboxを試してみましょう。

    Dropbox料金

    【料金】

    https://www.dropbox.com/plans

    Dropboxは、月額(1ユーザー)1,200円から利用が可能です。プランごとに機能の差がありますので、自社で必要な機能をチェックしてみてください。個人用以外のプランには無料トライアルも設けられています。

    Box

    Box https://www.box.com/ja-jp/home/

    【こんな人におすすめ】

  • 容量無制限での利用をお考えの方
  • 動画ファイルを格納、共有したい方
  • シンプルなツールをお探しの方
  • 【特徴】
    Boxを使用すれば、ドキュメント、画像、ビデオなど、チームのすべてのファイルがクラウド上に安全に保存できます。フォルダごとに他のメンバーを招待したり、ファイルのリンクを作成して外部の人にファイルを共有したりすることも可能です。

    フォルダへのアクセス権限は容易に設定できるので、プロジェクトや部署ごとの利用にも最適です。アクセス制限、ログ監視機能、暗号キーなど、セキュリティへの取組は他サービスと比較しても群を抜いています。

    Microsoft Office 365、Google Workspace、Salesforceをはじめとする1,500以上のコラボレーションおよび業務プロセスツールとのシームレスな連携が可能で、拡張性が高いツールです。

    Box料金

    【料金】

    https://www.box.com/ja-jp/pricing

    Boxのビジネス向けプランは、月額(1ユーザー)575円から利用が可能です。プランごとに機能の差がありますので、自社で必要な機能をチェックしてみてください。

    他サービスとの連携なら

    他のサービスとのスムーズな連携が魅力のツールをご紹介します。

    Google Drive

    Google Drive https://www.google.com/intl/ja_ALL/drive/

    【こんな人におすすめ】

  • 業務ツールはGoogleアカウントで統一したい方
  • Google Workspaceをお使いの方
  • 【特徴】
    写真や文章、デザイン、描画、音楽、動画など、さまざまなデータを保管しておけます。Googleアカウントをお持ちであれば、15GBの保存容量をすぐに無料で使えるサービスです。

    Googleのあらゆる機能やサービスと連携していることが特徴です。メールはGmail、表計算はスプレッドシート、チャットはハングアウトなど、Googleサービスを既に利用されている企業は、GoogleDriveを使わない手はありません。

    ログインの手間が少なく、ツール間の連携も容易になります。業種や規模を問わず、簡単にお使いいただけるファイル共有サービスの一つです。

    Google Drive料金

    【料金】

    https://workspace.google.com/pricing.html

    ビジネス向けの有料プランは月額(1ユーザー)680円から利用可能です。プランによってGoogle Workspaceアプリの制限やサポートが異なるため、自社にあったプランを選択しましょう。14日間の無料トライアルも設けられています。

    OneDrive

    OneDrive https://www.microsoft.com/ja-jp/microsoft-365/onedrive/online-cloud-storage

    【こんな人におすすめ】

  • 業務ツールはMicrosoftアカウントで統一したい方
  • Microsoft 365をお使いの方
  • 【特徴】
    OneDriveの魅力は、Windowsに標準搭載されており、アカウントを取得するだけでクラウドのファイルストレージをすぐに使い始められることです。また、パソコンだけでなくスマートフォンなどでもアクセスできることも魅力の一つです。

    Windows10やOfficeアプリと統合されているため、画像キャプチャをOneDriveに自動的に保存し、WordやExcel、PowerPointから直接OneDriveにアップロードすることが可能です。

    OneDrive料金

    【料金】

    https://www.microsoft.com/ja-jp/microsoft-365/onedrive/compare-onedrive-plans?activetab=tab:primaryr2

    月額(1ユーザー)630円から使用できます。ただし、このプランはOneDriveのみのプランとなります。Microsoft 365 Business Basic以上のプランであれば、WordやExcelなど主要なOfficeアプリも利用できるためおすすめです。

    まとめ

    業務効率化や生産性向上がこれまで以上に求められる現代では、社内外を問わずシームレスにファイルを共有できる環境の重要性が高まっています。

    ファイル共有を行う手段としては、P2Pファイル共有ソフトの利用も選択肢の一つですが、セキュリティやコンプライアンスのリスクが大きい点に注意が必要です。

    一方、オンラインストレージを利用したファイル共有サービスであれば、大容量のファイルを誰とでも安全に共有できるためおすすめです。ファイル共有サービスは、サービスによって機能や料金が異なります。

    今回ご紹介したサービスのなかから、ぜひ自社にあったサービスを導入してみましょう。

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